【感想・ネタバレ】生命式のレビュー

ユーザーレビュー

ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月01日

あまりにも面白いので短編ごとに感想書きそうな勢い。
「魔法のからだ」瑞々しい感性で書かれた少女語りの文体が特徴。これはその中でも本当に最高の短編だった。とにかくどこを切り取っても嫌らしくならない、どうなってんの村田沙耶香。絶妙なバランス感覚、すごすぎる。もっと若い時にこの小説に出会いたかった。

...続きを読む素晴らしい食卓」異文化理解、異文化交流、融合、多様性、私たちがそろそろうんざりし始めている社会からの押し付け。この短編はその縮図なのではないかと感じた。面白かった。終わり方も秀逸だ。
それぞれの文化を大切にするために不干渉でいる、ということで一致しかけた世界を最後の最後でぶち壊す「夫」。これは多様性を声高に叫ぶ人々そのものではないか。安直でわかりやすいものに飛びつき、自分の頭で考える前に安易にそれを信じてしまう人のなんと多いことか。なんとなく「正しそうなもの」流され続ける人々はこの夫そのものだと思う。大事なのは大多数の叫ぶ「正しさ」を信じることではなく、目の前の相手を注意深く観察し労わりあうことなのだと思う。それぞれの「正しさ」がある中で本当の意味での相互理解などほとんど不可能である。わたしたちはせめてそれぞれの領域を侵さないようにするのとしかできない。これは無関心ではなく、他人を尊重する態度だと思う。全てを融合しようとしていく世界はとても恐ろしいし傲慢だと、わたしは思う。何もかもを多様性、異文化理解の名の下で無理にすり合わせたり、融合させたりすれば、そのものの本来の性質は失われてしまうのではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2020年04月18日

自分で正しいと思うスタイルで生きたらいい。これを後押ししてくれる。短編の集まりだから、その瞬間の自分に一番近い考え方を、選択するだけで言葉で表してくれる。

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Posted by ブクログ 2020年04月18日

いい意味でとても気持ちが悪くなる。
吐いてもまた吐きたくなる癖のある内容。。
生肉をむさぼるような小説。

小説でないと表現できない面白さ。生命式は覗いてみたい。

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Posted by ブクログ 2020年03月28日

生、死、性、善、美。

“常識観”や“世界観”は、煎じ詰めればここまで尖って異常に映るのか…

人が「各々の常識を詰め込む袋」なら、穴の中を覗く行為もまた一興かも。

「異常×正常」から新たな本質を見つける怪作。狂ってるのに、不思議とグロさは感じなかった。

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Posted by ブクログ 2020年03月21日

最初の1ページから度肝抜かれました。
SFなのに本当のことかのように思える村田さんの力…
生命式と素敵な素材がすきでした。

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Posted by ブクログ 2020年03月17日

「だから、これでいいんだと思いますよ。この世界で 山本さんは美味しくて、僕たちは正常なんです。たとえ100年後の世界で、このことが発狂だとしても」(P.45)

 死者を食べながら、その席で受精相手を探すーーー。
 従来の「葬式」の代わりにそんな「生命式」が主流になった世界で、親しくしていた同僚を亡...続きを読むくした主人公の揺れ動く感情を描いた表題作が、とにかく衝撃的。ありきたりな日常の情景に、突如として、ぬるりと異世界が流れ込んでくる感覚。
 冒頭、ごく普通の会社員の女性たちがランチをつつきながら織りなす、ごく普通の会話。しかしそこには、うっかり気に留めず読み飛ばしてしまいそうなほどさり気なく、「人肉」「受精」「生命式」という聞き慣れない単語が混ざっている。え?なんだって?・・・読み返してみると、彼らの生きる世界が、私たちのそれと同じに見えて、実は根底から異なっていることに気付く。その瞬間、知らないうちに異世界に足を踏み入れてしまったような感覚に陥り、背筋がスーッと冷たくなる。
 表題作以外の作品も同様だ。最終的におかしなことになっているのだけれど、正常と異常の境界があまりにも曖昧で、いつからおかしな方向に進み始めたのか、そもそもおかしいのがどちらなのか、わからなくなってしまう。
 今、自分が生きているこの世界を「正常」と感じるのは、今のこの一瞬だけかもしれない。読者の既成概念をことごとく崩壊しにかかる衝撃の短編集。読んでよかった。

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Posted by ブクログ 2020年03月05日

村田沙耶香さんはエロとホラーの要素を共存させれる点が他の著者と比べ圧倒的に優っている。
'生命式'では少子化の世の中で生命式と呼ばれる人肉を皆で食べることで死者を弔い、同時に受精相手を見つけ新しい命を生み出す。いわば死から生まれる生。(花粉と例えられているのが絶妙であった)
その...続きを読む現状をなかなか享受できない池谷。過去とのギャプに憤りを覚えつつも友人山本の生命式を通し、一瞬のこの現状を素晴らしいものだと捉え、山本と一体となり受精する。

孵化
自分のキャラクターを周囲の状況に呼応することにより自己を形成していく主人公。
いつしか本当の自分とは。いや本当の自分というものはないのではないかと思うようになる。
また自己のキャラクターは相手のキャラクターによっても変化し[孵化]し続けるかもしれない。

→この話は本当に人間の身近な話でありながらなかなか触れることのない部分に踏み込んでいっていると思った。
極端ではあるがいわゆる多重人格と呼ばれるものは誰しもが少なからず程度の差はあるにしろ持っているということを自覚した。
本当の自分とは誰かの前では決して晒せないのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2020年02月26日

短編集だからか、色々な角度から村田ワールドを堪能できました。しかも、短い分、濃度も濃く味わえました。
こうやって多くの作品を一度に読むと、常識とは何かをいろいろな角度から表現しているというのが分かって、村田さんの作品をより深く理解できたような気がしました。

設定は突拍子もないものですが、なぜ動物の...続きを読むは良くて人間のはだめか、考えさせられました。

村田作品を愛する人だけでなく、村田さんの作品はちょっとという人に読んでもらいたい一冊です。

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Posted by ブクログ 2020年02月24日

『コンビニ人間』以来の村田沙耶香。
序盤からかなり揺さぶられた。特にはじめの二作はかなり強烈。
当たり前が当たり前じゃない世界をここまで描き、読者の当たり前を揺さぶる作品群。

「正常は発狂の一種……この世で唯一の、許される発狂を正常と呼ぶ」

このセリフがこの人の作品を表しているように感じた。

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購入済み

衝撃作

みる姉さん 2020年01月06日

村田沙耶香さんらしいと言えばそうかもしれない。
期待を大きく裏切る素晴らしくて美しくて息を呑む作品ばかりでした。
読み終えた時の胸にわずかに感じるシコリ。それも込みで村田沙耶香さんの世界にどっぷりハマる悦びを感じさせてくれます。

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Posted by ブクログ 2020年05月05日

表題作で気持ち悪くなった。実は美味しいかもしれないのに、食べたこともないのになぜ気持ち悪くなったのかを考えると、常識の問題なのか、生理的な問題なのかわからないので正解がわからない。気持ちが悪い短編集なのだが、なぜか読み続けたい衝動にかられる。生理的に受け付けないものを見てみたいという衝動か?唯一共感...続きを読むできたのは巻末の「孵化」。周りに合わせることが極端になると こうなるのか、ハーちゃん。

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Posted by ブクログ 2020年03月27日

パラレルワールドでのお話。人が死ぬと「葬式」で故人を偲び、火葬する。セックスは人前では行わない。そんなことが当たり前な時代は終わっていた。人が死ぬと「生命式」で故人をみんなで食べる。故人を焼くなんてもったいない。食材としての故人を美味しいと感動することが故人を偲ぶことだ。ついでに新しい生命を生み出す...続きを読むために式の参加者同士で堂々とセックスに励む。

とんでもない異世界の話だ、と笑い飛ばしそうだが、よく考えたら人間以外の動物は仲間の死体に抵抗感はないし、やりたいときにやりたい場所でセックスをする。

本作品で提示される社会はそれほど非現実的なことじゃないのかもしれない。むしろ、今の人間社会が異常なのだ。

そんな逆転の世界観が語られる作品ばかりの短編小説集。どの作品も著者、村田沙耶香の特異なセンスが爆発する。が、そのセンスは短編では表現しきれていない気がする。ヒット作「コンビニ人間」のように、彼女の作品は100ページくらいの中編がちょうどいい。

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Posted by ブクログ 2020年03月25日

何が普通で何が異常か、何が正しくて何が間違っているのか、無意識のうちに自分自身の常識にもとづいてはジャッジしているから、私たちは平穏に生きていられる。
その常識を、この作品は思い切り揺さぶってくるから、読みながらどんどん怖くなってくる。
生命は尊い、人は一人では生きていけないと簡単に言ってしまいがち...続きを読むだけれど、村田さんはそういうことにとことん向き合っているような気がする。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年03月21日


私たちが送る、普通の日常の中に、突然訳の分からない気が狂ってるみたいなワードをぶっ込んでくる。
もしかして、私たちがおかしいのでは?と思っちゃうくらいに、スーッとぶっ込んでいる。
カシミヤ100%のセーターを羨ましいと言うようなノリで「いいなぁ、人毛100%のセーター」みたいな。
よくねぇよ。こわ...続きを読むいよ。


今生きている日常の常識とか正常とされていることが、もしかしたら遠くない将来、こうなるのかも知れない…


生命式の「俺のカシューナッツ炒め」も字面のインパクトが半端ないし、素晴らしい食卓のあのテンションも面白いし、最後の夫マジ頭おかしいみたいな周りの空気。ポチの鳴き声も愉快だし、魔法のからだにあった「誰かの皮膚の内側にいきたい」、この言葉は素敵だと思った。
孵化の求められるキャラクターに「呼応」すると言うのは何となくわかるかも知れないけど…


色んな方が"クレイジー沙耶香ワールド"と言っているが、私はこれが初めての村田沙耶香作品だ。


私はグロとか全然平気なので、他の作品も読んでみようと思う。
その時に使うブックカバーは、人の皮膚で作ったのがいいな。








なんてね

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Posted by ブクログ 2020年03月20日

すべて常識を揺さぶってくる作品。淡々と常識を裏切っていくなかにユーモアがある。
「生命式」はグロテスクだけど、核心をついてくるところもあり、ユーモアもあり。山本が亡くなった悲哀を感じてる暇はほとんどなかった。
食べることは、最大の愛情表現なのかもしれない。死んでしまった小鳥を食べてあげれば?という、...続きを読む「街を喰べる」の主人公のように。食べること、セックスすること、は、対象と一体化する行為だ。そこへのこだわりを感じた。「素晴らしい食卓」はそこから出発して、排外主義や極端な異文化礼賛を揶揄しているような感じもし、面白かった。
最後の「孵化」が、衝撃度は少ないながら現代の私たちを鋭く描き出していると思った。

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Posted by ブクログ 2020年03月19日

さすが村田沙耶香。
いくつもの短編の中でも表題作の『生命式』はさすがのインパクト。
これってなにかの公式かと思ったのに、未来の葬式の一つだったったとは!でも言っていることには確かな説得力がある。『素敵な素材』も同じ。人間を他の動物と同列に扱うなら、食べたりパーツを利用するのはおかしなことではないのか...続きを読むも。

次に印象的だったのが『孵化』。
置かれている世界によってキャラが激変してしまう・・・
ハルカほど極端ではないにせよ、それは私にも当てはまる。
相手によって話し方が変わるのなんて、よくある話だし。
オチはどうなるのか、と思ったが、思わず笑ってしまった@鳥肌立てながら。
 

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Posted by ブクログ 2020年03月18日

「生命式」5…死体を食べる葬式
「素敵な素材」3…死体を加工し有効活用
「素晴らしい食卓」4…魔界都市ドゥンディラス
「夏の夜の口付け」3…「二人家族」の序曲
「二人家族」3…老婆二人暮らし
「大きな星の時間」2…夜のない世界
「ポチ」2…おっさんを飼う
「魔法のからだ」4…純粋な性欲
「かぜのこい...続きを読むびと」2…カーテン
「パズル」4…自分を無機質に感じる女性
「街を食べる」3…野草収集
「孵化」4…いくつものキャラ

序盤に面白い話が集中しているので、全体として失速感がある。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

芥川賞受賞作家による短編集。
表題作を含め12編収録。
巻頭を飾る表題作と二番目の作品が立て続けにグロネタだったので、全編この調子か、と思ったらそんなことはなく、バラエティに富んだ一冊だった。

作者のこの発想はどこから出てくるのか、今までどのように生きてきたのかが知りたくなる。別の作品も読んでみる...続きを読むことにしよっと。

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Posted by ブクログ 2020年02月27日

短編集12編
最初の3編の人体の扱い方考え方に衝撃を受けた.とても受け入れない感覚とそういう人間も他の生き物と同じ素材と見るのも分かる気持ち.人間のタブーに切り込むようなあるいはじわじわ侵食していくような作品群だった.最後の「孵化」にしても,現れている自分の在り方に違和感を感じつつ本当の自分なんてど...続きを読むこにもないという恐ろしさと衝撃のラスト,怖いお話でした.

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Posted by ブクログ 2020年03月15日

世にも奇妙な物語 に出てきそうな話。
ちょっと気持ち悪い感じがした。
とはいえ独特な感じ、発想が面白い。
しばらく経って急に物語を思い出したりして
ジワジワくる。
読んですぐは★2にしたけど
1カ月経って★4にかえました。

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