【感想・ネタバレ】Iの悲劇のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年04月05日

限界集落が直面する課題を赤裸々に書き綴った作品である。
この小説で起こったことが、いつか現実で起こるのではないかと考えるとある意味でのホラーかもしれない。
公務員は大変だ、、

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Posted by ブクログ 2020年03月27日

序盤、ユーモアものなのか、ブラックユーモアか、ホラーか、ミステリか、ジャンルが分からなくて不安になる。各章は小粒でわりとあっけない。西野課長は只者ではない感じは序盤からわりとあって、早見和真『店長がバカすぎて』の店長か、あるいは、一見、昼行灯風の『パトレイバー』の後藤隊長を連想した。観山さんもただの...続きを読む天然にしてはちょっと違和感があるよなと思いながら読み進む。ラストでそんな展開が待ち受けているとはね。地方自治体の公務員(特に過疎地)の苦労がいろいろと分かる話でした。

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Posted by ブクログ 2020年02月24日

地方再生のIターンプロジェクトを担った3人の公務員が一癖も二癖もある移住者とそこで発生するご近所トラブルめいた謎を解決するミステリ。

まず驚いたのは一人称の巧さで「僕」「私」をほぼ使わずに進行する万願寺の語り口の妙味に感服してしまった。語り手である万願寺は至って普通の面白みのない皆がイメージすると...続きを読むころの公務員でありながら、凡庸ではなく、さりとて優秀すぎるということもない絶妙な塩梅であり、読者の目線に非常に近く感じるため非常に読みやすかった。余談だが、一人称における「僕」「私」の自己主張は自意識の強さや幼さとも受け取れるため、そこの部分で古典部シリーズや季節限定シリーズなどと差別化を図っている点が上手い。自分を過度に意識しない語りこそが観察力のある公務員らしさであるとも言える。

また本作の上手い点は明確な探偵役の不在であり、直感と洞察で物事を見抜く観山と、安楽椅子探偵である西野課長、そして現場百遍と足で稼ぐ刑事タイプの万願寺と、それぞれが自分の立場を生かして謎を解くというのが面白く、従来のミステリにありがちな配役に囚われすぎると逆に一本取られてしまうだろう。また、主人公の万願寺と弟との電話での会話シーンに、作者にしては珍しく公務員に対する考え方が随所に見え隠れしていながらも、それが強固な強い主張というわけではなく、あくまで公務員と地方再生という本書のテーマの範囲を逸脱しない点に非常に好感を持ってしまった。

連作短編集ではあるが、最後の謎とそのトリックはあらかた読めていたため最後のネタばらしはあまり驚かなかったが、西野課長が一枚噛んでたことまでは読めなかった。確かに揉め事を軟着陸させる天才なら、もともと無理のあったプロジェクトを移住者の住民の自主的な形で失敗に終わらせるというのは理にかなっており、その手足となって動いた観山も含め、その構図自体がミステリにおける「あやつり」の構図になっているのは舌を巻いた。そして米澤ミステリのお家芸である動機重視のホワイダニットへと収束していくのも非常に巧みである。

久しぶりの米澤穂信作品だったが、現代作家とは思えない昔語りの雰囲気の出る筆致と、うらぶれた地方都市のどんよりした空気感が最高にマッチしており、誰もいなくなってしまったというフィニッシングストロークも効いている。苦い結末と主人公の抱える青臭さ。これこそが米澤穂信作品の最大の魅力の一つだろう。

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Posted by ブクログ 2020年02月22日

この方の作品は初めて読みました

面白かったー!


いつも前評判やあらすじを読まずに
作品を読み始めるので
なかなか最初は進まなかったが
1章が終わると
あとはさらさら読めました

なかなか味のある登場人物に
なんとも言えない事件の数々
そして考えさせられるラスト

Iターンで街が蘇るのが
本当に...続きを読むいいことなのか、
蘇って万々歳って話じゃないところが
またよかった


違う作品も読みたいなとおもいました

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Posted by ブクログ 2020年01月20日

過疎化で無人になった村を復活させるプロジェクトにまつわる連作短編集。都会からIターンで新しい住民を呼び込み、地域を再生しようという市長。その施策を実行するのは市役所の「甦り課」の三人。出世が望みの主人公、さばけた後輩新人、やる気のない課長。それに対して癖のある移住者達。住民同士のトラブルや無理難題の...続きを読む注文…。主人公は解決に奔走するのですが…。地方行政に携わる公務員のままならなさがよく表現されています。登場人物も団体も架空のものなのにリアルに感じられるのは、似たようなことが全国で起きているから?そして衝撃のラストへ。

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Posted by ブクログ 2020年04月17日

地方自治体の話し。

とは言え、オチがあって「まさか、このひとが?!」もあったりしたのでお得意のドンデンミステリー要素もあり、楽しく読み終えた。
だから、感動したとか、なるほどと思ったってこともなく、米澤先生の他のシリーズのようにもっともっとと思うほどではなかった…

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Posted by ブクログ 2020年03月30日

悲劇というか喜劇というか。
いやーな無気力感というか、むしろ無力感というか。
とにかく徒労感は半端ない。
でもまぁ人の暮らし、インフラ、行政というと、理想と現実の乖離は果てしなさそう。

万願寺さんどっかで出てきた人かと思ったけど違ったね。
腹芸が上手な課長としたたか観山、なんだか万願寺さんいい人や...続きを読むなぁ。

様々な困難や軋轢やトラブルを乗り越えてきずなが生まれたIターンサクセスストーリーにもなり得そうな話なところがなんともいえない。

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Posted by ブクログ 2020年03月09日

市の目玉政策として打ち出されたIターンプロジェクトは、人のいなくなった集落「蓑石」に再び人を呼び寄せるというものだった。このプロジェクトのために「甦り課」が組織され、三人の職員がプロジェクトの成功のために尽力するのだが、蓑石には次々にトラブルが起こり……
そんな物語は、ひとりひとりのささやかな夢や希...続きを読む望を含めていきながらも、きわめてシニカルに収束していきます。

その収束のさせ方こそ作者の真骨頂、ではあるのですが…、主人公に肩入れしたわけでもないですが、ただ「それでは彼らがあんまりだ」とやるせなく思ったのは事実でした。

なるほどという着地点ではありますし、現代日本の事情を考えれば有り得るリアルさがある。それぞれのエピソードの読み応えも意外性もあって、話としてとても面白い。けれど、主人公のようにひとりひとりの居住者のことを思いやると、なんとも切ない、むなしいばかりだな、と感じてしまうのです。

誰が悪い、という悪を見つける爽快感や勧善懲悪の醍醐味がある物語ではなく、ただ「そうせざるをえなかった」という巨大な事情がのっぺりと横たわる話、というか。
そのために、ひとりの力では抗えない無力さがじわじわとつらくなってくる話だと感じたのでした。

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Posted by ブクログ 2020年03月07日

なるほど、Iターンの意味が最後にもう一つ付け加わるような気がした。最後の甦り課が瓦解していくようなあのシーンがより際立つためには、もっと三人の濃密な人間的繋がりが描かれているべきだと感じた。心の繋がりがあってこそ、裏切りのショックは大きいはず。緩やかに心が繋がっていき、緩やかに離れていく感じが、ちょ...続きを読むっと物足りなかった。ただ、読み手を楽しませるための工夫は満載で、今はなんかその気概だけで満足してしまう。「あ、お気遣いありがとうございます」みたいな。多分、タイミングの問題ですね。バイオリズム。

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Posted by ブクログ 2020年02月29日

 軽快なミステリ。ところどころホラーっぽい香りもあるけれど、難解な文章ではないので軽やかに読めた。
 無人になってしまった蓑石(みのいし)村の再復興を目指す、通称「甦り課」に配属された公務員の主人公。愛嬌はないものの至って真面目に業務にあたる。そんな彼をサポートするのは、定時退社に命を懸けているかの...続きを読むような上司と、学生気分の抜けない明るい部下。どこにでもいそうなキャラクターながらどこか掴みどころがなく、何か裏がありそうな二人・・・と思っていたら、ラストきたこれ。さすが米澤穂信さん。スーンと読み進めてきたけれど、最終章で全てが明らかになって、あぁそういうことねとなって、少しぞくりとした。
 物語は短編集のようになっていて、移住してきた世帯ごとに章が分かれている。一つ一つの章はさほど長くないものの、その中できちんと伏線回収がなされ、物語が完結しているので、気持ちよく読むことができた。

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Posted by ブクログ 2020年02月23日

タイトルから受けるイメージとは違って、「県庁おもてなし課」のような展開
しかし、これは米澤さんの作品、シニカルでブラックなエピソードが続きます

連作短編集で、ややつながりの悪い部分はありますが、そうだよねと思わされるお話です
そしてラストは・・・

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Posted by ブクログ 2020年02月21日

山あいの小さな集落、簑石。六年前に人がいなくなってしまったこの場所でIターン支援プロジェクトが実施されることになった。「移住者」達は一癖ある者が多く、業務にあたる市役所の「甦り課」三人は振り回されることの連続で、誰も定住する者がいない。都会で暮らしていた者が田舎に住むというのはなかなかハードルが高い...続きを読むとは思うが、なぜここまでトラブルが続発するのか。最終章でそれがわかるのですが、何ともやりきれなく後味が少々悪く感じられる。

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Posted by ブクログ 2020年02月15日

やはりこの人はいい本を書く。素晴らしい構成でテーマも良かった。最後の章で色々考えさせられた。過疎化の問題に自治体はどう対応するべきか。政治家の失策に翻弄される人たち。万願寺の真面目さが切ない。

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Posted by ブクログ 2020年02月14日

6年前に誰もいなくなり滅びた田舎の集落に、復興のため全国から住人を集い、召集された公務員3名が甦り課として再生を図ろうと奮闘するお話。本当に祟りなのではと言うほど住人達の間には色々と問題が起こって、ご近所トラブルって大変って思いながら読んでたけど、最後はそうだったのねとなった。

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Posted by ブクログ 2020年02月10日

Iターン推進プロジェクトによって、かつて廃村となった集落に引っ越してきた人々。
プロジェクトを進める市役所〝甦り課〟の職員を主人公に、移住者の間で起きるちょっとした謎を解決していくミステリー。

公務員らしくない観山と、公務員らしい公務員万願寺のやり取りが軽妙でクスッと笑える。
特に公務員経験者とし...続きを読むては、予算や所管に縛られ動きの取れないお役所仕事や市長の鶴の一声みたいなところにかなり共感するし、面白かった。

とは言え、日常の謎なので、個々の謎自体は想定の範囲内。ミステリー半分、お仕事小説半分という感じで読み進めていたら、最後にそう来たか!
途中で感じた些細な違和感が一気に解決。すっきりはしたけれど、ビターなラストは米澤さんらしい。

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Posted by ブクログ 2020年01月29日

人口減少に苦しむ地方を再生させようと、Iターンで活性化を図ろうとした地方自治体を舞台にした小説。いくつかのミステリーを解決して進行していくが、最後に大きな展開が待っている。ストーリーとしても、現実の問題を浮かび上がらせるという意味でも面白い。

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Posted by ブクログ 2020年01月29日

「ボトルネック」や「リカーシブル」で見られた疲弊していく地方都市の錆びれた状況がよくわかる作品。米澤先生ってこういう描写が多いような(苦笑い)。
本作の黒幕さんの目的は私も概ね賛同するんだけど、財産権を侵害をしているし、下手すれば人命が危ない状況だったこと考えると職業柄こんな事やっちゃいかんだろう。...続きを読む
やってる事はジョジョ的に言うと「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ! なにも知らぬ無知なる者を利用する事だ……!! 」ですな。これ夏季限定の小佐内さんもやっちゃった事なんだけど、小佐内さんは自分に危害を及ぼしかねない不良少女グループだったのに対して、こっちは一般市民相手だから余計に質が悪い。(しかも、何度も繰り返す)
それに黒幕さんの一人(下っ端)は他人の家が火事になる危険性を鑑みないのに関わらず、自分の家が火事になる事を心配している状況みると、この人高尚な目的に賛同しているとか言ってるけど、嘘じゃないのかって思えてきたのは正直なところね・・。
最終的に裏切る形になる人間達(移住者)に対して、誠意やら罪悪感みたいなものがあればあんな犯罪の加害者になったり被害者にさせるような事はないと思う。
所謂地方都市が頑張って人口増加して盛り上がっていくという分かりやすい努力は報われる右肩上がりの作品ではなく、地方都市のどうしようもない現実を見せつけた作品だったのは良かったと思う。まあ、そのどうしようもない現実を知らせた人間達が善人とは個人的には思えなかったんだけどねwww

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Posted by ブクログ 2020年01月23日

「満願」を読み、気になっていた作家さん。
櫛の歯が抜けるように、一軒、また一軒と街に移住してとうとう住民がいなくなったある村。
新たに移住者を呼び込み、再び盛り上げていこうと市長肝いりで立ち上がったIターンプロジェクト、名付けて「甦り課」
配属された2名と名ばかり課長、募集によって移住してきた住人を...続きを読むより住みよく、長く住んでもらうため、町から40分ほどかけて要望をかなえるべく奔走するというストーリーが、住人別に短編仕立てで進んでいく。
結果的には、奔走の甲斐なく次々と起こる問題、事件によって住人はすべて引っ越してしまった。
どうして??
落ちは最後に。
知らずに振り回されていたのは、万願寺だけ。
まるでドッキリカメラにまんまと嵌められたかのよう。
まあこういう限界集落の問題は、人ごとではなくどこででも起こりうる問題ではありますが、上層部にこんな思惑があるとは・・・

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Posted by ブクログ 2020年01月20日

ブラックで全然爽快じゃないけど妙に現実的だった。

住む人の居なくなった集落にIターンで人を呼ぶ
蓑石市甦り課の万願寺が主人公。

甦り課って名前が怖いよ。

なんだかなぁ、万願寺くんは相当な単細胞と思われていたのだなぁ
実際そうだったし。

米澤さんうまいなぁ。
短編の校正もほんと上手い。

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Posted by ブクログ 2020年01月12日

とうとう住民がいなくなった村を甦らせる市長肝いりのプロジェクトを推進する甦り課.定時に帰る課長と新人の観山,真面目な万願寺はたった3人の全てを背負って住民の苦情に奔走する.問題解決のたびに減っていく住民.全員転出して明かされる真相,物語の決着点は気がつきながらも最後まで面白かった.

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