【感想・ネタバレ】思い邪なし(毎日新聞出版) 京セラ創業者 稲盛和夫のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2019年11月04日

あらゆる点で、ノンフィクション・評伝のお手本のような本
500ページ超のボリュームであるが、エピソードの密度が濃く、テンポがよい。

前半生は受験の失敗や就職の失敗など赤裸々に描かれている。
後半生の快進撃はむしろ前半生に表れている。

「信義を重んじ、礼節正しく、仁信を旨とする。」
三つの戒め 負...続きを読むけるな、嘘をつくな、いじめをするな

薩摩の教育が人生を形作っている。

無理やりとも思える無機化学への学問変更、碍子メーカへの就職、
セラミックの出会い、人生の師の出会いが運を呼ぶ。
まさに「生命の実相」にある引き寄せの法則のように。

「動機善なりや。私心なかりしか」(南洲翁遺訓)

第二電電の創業のときもJALの再建の時もこの理念に立ち返り決断している。
孫正義との出会いも描写されているが京セラフィロソリーを元にしたとすると松下幸之助のように評価していないのはむべなるかなという印象。

哲学をもった経営者が出にくい昨近、まだ現役の経営者が存命でいることに思いを致すには最高の本。

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Posted by ブクログ 2019年08月11日

その生い立ちから若手社員時代、京セラ創業、DDI創業、そしてJAL再生に至るまで、「新・経営の神様」稲盛和夫氏の半生を記した一冊。

「アメーバ経営」として有名な、小規模チームを事業単位としてリアルタイムでの数値の見える化により独立採算を促す徹底的に合理的な経営管理手法、その一方でJAL再生において...続きを読むも揺らぐことのなかった「全従業員の物心両面の幸福の追求」という情理の心、これらの根底にある「フィロソフィ」や「利他の精神」、そして「動機善なりや、私心なかりしか」と自らを律する克己心、人として正しいならばどこまでも追求する並外れた探究心、あらゆる権威を否定する反骨心があり、これらに呼応するかのように惹きつけられた多くの人々との出会いや別れ、確執、成功と失敗、修羅場の連続が語られる。

自身によるこれまでの著書からの引用や、本書の取材で初めて見つかった若手時代に父親に宛てた手紙などを通じて「人間・稲盛和夫」がその時何を思いどう行動したのかを追体験できる。また、今もその評価が完全に定まっているとは言い難いJAL再生についてもその内情を含めて詳細に記載されており、何より企業人として「ブレないフィロソフィ」を持つことの大切さ、一方でそれを持ち続けることがどれほど難しいことなのかを痛感する。「新・経営の神様」の集大成であると同時に、読者に人として「働くこと」の意味を今一度本気で考えることを促す一冊。

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