【感想・ネタバレ】偽りの春 神倉駅前交番 狩野雷太の推理のレビュー

ユーザーレビュー

ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年09月23日

*高齢者詐欺グループのリーダー、光代は、手足として使っていたはずの仲間に金を持ち逃げされてしまう。さらに、彼女の過去の犯罪をネタに、一千万円を要求する脅迫状が届く。追い詰められた彼女は、普段は考えない強引な方法で事態の打開を図るが、成功したと思われたそのとき、1人の警察官が彼女に声を掛けてくる――。...続きを読む「落としの狩野」と言われた刑事を主人公に、人々の一筋縄ではいかない情念を描く、心を震わすミステリ短編集*

読みやすいのに、内容は濃厚で緻密で情感がぎっしり詰まった傑作短編集。それぞれの犯人の内情や心理描写が克明で、一見飄々とした狩野とのやり取りに、こちらまで手に汗を握る思いをしたのは久しぶり。初読みの作家さんでしたが、筆力の高さにも脱帽。時間を置いてまた再読したい。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年09月03日

5つの短編集。
元捜査一課だった刑事が事情があって交番勤務しているが、
その人「狩谷さん」が事件を解決していく。
それぞれに人間臭さがあり、そしてどこか温かいものもあり。
とてもよかったです。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年08月15日

「落としの狩野」と呼ばれた元刑事の狩野雷太。今は交番に勤務する彼と対峙するのは、一筋縄ではいかない5人の容疑者で…。表題作など全5編を収録したミステリ短編集。

2018年度日本推理作家協会賞(短編部門)作。主人公にあまり魅力は感じなかったけれど、5篇とも趣の違う短編ミステリ佳作集だった。この作者(...続きを読むたち)が「このミス大賞」をとった作品は低評価だった記憶があるのに、すっかり見直した。
(A)

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年10月10日

最初の話から引き込まれてしまった。元刑事で今は巡査の狩野。事件後の犯人視点で話は進むが、そこに飄々としてつかみどころのない彼が登場し対峙しているうちにじわじわと犯人は追い詰められていく。その会話一つで一変する展開が面白い。狩野が刑事から巡査になってしまった原因も絡めて最後はスッキリと終わった。ぜひこ...続きを読むれはシリーズ化してほしいなと思う。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年10月03日

「落としの狩野」と言われた元刑事のお巡りさん、狩野にまつわる5つの事件。癖のある5人の容疑者を狩野が落としていく。
帯に私の好きな逢坂剛&大沢在昌絶賛!とあり、期待をして読み始めたが、正直、最初の2つ目くらいまではどこにでもあるような事件で、そんなに面白くないかも。というのが率直な感想。それぞ...続きを読むれが単独の物語で、短編なら連作短編集が好きな私。

実は狩野は以前尋問で容疑者を自殺に追い込んだ過去を持つ。それが原因でお巡りさんになったのだ。その狩野の過去にまつわる4話と5話。この2つの物語は繋がっていて、非常に読み応えがあった。

①鎖された赤
大学生の宮園尊は、痴呆で施設に入所している祖父の家の手入れを頼まれている。祖父の家にある蔵に入ると、自分が惹きつけられてやまない映像が浮かぶ。その映像とは、赤い着物を着た少女を大事そうに世話する男。
蔵に出入りするようになってから、尊は自分を縛り付けていた欲求を満たすべく、少女を誘拐し、蔵に監禁するようになる。
祖父と父親と食事をした際に、蔵の鍵を無くしてしまう。意を決して交番に向かった尊。対応したのはチャラいお巡りさん。そのお巡りさんこそ「落としの狩野」こと刑事上がりの狩野雷太だった。
尊の罪を暴くと共に、もう一つの真実が見えてくる。

②偽りの春
高齢者詐欺グループのリーダー、光代は抜け目なく生きてきた。しかし、仲間に1千万円持ち逃げされる。
そんな光代の元に脅迫状が届く。これまでの過去をバラされたくなければ1千万円用意しろ。光代にはこれまで貯めた金もあるし、そのまま逃げることもできたが、ただ一つ心残りは隣に住む子ども、波瑠斗のこと。もう少し波瑠斗と一緒にいたい。その気持ちが焦った判断をさせ、無理に1千万円を盗み出すことに。そんな光代に狩野が迫る。脅迫状を出したのは?

③名前のない薔薇
泥棒の祥吾は母親の入院先の看護師、理恵に好意を寄せる。理恵も祥吾に好意を寄せているようだが、自分には理恵に好かれる資格がないと思った祥吾は、理恵に自分は泥棒だと告げる。
だったら薔薇を盗んできてと言う理恵だが、その盗みがキッカケで2人の人生は大きくズレていき。

この章は、なんとなく前の2つの物語とは異なる雰囲気。私には作者は肩の力を抜いて書いたのかな?と思えたが、実はまえの2話よりもこの作品はの方が好きだったりした。

④見知らぬ親友
美大生の美穂はピンサロでバイトしているのを夏希に見られ、それが弱味となり一緒のマンションで暮らすようになる。弱味をダシに夏希の言うことに逆らえない美穂はいつしか夏希の死を臨むようになる。
ある日夏希のケータイを操作し、「殺す」と文字があらわれるようにタイマーでセットする。しかし、タイマーをかけた日とは別の日に夏希はホームから落ち、大怪我をした。
夏希の語る真実を聞いていくうちに切なさが込み上げてくる。
また、2人の仲良しの天才、一沙が慕っていた先生に焼き殺されるという事件があった。

⑤サロメの遺言
作家の高木カギは声優のエミリを札がいした容疑で逮捕される。高木はずっと黙秘を貫いている。高木の望みは取り調べを狩野にすることだ。
実はこの事件、高木は犯人ではなく、全て計画して自分が犯人に見せかけるものだった。高木は4話目で天才女子大生を殺し、狩野に取り調べを受け、自殺をした教授の息子だったのだ。
狩野によって事件が解決する時、高木が知らない真実が語られる。

どの物語も容疑者目線で語られていくため、どうしても自分も容疑者に肩入れしてしまい、なんとか捕まらないでくれと思うのだが、やがて狩野が登場すると、ああ、これで一巻の終わりだ。と思わされる。それでも狩野との攻防にハラハラドキドキさせられ、そして、なんとか逃げ切らないものかと思うも、やっぱり狩野は一枚上手だ。
攻防している時には感じられないが、狩野は実は凄くいい奴。そして、これは狩野の物語。初め、そんなに面白くないと思っていた物語が、狩野の過去のトラウマが語られる終盤には面白くて先へ先へと急ぐ自分がいた。そして、読後感も爽やか。また狩野に会いたいと願う自分がいる。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年08月31日

プロットや展開はすごく良いのだが、これが短編なのが勿体ない。もっと人物描写を掘り下げて長編を書いてほしい。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年08月29日

犯人目線、以外な驚き、苦味のある驚きと…いろいろ楽しめた。

交番の狩野巡査との会話で、主人公の心拍数が上がる緊張感、焦り、超高速であろう頭の回転、追い詰められる過程、心理描写が面白い。

こういう読み手をグッと惹きつける手法はこちらまで緊迫感を味わえるから好きだ。

飄々とした雰囲気を醸し出しなが...続きを読むらも全てをお見通しという、狩野巡査の鋭い洞察力に感嘆のため息。

鋭く切り込んできたかと思うとサラッとひいていく、これには犯人は心かき乱されるよね。

シリーズ化でまた会いたい人物の一人。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年07月22日

初めて読む作家さん。「降田天」という作家名は執筆担当とプロット担当、二人のユニット名だそうだ。

サブタイトルの通り、探偵役は神倉駅前交番の狩野。かつて『落としの狩野』と呼ばれる優秀な刑事だったらしいが、訳あって交番勤務へ移ったらしい。

全体的には大倉崇裕さんの福家警部補シリーズのような倒叙方式。...続きを読む
最初に犯人の視点から描き、何らかの理由で狩野に出会ってそこから犯人の罪があぶり出されていく。ただそれで終わりではなく、犯人も気付いていなかった新たな展開が待っているというのがワクワクさせる。
同時に読み手も見ていた景色が違って見えてきたりする。

収録されている五編のうち最後の二編は狩野が交番勤務に変わったきっかけとなる事件とその顛末が描かれている。
特に最終話はいろいろ考えさせられた。
警察が事件の犯人を逮捕し動機や犯罪の詳細を解明するまで、検察や裁判所は裁判でその詳細を明らかにし罪を決定する。
しかしそれで本当の解決とはならない。ましてや狩野が交番勤務に変わったきっかけのような事件が起きれば。
被害者側、加害者側、双方の家族(または遺族)が納得出来るような結末はない。現代のようにネットで勝手な憶測がまことしやかにあっという間に拡散してしまう社会では私刑がまかり通ってしまい、双方共に傷ついてしまうだろう。
一体何が被害者側家族にも加害者側家族にも納得し救いになるのか、難しい。

小説というよりはドラマを見ているかのような描写でテンポよく読める。
他の作品はどうなのかわからないが、機会があれば読んでみたい。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年07月10日

「落としの狩野」と言われた元刑事が主人公の連作・・・なのだが、
どれも犯人視点なのが面白かったです。
5編目でそうきたかー!という感じに。
ユニットの作家さんなんですね。他のも読んでみよう!

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月29日

ミステリ短編集。さまざまな事件を扱っていて、どちらかといえば物騒なものもあるけれど。読後はどこかしらほっこりさせられるような読み心地の作品が多いです。
お気に入りは「見知らぬ親友」。その人の受け取り方によって、見えてくるものが180度変わってしまう恐ろしさと悲しさが描かれていて印象的でした。最初から...続きを読むひりひりとした逼塞感とどうしようもない疑心暗鬼がつらかったのだけれど。真相がわかった後もつらい。けれど、まだ最悪の事態にならなくってよかったなあ、というところで一気に救われました。
そこから続く「サロメの遺言」も印象的。これもまた悲しい話。芸術って恐ろしいものなのかも……凡人でよかった、と思えてしまいました。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月22日

「神倉駅前交番狩野雷太の推理」という副題のとおり、交番の警官が地域課の特性を生かしながら、その鋭い洞察力を武器に事件を解決していく標題作を含む5つの短編。

30~40代、警官にしては長い髪の毛、にこにこというより、へらへらしてどことなく軽薄な感じ、能と言えば辛抱強くお年寄りの相手をすることくらい・...続きを読む・・としか見えない「交番のおまわりさん」狩野雷太。
ところが、望洋とした外見に反して、彼がのんきな調子で雑談を始めると相手はついボロを出す。
何気ない会話の中から、深い洞察力で隠された事実を見抜くだけでなく、犯人すら気づいていなかったその先の悪をも探り当てる。狩野恐るべしなのだ。
それもそのはず、狩野はかつて、「落としの狩野」と呼ばれた元刑事。ある過去を抱えて、交番勤務をする彼の秘密が、読み進むにつれて次第に明らかになるという手法は鮮やか。

5つの事件それぞれが意表を衝く展開でありながら、狩野の過去という共通する背景もあり、全体として非常にまとまりのある作品。
脇を固める県警の葉桜刑事、狩野の部下のみっちゃんこと月岡など魅力的なメンバーもあり、是非ともシリーズ化を望みます。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年06月08日

しゃべり方からは雷太の年齢設定がピンとこないが、軽いような馴れ馴れしいような口調でグイグイ質問されたら答えざるを得ないのだろう。市民にとっては頼もしいお巡りさん。もっと読みたい!

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年05月23日

僕は運命の少女に出会ってしまったのだ。だからこうなるのは、必然だった。少女を誘拐監禁した青年と軽薄なお巡りさんの出会い。(『鎖された赤』)、老女による美人局を行なっていた光代は、突然仲間に金を持ち逃げされた。しかしまだ当てはある、なんとかなる…(『偽りの春』)、泥棒を生業とする祥吾は母が入院した病院...続きを読むで一人の看護師と出会うが、一生を共にする気はなかった。それでも諦めない彼女のために祥吾は一本の薔薇を盗んでやった。数年後、彼女は薔薇の園芸家として有名に成っていた。祥吾が盗んだあの薔薇を手に…(『名前のない薔薇』)、美穂は同居している親友、夏希が心の底から嫌いだった。だからつい、彼女のスマホに細工をした。だからって、彼女が事故に遭うなんて想像もしていなかった。(『見知らぬ親友』)、アイドル声優として売れていた彼女が死んだ。僕はそれが自殺に見えるように細工をし、難を逃れた。しかしすぐに警察がやってきた。僕は、疑われているのか……その口に浮かぶのは果たして。(『サロメの遺言』)

交番のおまわりさんが話を聞いただけで事件を解決していく連作短編集。事件の作りも、話の流れもすごい良いのになんの前振りもなく(それまでに問題解決している姿を見ているとはいえ)突然事件を解決していくので、むしろ気味が悪い…降田さんだしとんでもないどんでん返しが来るんじゃないかと期待してたのにそうでもなかったし。だから最後の話で狩野が悩んだまま終わったのはむしろ爽快なくらいだった。とはいえ、短編ひとつひとつは後味悪いのも爽やかなのもちょっと良い話なのもあって好き。『鎖された赤』と『見知らぬ親友』が特にかな。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年02月24日

自分を被疑者の立場に置き、お惚けながら切れ者警官に追いつめられていく。刑事コロンボ視聴世代であり、古畑任三郎も愉しんだけれど、倒叙ミステリーを小説で読むってあまりない。狩野雷太は軽薄、へらへら、締まりがない、だらしない、チャラいっていうのが被疑者たちの第一印象で、まあコロンボとも古畑とも異なる。でも...続きを読む、図抜けた観察眼と直感により一目で犯行を見抜き、極めてうざったくて嫌味な会話により犯罪者との心理戦を制するってのは、まさにコロンボ・古畑のオマージュだ。監禁、詐欺、横領、復讐と王道のテーマながら、新鮮なプロットが織り込んである。吉田一沙は、失うのが惜しいキャラだった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年01月23日

1月ー14。3.5点。
元捜査一課の刑事、交番勤務。鋭い観察力で犯人を追い詰める、連作短編。
どれも面白く、次作も期待。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月31日

 前半犯人視点、最後に探偵役である交番のおまわりさんの狩野が登場で無事お縄というのが基本パターン。
 犯人視点というだけで犯罪にくしというより「いいところに邪魔しやがって」となるのがすごい。あと追われる犯人側の気持ちになる。小説っておもしろい。ただ、こういう話なので読んでいて若干心理的に追い詰められ...続きを読むた気持ちになってしまう。
 このまままだと読後感悪いかなと不安に思っていたら、ラストでさすがプロってなる。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年12月10日

短編かと思ったら連作短編集でした。犯人視点の物語なので犯人を追いかける話ではないですが、落としの狩野のたたみかける感じと犯人の焦りが伝わってきました。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年11月26日

交番勤務のお巡りさんが主人公。
落とし物が届いていないかやって来た大学生、バス停でバスを待っていたお年寄り…を見て、優れた洞察力で事件を見つけ出す。

主人公の捜査能力が凄すぎて、不思議な気分になった。事件自体は、色んな背景の人たちが出て来たので面白かった。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年11月18日

短編5作。最初の2作は、ちょっとうまくいきすぎじゃないですかね、と思って、構えちゃった。3作目は登場の仕方が今までとちょっと違って、4,5作目は何気に繋がっていた。
4作目は5作目への布石感が強かったなぁ。

2019.11.18
169

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2019年08月21日

脛に傷持つ人物がトラブルに巻き込まれ、交番のお巡りさんと関わる羽目になる。後ろ暗い所は隠し通せると思っていたらそのお巡りさん、かつて「落としの狩野」と呼ばれた元刑事が全てを暴くという倒叙形式の短編集。それぞれ最後の締めに苦めの一捻りが効いている。児童誘拐犯の学生が語り手の「鎖された赤」や高齢者詐欺グ...続きを読むループのリーダーの「偽りの春」が形式に則った話だけど単純な犯罪者ではない新種の薔薇を狙う園芸家の「名前のない薔薇」や同居している大学の友人に対する殺意「見知らぬ親友」の方が好み。最後の「サロメの遺言」オチは予想つくけどその後の展開が壮絶で読み応えあった。ただサブタイトルの「推理」というよりはちょっとした齟齬を見逃さないといった展開でそこはちょっと拍子抜け。

このレビューは参考になりましたか?