【感想・ネタバレ】文字渦のレビュー

価格 1,584円 (税込)

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年08月10日

文句のつけようのない傑作。例を挙げるなら新国誠一のような、具体詩的な要素がふんだんに鏤められている。恐らく英訳はほぼ不可能だろう。これを日本語で読める喜びはこの上ないものだ。言語の意味に執拗に拘り、意味と文字とを視覚的に楽しめるものにしている。

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Posted by ブクログ 2019年06月01日

文字をテーマにした連作だが、それぞれ独立しているし、文字の役割も色々であるし、そもそも扱う文字も様々だ。ある時は言霊のようだし、生物のようなものの時もある。通読して、やっぱり漢字はすごいと思う。象形文字から整理され、異体字を多く産み、整理され、各地域でさらに変貌していく。生物に例えるのもよくわかる。...続きを読む不思議な読後感だし、一字ずつ辿るのは難しく読むより眺める部分もある本だが、私は面白く読んだ。

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Posted by ブクログ 2019年06月07日

文字(漢字)の作り、配置、音にまつわる12編。飛ばし読みはできず難航したがようやく読破。
進化論から密教曼荼羅、犬神家の一族まで、何でもあり。文字を使ったSF怪作、いや改作か。

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Posted by ブクログ 2018年09月16日

文字(主に漢字)に関する物語。漢字の部首などの作りで遊んでいる感じや、ルビの使い方が読んでいて楽しい。各話の題材も歴史から理系の話題まで関連していて興味深い。わたしが特に好きな話は「闘字」、「新字」。

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Posted by ブクログ 2018年08月19日

こないだ某作家さんと飲んでた時に「時代小説書いてると編集者から「そんなに調べたこと全部書いたら読者がついてこないからほどほどに」って言われて「書きたい」って思ったけど、小学生からじいちゃんばあちゃんまで幅広くファンレターもらっちゃうと分かりやすさ第一にせざるを得ない」って言ってはって「大変やなぁ」と...続きを読む思ってたんやけど、たまにはこういう「作家がやりたいことを全力で振り切って書いてる」本もええよね、ファンレターは少ないかもしれんけどオイラは好きよ。

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Posted by ブクログ 2018年08月14日

また面白くなってる・・・。
タイトル扉に真理を表す文字を添えたのにはそれなりの確信があるんじゃなかろうか。
自分の中ではやっぱりSelf-Reference ENGINEのインパクトがドーンとあって、それ以降、SREの変奏を色々と楽しんできてそしてエピローグで1周したなという感じがあった。本作は、そ...続きを読むの種明かしでもあるプロローグで提示された新たなテーマが一気に爆発してる。そういう意味では、結果的にあの2作はこれまでのエピローグとこれからのプロローグだったという風にみても面白いかも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年08月12日

漫然と読んでいたらうっかりすると自分の立ち位置が分からなくなってしまうような、読み手にも相当の集中を要求する複雑怪奇な連作集だ。
まず文字を擬生物に見立てたパッケージがピンとくるまでに、特に円城塔氏の他作あるいは周辺のSF作品にもし免疫がなければ、少々時間が掛かるだろう。
カンブリア大爆発やら犬神家...続きを読むの一族やらインベーダーゲーム? やら、ジャンル無視のパロディが繰り広げられる一方で、筆で紙に書かれていた時代の文字とデジタル入力してディスプレイに表示される文字との根元的な違いに関する考察が練達の技で描かれていたりと、まさに硬軟何でもありの思考が存分に踊りまくっている。
表現に語弊はあるが、これはどこかで頭がおかしくないと書けない作品であることは間違いない、もちろん誉め言葉。

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Posted by ブクログ 2019年07月21日

まさか文字にこんな解釈があったとは!面食らいながら読み進めましたが、読み終わった瞬間感じたのは爽やかで明るい希望。きっと媒体が紙から電子になっても、文字は生き残って本という存在も続いて行くでしょうね。これからも、いえこれまで以上に文字たちと仲良くしたいです。

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Posted by ブクログ 2019年05月03日

読み終わった…。

とりとめなく感想を書き留めるなら、第8章「誤字」で突然自我を得たようにおしゃべりを始めるルビのふるまいが可愛いこと、一冊を通して澱むところのない…というか淀んで立ち込めてもくもく煙っているというべきかまさに渦を巻くようなこの奇想はどこから湧いてくるの?という感嘆、そして執筆状況報...続きを読む告でちらっと例のページを紹介してた時にも思ったとおりこれはアート作品なのだなと。
本というのは読めば読者は同じ話をたどってその先にいろいろと感想など思うところを抱くものだと思うけど、文字渦は話自体をどう理解するかも人それぞれな気がする。同じ文字を追いながら辿る道が違うというか。

なんにせよふりがなに徹している最中にふと読者が本文ではなく自分を見ていることに気づいたように、

”おっと、こんにちは。おまえはだれかといわれるとそう、まあね、みてのとおりルビですね”

と話し始めちゃうルビちゃんは、もはやひらがなの横まではみ出しながらびっしり行間を埋め尽くす異様な絵面的にも、妙に親しみのある可愛さ的にもこの本の最大の見どころなのではないかと思います。

とりあえず一読して理解するのは無理でした!

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Posted by ブクログ 2019年03月16日

読み通すのにかなりの力が必要だと思い読み進めたが、ひょっとすると、この本は「理解」ではなく「感覚」を求めているのでは、と思い始めた。只々「文字」の並びを、その流れを見つめればいいのでは…と。そうすると、次から次へと、バカバカしい言葉が…。ひたすら「文字」で遊んでいる作者が羨ましい!そして、何より、「...続きを読む文字」は美しい…。

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Posted by ブクログ 2019年03月16日

今の世界とたどった歴史やこれからたどる近未来はほぼ同じだけど、ほんの少し、文字に係る法則が違う世界に放り込まれて、そこでエッセイや小説を手にした感覚

決して文書がわかりにくいということはない。けれど、前提にある法則が異なっているが故になかなか読み進むことができない、そんな気分を味わった

面白いけ...続きを読むれどアタマがすごく疲れる、でもまだ内容の1割も理解できていないような感じもするので、しばらくしたら再読したい

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Posted by ブクログ 2019年02月02日

 中島敦とは違いますね。そこが面白かった。「もじうず」なんですから。もっとも、ルビと本文の二重表記で、本当に眩暈がしたのには参った。これに気づいた作家はえらい。

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Posted by ブクログ 2018年10月29日

終始ニヤニヤしながら読んだし、こんなに笑った円城塔は初めてだった。

「昔、文字は本当に生きていたのだと思わないかい?」というウリ文句からしてなかなかの悪ふざけではあるが、よもやここまで悪ふざけが過ぎるとは思わなかった。出だしの『文字渦』はまだ舌を巻きながら読めるところはあるが、後半に行くに従って徐...続きを読む々にエスカレートしていき、しかめつらしく読むべき文学なのか、抱腹絶倒のギャグなのか、そもそも自分は何を読んでいるのかよくわからなくなっていく。

しかし、よくもまぁここまで様々なネタを繋げながら文字で遊びきれるものだなぁと感心する。文字コード問題に端を発する戦争なんて上手い発想だし、どうなっているのだろう、この人の頭の中は。

それにしても校正泣かせであったろうことは想像に難くない。南無。

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Posted by ブクログ 2018年10月13日

初出 2016〜18年の「新潮」、短編12編

日常的に連綿の草書や変体仮名、異体字に接しているので、非常に面白く読んだ。

文字、特に漢字を使ったお遊びとも言える短編集だが、深い教養に根ざしているので、「え、ほんと?」と思ってしまう仕掛けにたくさん引っかかった。

文字が意志を持ち、生まれ、語り、...続きを読む増殖し、戦い、死んでいくという観念が面白い。
なかでも、ルビが別のことを語っていくのは、とても読みにくくはあったが、笑えた。

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Posted by ブクログ 2018年08月21日

中島敦に『文字禍』という短篇がある。よくもまあ同名の小説を出すものだ、とあきれていたが、よく見てみると偏が違っていた。『文字禍』は紀元前七世紀アッシリアのニネヴェで文字の霊の有無を研究する老博士ナブ・アヘ・エリバの話だ。同じ名の博士が本作にも登場するところから見て、連作短編集『文字渦』は中島の短篇に...続きを読むインスパイアされたものと考えられる。

『文字渦』の舞台は主に日本と唐土。時代は秦の時代から近未来にまで及ぶ。ブッキッシュな作風で、渉猟した資料から得た知識を披瀝する衒学趣味は嫌いではないが、近頃これだけ読めない字の並んだ本に出会ったことがない。康煕字典でも手もとに置いていちいち繙くのが本当だろうが、それも大変だ。とはいえ、文字が主題なので、それがなくては話にならない。一冊の本にするには、関係者の苦労は並大抵のことではなかったと推察される。ただし、外国語にはほとんど翻訳不可能だろう。

始皇帝の兵馬俑発掘の際、同時に発見された竹簡に記された文字の謎解きを描いたのが表題作の「文字渦」。粘土で人形を作ることしかできない男が、俑造りのために召しだされる。腕を見込まれて始皇帝その人をモデルに俑を作ることになるが、その印象が日によって変わるのでなかなか捗らない。兵馬俑の成立過程とその狙いを語りつつ、物と直接結びついていた字が、符牒としての働きを持つ実用的な文字へと変化してゆく過程を描き出す。

阿語という稀少言語を探しながら各地を歩いていた「わたし」はあるところで「闘蟋」ならぬ「闘字」というものに出会う。「闘蟋」とは映画『ラスト・エンペラー』で幼い溥儀が籠の中に飼っていたあの蟋蟀を戦わせる遊びである。「闘字」は、それに倣い、向い合った二人が互いに硯に字を書いて、その優劣を競う。ヘブライ文字で書かれたゴーレムの呪文を漢字に書き換える論理のアクロバットが痛快無比の一篇「闘字」。

個人的には、「梅枝」に出てくる自動書記の「みのり」ちゃんがお気に入り。いくつものプーリーやらベルトで出来たガントリー・クレーンを小さくしたような形の機械ながら、『源氏物語』の紫の上の死を書き写す際、のめり込み過ぎて他の書体では書けなくなってしまうほど神経の細やかなオートマタなのだ。ニューラル・ネットワークによって学習する「みのり」は話者である「わたし」の一つ先輩である境部さんの自作。境部さんはアーサー・ウェイリー訳『源氏物語』を自分で訳し直したものを「みのり」を使って絵巻に仕立てている。本は自分で作るものだというのだ。

この時代、紙は「帋」と呼ばれるフレキシブルディスプレイと化している。境部さんは言う。「表示される文字をいくらリアルタイムに変化させても、レイアウトを動的に生成しても、ここにある文字は死体みたいなものだ。せいぜいゾンビ文字ってところにすぎない。魂なしに動く物。文字のふりをした文字。文字の抜け殻だ」「昔、文字は本当に生きていたのじゃないかと思わないかい」と。

この境部さんのいう文字に魂があった時代、もう一人の境部が遣唐使として、唐の国に渡っている。白村江の戦いに敗れ、唐の侵攻を食い止めるための外交交渉の副使としての任務がある。高宗の封禅の儀式に立ち会い、皇后武則天の威光を知った境部石積は、一計を案じる。外交の窓口となる役人に二つの願いを出す。ひとつは函谷関を越え西域に旅をする許可。もう一つは、武則天の徳を讃えるために新しい文字を作ること、である。前者は日本がカリフの国と手を組んで唐を挟み撃ちにすることを意味している。

そんなことが許されるはずがないので、これは単なる脅しにすぎない。ではもう一つの方にはどんな意味があるのか。「石積は思う。もしもこの十二年、自分の考え続けてきた文字の力が本当に存在するのなら、皇后の名の下に勝手な文字をつけ加えられた既存の漢字たちは、秩序を乱されたことを怒り、反乱を企てるだろう。楷書によって完成に近づいた文字の帝国に小さな穴が空くだろう」と。

中島敦の『文字禍』に登場するナブ・アヘ・エリバの名が出てくるのが、この「新字」。老博士は文字の霊の怒りにふれ、石板に下敷きになって死ぬが、石積はその文字の力を信じ、一大帝国に揺さぶりをかけようとしているのだ。もし西域への旅が許されたら、同盟国を探すつもりだが、その頃日本は唐に攻め滅ぼされているかもしれない。それなら、新しい土地で新しい言葉で日本の歴史を記せばいい。それも「国を永らえる一つの道なのではないか。文字を書くとは、国を建てることである」と石積は考えている。

収められた十二篇の短篇の中には、横溝正史の『犬神家の一族』をパロディ仕立てにした「幻字」もあり、SF、ミステリ、歴史小説、王朝物語とジャンルの枠を軽々と越えて見せる変幻自在ぶりに圧倒されて、ついつい見逃しがちになるのだが、全篇を貫くのは「文字の力」という主題である。公文書の改竄や、首相、副首相の無残な識字力が世界中に知れ渡ってしまった今のこの国において、文字の魂、文字の力を標榜することは大いに意義深いものがあるといえるのではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2018年10月15日

本作品を小説というジャンルにしておいていいのだろうかと思うほど奇妙な作品だ。文字の可能性を突き詰めた論文のようでもあるし、単に文字を題材にした実験小説とも言える。とても感想を述べにくい作品である。では、読みにくいのかと言われると、想像していたよりは読みやすかった。難しい作品ではあるけれども、作者の言...続きを読むわんとしていることは伝わってくる(理解しているかどうかは別問題)。漢字で表現されたスペースインベーダーゲームが登場したのを見て、漢字は文字なのか記号なのかイラストなのか、日本人であるからこそ楽しめる領域なのだと思った。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年10月16日

「文字渦」★★★★
「緑字」★★★★
「闘字」★★★★
「梅枝」★★★
「新字」★★★
「微字」★★★
「種字」★★
「誤字」★★★★
「天書」★★★
「金字」★★★
「幻字」★★★★
「かな」★★★

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Posted by ブクログ 2018年09月25日

新しい言語、新しい文法、新しい単語が、今この瞬間にも生まれているであろうのに、
新しい「文字」そのものは、いつから生まれていないのだろう?

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