【感想・ネタバレ】こうして歴史問題は捏造される(新潮新書)のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年12月01日

第一次資料の読み方、証言の捉え方等、研究の本道を説き、慰安婦、南京事件等に関する客観的事実を解説。イデオロギーに依らず、謙虚に歴史を見つめる作法を提示する。

歴史を研究する上での基本的な作法が詳しく書かれている。そもそも歴史のとらえ方が違うのだから、中国が南京事件に言及し、韓国が慰安婦・徴用工問題...続きを読むを蒸し返すのにイチイチ反論しても無意味、というのは説得力がある。「左がかった人」が読めば著者はかなり右寄りに思えるかもしれないが、「公文書至上主義」の著者はそんな色眼鏡は超越しているようだ。
(B)

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Posted by ブクログ 2017年12月06日

占領軍の民間情報教育局は、戦争裁判を日本人に受け入れさせるウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムを実施した。

NHKの「決断なき原爆投下」も、証拠資料を表面的にあさっただけのもので、まったく信用できない。トルーマンの日記は、彼が自己弁護のために書いたものであることを見過ごすべきではない。

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Posted by ブクログ 2023年02月12日

この本の内容が真実か否かはさておき、日頃のメディアや資料の見方について改めて考えさせる内容であった。
「数字は嘘をつかないが、嘘つきは数字を使う」という言葉があるが、自分たちの主張をさも正しいかのように書いたり、誤った事実を意図的に伝えるために、誰かの発言や怪しい論文などの言葉や数字の一部だけを切り...続きを読む取ることはよくある事である。
自分の中で確証が得られるほどのソースを確認していないので、(そもそも研究者でもない一般人が歴史問題が真実か嘘かということを真剣に主張すること自体ナンセンスでもあり、)この文章で書かれている戦争関連の内容には同意も反対もしかねるが、「今目にしている情報を鵜呑みにしない」ということが当たり前のようで実行が難しいと痛感した。

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Posted by ブクログ 2018年07月07日

大事なのは、一次資料と反証可能性、実際に反証を検証する姿勢、他の資料とのクロスチェックだ。

あったり前過ぎることなのだが、これが極めて難しい。

一般市民はそんなことやってる暇はないし、一旦信じてしまったことを修正、変更するのは、いいことでも悪いことでも猛烈に心的エネルギーがいるのだ。

だから、...続きを読む研究者はジャーナリズムはこれに徹してもらわなければ困るわけだし、民主主義の根幹になるのだが、ま、そうでないことが色んなことを生み出してるわけだね。

いわゆる歴史問題や、歴史修正主義、ジャーナリズムの問題にも触れる。

ちなみに、政治的イデオロギー、建国イデオロギーなどのプロパガンダは、事実としての歴史とは無関係である。

今のジャーナリズムはこれに近いんだろうね。

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Posted by ブクログ 2018年04月08日

いい本です。
南京事件は、虐殺された人数が30万人と数字だけがどんどん増えていくようですが、有馬氏のスタンスは、「便衣兵(兵士が民間人に化ける)の処刑以外にも一般市民の虐殺もあったが、それは組織的なものではなく個人や集団による散発的なものであった」(P65)というものです。

従軍慰安婦についても、...続きを読む軍による強制性がなかったことがはっきりして謝罪したときにも、朝日新聞は「広義の強制はあった」と詭弁を呈していましたが、「残された資料を読めば、既に売春法があった日本軍の関与は、法規制や取り締まりを緩める方向で働くケースはあったものの、慰安婦になることを強制する方向では働いていない」(P89)とし、広義と言えばどんなケースも当てはまってしまうことを指摘。

また、慰安婦問題を政治・外交問題にすべく奔走した福島瑞穂に代表される弁護士を「弁護士は、依頼人のためならば、不利なことは一切言わず、有利なことのみをいうことが許される職業です。」(P107)
なぜ彼らが意図的に自分たちの理屈に不利になる情報(歴史的事実)を無視するのかが、よーくわかる指摘です。

そして、慰安婦問題については別の視点でも論じます。
「日本や中韓での慰安婦問題で欠けているのは、戦場や占領地で日本軍兵士のレイプやそれに伴う暴行や殺人の犠牲になった女性たちの人権という視点です。被占領地の女性には「レイプされない権利」があるはずです。」(P205)というのは、異常な興奮状態にある兵士が何をしでかすかわからないことを知りながら何の方策も取らなければ、闇雲に被占領地の女性が危険な目にあっていた(実際、終戦間際に参戦したソ連兵の殺戮に近い乱暴狼藉や日本降伏後の平時でさえ米国進駐軍が多くの日本人女子をレイプしています)点を指摘し、戦時中の慰安所の存在は必要悪だったと導きます。

それにしても、海外の元慰安婦には「女性の人権」という立場から寄り添う日本人弁護士や報道機関が、終戦間際や終戦後に公然と行われた占領軍によるレイプで、彼らが日本人被害者女性のためになにか具体的に行動をおこしたのか、寡聞にして知りません。

「女性の人権」を高らかに謳うのなら、中韓の被害女性ばかりでなく、同士である日本人被害者、さらにはベトナム戦争で韓国軍が行ったレイプ犯罪に対しても断固として戦うべきでしょう。

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