感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2017年04月04日
エッセーだと思って読み進めていたら、途中で世界がぐにゃりと曲がる。
どこまでがエッセーで、どこからが小説なのかの境界があいまいだ。
しかし、一歩立ち止まって考えてみると、エッセーと小説の境界を厳密に定義しようとするのは一義的な見方だ。
本作の筆者の主張は「認知症の徘徊老人には常人とは違った...続きを読む世界が見えているはずだ」というもの。
ならば、エッセーと小説の境界線は常人の見方に過ぎず、筆者にとってはエッセーも小説も共存可能な世界の見方なのではないか。
躁鬱病を公言する筆者には、また別の世界が見えているのだろう。
また、徘徊老人に対してスポットが当たる。
ベッドに縛りつけておくだけでよいのか、
老人施設に預けておけばよいのか。
もし、俺が年取ってジジイになって頭がぼけたとしても、一つ同じところに留まりたくはない。
そういった介護に対する純粋な疑問も筆者は提示している。
祖父の危篤で地元熊本に帰った恭平は、祖父が遺したミカン色のワーゲンに徘徊癖の曾祖母を乗せてドライブに行く。
辿り着いた先の丘から熊本の街を見下ろした曾祖母は一言、ヤマグチとつぶやいた。
かつて曾祖母が住んでいた山口を思い出したのだろうか。
恭平は、曾祖母が常人が見ている世界とは違い、彼女にとってはそこが思い出の山口だったのではと気が付く。
徘徊老人が行きたい場所へ連れていく。
「徘徊タクシー」は時と時間と場所を越えて、老人が目指す場所へとエスコートする。
Posted by ブクログ 2022年09月26日
認知症に対する考え方が根本から異なる印象を持つ。「認知症=ボケ」と片付けてしまいがちだが、個人個人の次元が違うという捉え方が斬新であり、面白いと感じた。確かにそのように考えると、周りの人間からすると一見不可解に見える行動であっても、本人には何かの目的で動いているのであって、そもそも見えている(認識...続きを読むしている)景色が異なっているだけなのかもしれない。
Posted by ブクログ 2018年05月28日
第三者からは、呆けて自分が何を考えてるのかさえわかっていないとみえるのに、旧い記憶が残っていたり不思議な行動を起こしたり。認知症とその対応について考えさせられた。2018.5.28
Posted by ブクログ 2017年09月21日
うーーん・・・なんかあちこちに話が飛ぶのでちょっと難しかった。かなり集中力が必要な本のようだ。
まぁそれも巻末に作者と養老猛さんとの対談で何となく理解できました。
本筋の介護タクシーの話はまぁまぁよかったです。
認知症の徘徊という症状をとらえて、こういう見方もできるのかって思わせてくれたので。
この...続きを読む題材で他の作家さんでも読んでみたい気がする。
Posted by ブクログ 2017年04月15日
面白いような気もするけれど、時に難解。急の作者の世界にぶっ飛ぶので、ついていけないというか、理解が追い付かなかった。蠅にいたっては、状況が全くつかめず?だらけでした。
Posted by ブクログ 2017年03月24日
徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。ボケてるんだろうか。いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ!認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を立ち上げた恭平と老人たちの、時空を超えたドライブを描く痛快表題作と、熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」な...続きを読むど、三編を収める新編集小説集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。
Posted by ブクログ 2017年03月05日
面白いと思う。短すぎて物足りなさが残った。それは期待の裏返しということで。
あらすじ(背表紙より)
徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。ボケてるんだろうか。いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ!認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を立ち上げた恭平と...続きを読む老人たちの、時空を超えたドライブを描く痛快表題作と、熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」など、三編を収める新編集小説集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。