【感想・ネタバレ】地政学で読む世界覇権2030のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年01月01日

人口動態と地政学で予測する2030年。結論としてアメリカ独り勝ち&内向化。ヨーロッパは没落、中国は分裂、ロシアは崩壊。キーになるのはトルコ?日本は海洋国家としてひと暴れできるか?

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Posted by ブクログ 2022年07月24日

本書の前段は、いかにアメリカが土地として、つまり地政学的に「俺TUEEE」なのかということを説いており、ちょっとトンデモ臭も。ただし「アメリカ人」ではなく「アメリカの地形」が、ということなので、そこは混同しないように注意が必要。

だが、アメリカ最強伝説はともかく、本書で書かれているロシアについての...続きを読む言及は、今日のウクライナ侵攻をバッチリ予言している。

「ロシアに行動を起こす力があるのは、せいぜいあと8年が限界だ。」(P267)

 本書は原書で2014年刊行なので、「せいぜいあと8年」の期限とは2022年なのだ。そして、ここで言及されている力とはロシア国内の人口動態に基づくもので、説得力がある。

「ロシアには国境にいくつものあいた口をすべて塞ぐ力はおそらくないだろう。従って優先順位を決めなければならない。この国が少しでも長く存在し続けるためには、次の順で行動するのが最も望ましいと思われる。ロシアにとって唯一かつ最大の不安要素、それはウクライナだ。」(P267)

「(ロシアは)ロシア系住民の多い東部と南部の『助けを求める声』に応じて『救援』活動を始めるに違いない。」(P272)

 と続く。大した洞察だ。

 ここで2点ほど疑問が生じる。

1. なぜ、本書がクローズアップされないのか?
 少なくとも東洋経済新報社の編集担当者は、本書の価値をもっと喧伝してよいと思うのだが、なぜ、やらないのだろう?「8年前にロシアのウクライナ侵攻を的確に予言!」という感じの帯つけて、週刊東洋経済でもちょっとキャンペーン的な宣伝をやれば、かなり売れると思うし、それにより、今日のウクライナ問題に対して、ステレオタイプでない視点を獲得する人が増えると思う。

2. なぜ、本書のような議論・切り口がメディアでは見受けられない?
 自分の勉強不足かも知れないが、本書のような視点でロシアの侵攻を説明しようとする議論をマスメディアで見たことがない。地政学的な視点のものがあるとすれば、せいぜいNATOの東方拡大にプーチンがキレたというものぐらいで、後はロシア帝国の復権を夢見ているだとか、単なる領土的野心を自己の権力保持のために乱心して実行したが、誰も諌める者が周囲にいないなど、見てきたような憶測ばかり。それほど本書の分析が唯一無二の珠玉ということなのだろうか。

【由来】
・東洋経済2018/03/26

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Posted by ブクログ 2023年04月30日

「地政学的」という表現を最近あちらこちらで目にする。

それは広く国際関係論的な意味だったり、海と山と陸の関係性だったり、時には民族・宗派など社会関係が含まれていることもあり、初心者からすると世界情勢についての予測に信頼性をもたせるおまじないのようにも見えている。

本書は「影のCIA」と厨二のよう...続きを読むな別称のある民間シンクタンク「ストラトフォー」の元幹部による、地政学的なモノの味方を使った国家の未来予測である。

本書の導入は、第二次世界大戦直後のブレトンウッズ体制が世界にもたらした意味からはじまる。地政学的な観点から見たブレトンウッズ体制とは、国境・通商の安全をアメリカが確保ことで、各国がそれまで必死に行ってきた国防への注力を全て経済活動に向けることができることであるという。

そして前半から中盤ごろまで、国家の文化・経済の発展する地政学的な条件として、通行可能な川、土壌、峡谷、海岸線、海流など自然環境を使って歴史的な説明がつづく。国家はこのような条件によって、資本蓄積ができたところは発展してきたのである。しかしブレトンウッズ体制は、これらの地政学的条件に関わらず、そこにっ加わることで資本蓄積ができるシステムであった。現在の資本主義国家の成長は、これが理由だ。

だが今、アメリカにとってこの体制を維持する必要性が下がってきている。それはシェール資源だったり、人口構成、移民だったり、自然環境的な優位性だったり、さまざまな理由があるが、要はアメリカはもう単体で十分やっていけるのである。

もしアメリカが、世界の地政学的条件を保護する役割を捨てるとどうなるか、本書の後半では、あらためて地理・人口・資源などの条件から各国の未来を予測する。その予測は、目を背けたくなるほど悲惨である。アメリカ以外全部ダメである。救いのないことに、本書では解決方法すら全く書かれていない。信じるも信じないも読者の自由、と切って捨てる。

地政学的な分析の知識を得られる満足度の割に、なんとも後味の悪い本であった。

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