【感想・ネタバレ】動物農場のレビュー

動物農場は複数の出版社から訳本が出ていますが、1972年のソビエト連邦が健在なりしころに高畠文夫さんによって訳された本作。
農場の管理者である人間を、動物たちが蜂起して追放し、自分たちの自由で平等な理想の農場を作ろうとします。様々な動物が登場しますが、キャラクターが旨く描き分けらていてわかりやすいのと、理想に向かって進んでいるはずなのにいつの間にか次の権力者が生まれ、過去の出来事が簡単に塗り替えられ、何が事実かもわからなくなって、次の権力構造が形作られる様が分かりやすく描かれています。スターリン時代の旧ソ連を風刺した作品で、訳についても健在なりしころの左翼っぽい表現も感じられて味わい深いです。
しかし、ここに描かれた物語は昔のソ連のパロディというだけでなくて、お隣の国の現在進行しつつある状況をも彷彿とさせます。歴史は繰り返すと言いますが、そのからくりはどこにあるのか、本作を読めばわかる気がします。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2023年03月30日

モリーちゃん可愛いよモリーちゃん。

解説も含めて最高でした。
もっともっと自分が深みのある人間になることができてから、もう1回読みたい。

0
購入済み

怖い

匿名 2023年01月12日

怖いけど全体主義がよくわかる傑作。
こういう小説で概要を理解した上で専門書を読むとすんなり全体主義が理解できそう

0

Posted by ブクログ 2022年11月12日

「動物農場」はスペイン内戦が背景となって書かれた、『1984年』の寓話版とも言える作品だという予備知識ありで読んだけれど、それにとどまらない普遍性をもった小説だと思った。
ソ連、ロシア、中国、北朝鮮。
打倒したはずの権力者を民衆自らが再生産し、しかもそれに無自覚なまま虐げられる「ユートピアからのディ...続きを読むストピア」という構図を、戯画化することで一般化している。
そういえば、イタリアの終戦記念日だったっけか、「ファシストになるくらいなら、豚になる方がマシ」という、紅の豚のセリフがさかんに流れるらしい。けれど、この「動物農場」では、豚こそがファシストということになっている。しかも、それは他より多少優れた知性をもつことによる。ということは、そこには能力主義がもつ歪みも当然反映されているわけで、そうなればさっき挙げた共産圏(元共産圏を含めて)だけではなくて、民主主義を標榜する国全部が当てはまるということになる。
頭のいい人、カリスマ性のある人に任せておけば大丈夫。難しい政治のことは優秀な人に預けておいて、自分は日々の暮らしに埋もれていられるのが幸せ。
そういう気分で暮らしている人が大半の国に自分は暮らしているし、自分にも多少なりともそういう気分は共有されている。
自分が当たり前だと思っていることが、自分自身にとっていかに危険なことなのか。
そういうことにハッと気づかせてくれるオーウェルは、やっぱりすごいと思う。

0

Posted by ブクログ 2022年09月29日

 かなり衝撃を受けた『一九八四年』を書いたジョージ・オーウェルのヒット作。表題作を含む短編4編が収録されているが、どの短編にも共通するテーマは「支配」。100%ORANGEさんの描く表紙の可愛らしい動物たちとは裏腹に、内容は残酷。だが雰囲気は明るく、不思議な感覚。どんな人間も動物でさえも、権力の頂点...続きを読むに君臨すると独裁者になってしまうと風刺している。馬のボクサーが不憫でならない。ナポレオンを始めとする豚たちよりも、シュプレヒコールを声高に唱える羊たちが怖かった。
 オーウェルは小説より評論が主らしいが、既読の2作がとても面白いので他の作品も読んでみたい。

0

Posted by ブクログ 2022年06月05日

ディストピア3小説3冊目。動物農場の物語自体は意外と短い短編小説だった。残り半分は、オーウェルのビルマ時代の話と解説など。いきなり話が変わったので、一瞬整理が出来なかった。

動物農場の話自体は、リアルな怖さを覚える。
どんどん事実が歪められていくが、既成事実として皆に信じこませていく過程は、今の自...続きを読む分たちの世界におき変えても平気で起きている事のような気がする。

0

Posted by ブクログ 2022年05月21日

おもしろかったのは
・支配者がいなくなってもすぐ別の支配者が生まれること
・支配する側は自分の利益しか考えないこと
・何も考えず流される者は自分の運命を他人に決めさせてしまっていること、気付かぬうちに搾取されること
・まじめに従順に何も考えず従う者は損すること
・人のせいにすること
・記憶は簡単に上...続きを読む書きされること

0

Posted by ブクログ 2022年05月09日

嫌だなあ

どれだけ人に絶望したらこんな小説が書けるんだろうと思う
でも、この小説を読んでいてこの上なく不快な理由は、ひとえに、自分にも身に覚えのある人間の業深さを突きつけられてるからに違いない
こういう露悪的なものは大好きだ
でも、風刺されている業深さについて心当たりがある自分、重視している小説と...続きを読むして評価してしまう自分は、嫌いなんだよなあ

みなを

0

Posted by ブクログ 2021年02月14日

人間社会の縮図を描いた寓話。
共産主義にしろ、ナチズムにしろ、はたまた現代の民主主義もどきにしろ、行き着く先はこの本にある。欲を持つ動物である限りはこうなるのであろう。
理想を掲げて国家建設を目指しても、成就してしまうと、その理想はどこへやら、今までと変わらぬ為政者に成り果ててしまう。ずっと繰り返さ...続きを読むれる歴史。 

色々と思い当たるものに、当てはめて読むと、大変面白いです。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年05月17日

ソビエトのスターリン制を批判した作品で、ナポレオンはスターリン、スノーボールはトロツキー、革命を焚きつけたメージャー爺さんはレーニンだそうだ。民衆のために人一倍働いた馬のボクサーが、病院に搬送するとされながら屠殺場に送られ、その酒でどんちゃん騒ぎをする豚たちのくだりが生々しかった。共産主義も右翼も度...続きを読むを過ぎればファシズムであり独裁である。こんな社会になってはいけない、しかし今の社会そのものではないか?最後に人間のピルキントンが二足歩行のナポレオンと宴会をしているが、うちは下層階級、おたくは下層動物というやっかいものがいる、というようなことを言っている。これは共産主義の話か、資本主義の話か?どちらにしても、社会主義のオーウェルは、そのどちらも憎んでいたんだろうと思った。

0

Posted by ブクログ 2019年01月18日

この作品の訳書はいくつかの出版社から刊行されているが、角川版を推したい理由は、巻末に開高健氏による短い評論『24金の率直―オーウェル瞥見―』が掲載されているから。(ほかに、ちくま文庫では開高健訳の動物農場がある)

George Orwellの著作を読むにあたって、ぜひ参照してほしい。

また、訳者...続きを読むによる解説も、著者の簡潔な伝記となっていて良い。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年11月21日

本書では、ある農場の動物たちが人間からの解放を実現し、様々な障害に遭いながらもより良い生活のために奮闘する姿が描かれている。全体を通して悲壮感が漂っていたように感じた。また読んですぐ、物語はバッドエンドで、何かを風刺した作品になるだろうと想像できた。おそらく本書の淡々とした文体と物語運びがそう感じさ...続きを読むせたのだろうと思う。動物たちの指導者であるナポレオンの発言に疑問を持たず同調していく動物たちを見て、単純に恐怖を感じた。動物たちは独裁的な制度の中で踊らされている印象を受けた。しかし、第三者として物語を客観的に読んでいるからそう感じるのであり、もし自分が現実で本書のような環境に置かれたら、どう考えるかは分からない。本書では、動物に知恵がないことが動物の不幸をもたらしていると感じた。現実でも、国民が賢くならないことには政府の悪い企てを見抜くことができない。今の自分ができることとして、日々の勉強に邁進してこうと思った。有名作品であるため、読んでみたがそこまでのインパクトはなかった。

0

Posted by ブクログ 2019年01月16日

ーウェルの2大作品のひとつ

人間に虐げられている農場の動物たちが理想の暮らしを得るために立ち上がり、人間を追い出し動物農場を作る。

その中で賢いブタが彼らのリーダーとなり統率していくが、やがてその農場はブタが人間に代わっただけの世界へと変貌していく。

旧ソ連時代の社会主義圏の全貌を動物を...続きを読む用いて描いた風刺満載の本作品は非常に読み応えがあります。

スノーボールがトロツキーで、ナポレオンがスターリン。
犬たちが軍隊みたいな構図になっています。

動物たちの決まりごと『七戒』もいいように改変されています。

例えば『動物はベッドで寝てはいけない』
           ↓
   『動物はベッドで寝てはいけない、シーツを用いては』など

動物を題材にしているので笑えますが、こんな社会は笑えません。
オーウェルの才能に脱帽です。

0

Posted by ブクログ 2023年10月13日

平等を目指したロシア革命が独裁制に陥った歴史を、農場主から独立した家畜動物たちに擬して描いている。家畜を主人公にするところからしてそうだけど、全篇に渡ってコミカルな風刺が効いていておもしろい。

0

Posted by ブクログ 2023年07月02日

セリフの一句や一行の文に、読み手がどれだけの関心や知識、歴史の知識があるか次第でこの寓話は感じ方が変わる。私もロシア革命時代の様子は良く知らないが、寓話と読むには心に引っかかるサインが随所にあった。全くスタイルの違う「象を撃つ」「絞首刑」「貧しい者の最期」も何でだか引き込まれて行った。リアリティがあ...続きを読むるのかな?

0

Posted by ブクログ 2022年12月26日

人間の支配から脱して独自の社会を築き始めた動物たちのお話。
動物のセレクトが秀逸で良かった!
表題作の他にも支配がテーマの短編がいくつか。
象を撃ち殺す話が好きだった。

後半かなりページ数さいてオーウェルの生涯について記してあるのも興味深く読めた。

0

Posted by ブクログ 2022年11月18日

共産主義と資本主義と独裁主義が、いつの間にか混ざり合って混乱し、いつの間にか差別主義と格差の中に迷い込んでしまった。
ロシアか中国の話だとばかり考えていましたが、最近の日本も笑えなくなってきている気がしています。

0

Posted by ブクログ 2022年09月08日

人間が思想をもち、その思想が人間を歪めていくある種必然的な時の流れを見事に描いている。ソビエトの歴史を上手く動物世界に落とし込んたわ作品。

0

Posted by ブクログ 2022年06月04日

民主主義国家を作ろうとした動物たちが独裁国家や全体主義国家へ至る過程を描いた寓話、同作者の『一九八四年』より明快で読みやすい。
スターリン政権時のソ連を風刺した内容だけど、データの改ざんやデマ拡散で国民を騙そうとする手法なんかは現代の日本でも使われてるっていう。

0

Posted by ブクログ 2021年11月04日

オーウェルはテーマが一貫してますね。
20世紀のイソップ寓話とカバーに書かれていましたが、その通りです。
ほっこりから始まりじわじわと怖くなってきます。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年10月09日

本作品もテーマが著者オーウェルの代表作「1984年」の中で描かれる「ニュースピーク」に重なる。

それは「全体主義の恐怖政治」において、法(作中では7つの掟)や歴史の解釈(作中では追放された元リーダーのスノーボールが活躍した事実)がこっそり政治の中枢で改訂され、それが知識人らによって流布され、大衆が...続きを読む簡略化されたスローガンを連呼して全体主義が浸透していくという流れ。

資本家の象徴として描かれる元荘園主を追い出して動物による動物のための農場を作ったリーダーのナポレオンだったが、最後は隣接する農園主の人間と密会を重ねるうちに豚のナポレオンが2本足で歩くようになり、服を着るようになり、人間と見分けがつかなくなっていく。
これは労働者のリーダーのはずのスターリンが資本主義国家の英国や米国首脳と会談を重ねて彼らに同化していく様子を風刺している。

オーウェルは言う。
【現代の戦争】とは、支配集団が自国民に対して仕掛けるものであり、戦争の目的は領土の征服やその阻止ではなく『支配構造の保持』にある、と。

そして法や歴史的解釈、ニュースの真相といった政治的教養は、いかにマスコミやフェイクニュース、プラットフォームのアルゴリズムによって自在にプロパガンダに変貌しうるのかを示している。

0

Posted by ブクログ 2021年05月23日


社会主義を寓話化して批判している本であるが、解説にもあるように、全ての権力体制にこれが当てはまるほどに昇華されている。

権力は、ついた瞬間に腐敗が始まる。

象の話も印象深い。支配者は被支配者に支配者として振る舞うように支配されている。

解説や作者の生い立ちも詳細に書かれ、何重にも楽しめる本。

0

Posted by ブクログ 2021年03月04日

そうなのか…という落胆が最後を飾る。
傲慢な管理者になった豚たちは、人間と見分けがつかなくなる。無知な他の動物たちは、ただ為すすべなく 搾取されるだけ。
隷属から解放されるための革命だったはずなのに、なぜ理想は現実にならないのだろう。

0

Posted by ブクログ 2021年01月07日

動物農場→人間にこき使われてた動物たちが反乱して自分たちで農場を運営する童話。でも後半…やっぱり悪いやつはいるってことで。

特に2回目の緊急事態宣言下で「飲食店いじめ」と言われるような政策も検討されてる中読んだので共感するところは多かった。

グロはないが胸糞。

0

Posted by ブクログ 2020年11月27日

『動物農場』は旧ソ連のスターリン政権を痛烈に皮肉った作品である。スターリンの「集団農場」から捩ったのだろうか。同じスターリン批判でもディストピア的な『1984』よりこちらのほうが個人的には寓話的で面白い。本来1944年に出版できたはずが英国としてソ連をドイツ帝国の防波堤として利用したい思惑から発売見...続きを読む送りになったのも、それだけ的を得たスターリン批判になっていたということであろう。

主人公?のナポレオンをスターリンにしても毛沢東にしても亡国のカリアゲ氏に代えても成り立つ話というのが面白い。いつの時代も恐怖政治を織り成すのは結局人間であるので根っこは一緒ということか。

0

Posted by ブクログ 2019年06月13日

「1984」に比べるて断然読みやすい。が、話が進むにつれどんどん憎らしくなってくる。

ライバルを貶める為には手段を選ばないナポレオン、話を自分達に都合よく少しずつ変える話術をもつスクィーラー、都合が悪くなると騒ぎだすヒツジ達。

今の日本にピッタリと当てはまる構図。

0

Posted by ブクログ 2018年04月15日

彼の書く世界はどこまでも非常に硬い。まるで変化を拒むやうな、決して変化しないやうな、どこまでも均一な世界。
カフカの世界は、どこまでいつても辿り着けない故の閉塞感で満たされてゐた。
カミュは、同じ革命でも、所詮はただの人殺しで、前の支配者と変りないといふことのせめぎあひにあつて、あえて反抗することで...続きを読む、生きてみせた。
オーウェルの場合は違ふ。変化など起こりはしない、記憶されてゐないだけで、絶えず苦しみを繰り返すだけだ、そんな閉塞感である。
おとぎ話では、動物たちは非常によくものを忘れる。忘れたことすら忘れてゐる。動物からすれば、それはなかつたことと変りない。けれどおとぎ話を読む者は違ふ。動物と同じ様に忘れることなどできない。だからこそ、余計に苦しい。読者はあのウィンストンと同じ状態に落とされる。
少し賢い動物なら、「どうして、ジョーンズの時と今の幸せを比較することができるんだ?」と豚たちに問うたかもしれない。比較するといふことは、何か同じ尺度がないとできない。穀物の取れ高はその意味で、比較はできる。しかし、その尺度と動物たちの幸福といふものは必ずしも=ではない。ここに比較の錯誤がある。さらに、「ジョーンズ氏でなければ必ず幸せになれる」といふことが必ず真であるとは限らない。不幸のすべてがはたしてジョーンズ氏によるものであるか。二本脚がすべての不幸と言い切れるのはなぜか。
さういふ疑問をもつた瞬間、実はこの硬い世界は崩れる。逆に言へば、疑問を持たないやうにすれば、いつまでたつても維持されてしまふのだ。信じるといふ行為は、非常に強いひとの心性である。

0

Posted by ブクログ 2018年02月06日

面白い。初めてこういったストーリーの裏に秘めたる批判的メッセージのある小説を読んで、今まで見たことのない視点に立ってストーリーを楽しめた。
扇動をするシーン、人間から管理が移り、管理する側というものはまた同じルートを辿るところは印象的だった。

0

Posted by ブクログ 2017年08月15日

 偽善者の詭弁に騙される善良な動物たちの悲劇。

 さあ一体どこの国の物語でしょう? 

 スターリン体制下のソ連という半世紀以上も昔の話でしょうか? 

 そうかなぁ… 違うんじゃないかな… 

 もしかして今の日本??

0

Posted by ブクログ 2019年01月16日

農場が舞台なので主役は動物たち
かわいらしい設定だけれど読み進めるうちに笑えなくなってくる
嫌でも「政治」という言葉が頭に浮かんでくる

0

Posted by ブクログ 2020年02月28日

ロシア革命を風刺した寓話。現代の日本に当て嵌めても面白い。自分たち(権力者)にとって良いように解釈される法。そこになんとなく違和感を感じつつも抵抗しない国民...。愚直に信じ続けることで自己肯定感を醸成して思考停止。表題作他、超短編3作も当時の状況を把握できる内容で満足の一冊。初読は中学生ぐらいだっ...続きを読むたかな...。改めて著者の先見性を垣間見れる。

0

Posted by ブクログ 2018年10月08日

最初は平和的な流れなんだけどこれもまた最後が…。
どっかの社会主義国家では、たぶん現実の話なんだろうと思う。

0

「小説」ランキング