【感想・ネタバレ】創造的福祉社会 ――「成長」後の社会構想と人間・地域・価値のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年04月03日

変化は時間軸から、空間軸へ。
第三の定常化で、環境効率の時代へ。
人間の本質としてのケアコミュニティへ。

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Posted by ブクログ 2011年11月16日

最初、資本主義社会が限界を迎えた先の社会の在り方について主に論じた本かと思ったら、実はそれは広井先生も明確な結論を持っているわけではなく、むしろ大部分は資本主義社会以前の過去の定常型社会について論じられていた。

資本主義を相対的に捉えようとするだけでなく、「人類」が類人猿から分岐した時からの「社会...続きを読む」の在り方について、かつてない広さの視野をもって論じている。
途中、生物人類学や心理学の知見を取り入れた部分もあり、広井先生の知識の広さを感じさせる。

一章は資本主義の歴史、二章は街づくり論などについて勉強になった。
そして第三章が、視野が広い上にかつて聞いたことのない規模の話だったため、非常に興味深かった。

内容はちょっと難しいけど、語り口は非常に分かりやすいのでおすすめ。

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Posted by ブクログ 2011年08月16日

これからの時代を生き抜いていく上で、このタイミングで本書に出会えたことは大きい。現在の置かれている状況、これからの社会のあり方について、筆者の世界がわかりやすく述べられている。それに納得して共感できる。我々は大変な時代を生きているのだ。次の時代の始まりに必読の一冊。

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Posted by ブクログ 2018年10月13日

第3章「私たちは人間と社会をどのように理解したらよいか」圧巻です。タコツボ化と言われるほど分化しすぎてしまった現在において、とてつもなく広範囲なテーマに果敢に挑戦されることに畏怖の念さえ抱きます。ひとつ残念なのは書籍タイトルが、本書の一部しか表現できていないことではないかと感じています。

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Posted by ブクログ 2018年03月26日

最初はおもしろかったけど、最後は話が福祉から離れて行ってる感じでちょっとモヤモヤ。
というか、時間的な問題で一気に読み終わることができず、読み終わるまで何度も中断するので、毎回「何の話だっけ?」から始まってしまうという、イタさの問題かもしれない。50過ぎたら、本は一気に話み終わろう。一週間以...続きを読む上間を開けてはいけない。

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Posted by ブクログ 2014年04月23日

第1章では日本社会の将来を抽象的に述べています。コミュニティ感覚の醸成が歴史的にも求められるだろうと著者は言います。これについては本書では触れられていませんが、社会心理学者の山岸俊男さんの主張と重なる部分があるため、なかなかに興味深いです。
経済の二極化、貧富の格差について、歴史的に必然と言っていま...続きを読むすが、もう少し議論を掘り下げてほしいところです。分配の問題、著者はフロー(現金給付)ではなくストック(主に住宅)支援をすべきと主張します。これは特筆すべきであり、人口減少社会において、若者が親と同居するのではなく、ストックにより自立支援によって、親への負担を軽減させる効果が期待できます。目から鱗……とまではいきませんが、参考になります。

コミュニティ感覚の醸成は確かに必要だと思いますが、大きな進展が期待できるかは何とも言えません。社会的ジレンマの一つでしょうが、『誰が』『どのように』行うのか、一般論の域を出ず、もう少し踏み込んだ論を展開してほしいと感じました。また先進事例等が挙げられていれば良かったのですが、それも乏しかったため、説得力に欠ける感は否めません。

否定的に言いましたが、大筋では著者の主張に賛成です。

第2章は人類の歴史から成長と停滞(本書では定常と呼ぶ)のサイクルを俯瞰していますが、スケールが大きすぎて若干の胡散臭さがあります。読めば分かると思いますが、些事は事実とは違っていても、大枠では的を射ているように思います。

パイの拡大が期待できない今、考えられる方向は、著者の言う通り新たな価値観を創造することで、言わば別の資源(ここでの資源とは物質的なものではなく、例えばブランド化のような付加価値だったり、今まで活用されていないものを復興させることで、新たなパイを作ること)を開拓することだろうと思います。これまで以上に、もっともっと、社会のシステムが変わりそうです(例えば働き方やライフスタイル等)。

序盤は面白く、中盤では盛り上がりに欠けた(退屈といってもよいくらい)でしたが、終盤では今までの議論がつながっていき、怒涛の巻き返しが続いてびっくりしました。つなげ方に若干の強引さはあるものの、納得させられるものがあって、興味深いです。
僕の評価はA+にします。

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Posted by ブクログ 2012年11月26日

効率化→生産過剰→総量(雇用等)が増大し続けない→椅子が空かない/非正規雇用など→若者の失業・貧困→少子化/職を持つorないでの格差拡大→消費が抑制→ ・・・のサイクル

◎各人が人生のはじめにおいて”共通のスタートライン”に立てる状況が大きく揺らいでいる
◎個人のチャンスの保障には、一定の制度介入...続きを読むが必要になってくる
◎福祉とは、どんな個人の潜在能力も社会に活かす取り組み

解決策
・過剰の抑制
・再分配・・・シェアの普及
・見えないものを売る→文化、サービス、経験などへの価値増大
・雇用の増大・・労働集約型の業種(教育、福祉)に労働力のシフト
→政府、社会保障、税の役割
福祉社会化


【人生前半の社会保障が必要】
・教育 (特に就学前、高等教育期)
→保障の強化によって、各個人の潜在能力の発揮や自己実現の機会を広げ、経済という点からもプラスの効果を持つ

・ストックに関する社会保障(土地、住宅、資産など)


【セーフティネット】
・コミュニティ
コミュニティ自体の再構築の必要性
→町づくり

【アイデア】
・環境税を福祉サービスの資金に再分配
・新しい価値評価の思想
GDP→GNH(国民総幸福度)

【コミュニティ】
・多極集中型 コミュニティ醸成型の空間構造+福祉政策
→問題は”社会的孤立”
・都市型コミュニティ が目標
個人と個人が繋がれる仕組み

◎規範創りが重要

個人→コミュニティ→自然 の連動
都市型コミュニティ・・個人と個人が尊重、コミュニティの中でシェア
パイ(総量)が広がらない→いかに内部で豊かな生活を送るか。見えないもの(文化)などの投資


【ポイント】
・時間軸<空間軸 多様性や固有の価値の再発見
・これからはクリエイティブ産業が中心的に
(文化、科学技術、アート、教育など)
・非貨幣的な動機付けが重要視
・”仕事・社会と大学等での学びの往復”が可能な社会作り
・「考える力」1つの答えのない問題を考えることそれ自体のプロセスや面白さ が創造性のコンセプト
・子供と高齢者の割合が増加→土着的、地域密着の時期→地域コミュニティが重要な役割

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Posted by ブクログ 2012年08月20日

近年、中国やインドなど新興国の台頭とともに、エネルギーの枯渇やそれにともなう環境破壊が現実的な問題となるなか、いま世界中が従来の成長モデルを基本とした価値観からの転換にせまられている。しかも、日本は急激な少子高齢化を迎え、これまでのような成長路線は期待できないことを考えると、日本こそがこの問題の最前...続きを読む線にたっているといえるだろう。本書はそんな視点から、これからの時代の持続可能な社会のあり方を探っている。

筆者の言うとおり、今までの大量消費型の社会、ことにアメリカやそのモデルに追従してきた日本では、即効性のあることに価値がおかれ、環境保全や福祉のような長期的な視点を要する分野は軽視されてきた。しかし、これからは後者への不当な評価を改めていかなければならない。つまり、フローよりもストックを重視する社会への転換だ。また、本書では「心のビッグバン」といった言葉をあげながら、歴史上でも現代と同じような危機的な時代があって、そんなときに創造的な思想や文化が開花したことを紹介しているのも興味深く感じた。

とりわけ、私が筆者に共感するのは「福祉」というものを限定された分野・領域として考えているのではなく、広い視野からとらえている点だ。一般的に福祉というと高齢者や障害者のための施設など、一般から隔離されたイメージをもたれることが多い。しかし、いくら福祉の専門家をそろえて対応したところで、閉じた空間では十全なケアは期待できないだろう。地域社会、コミュニティーが機能してこそ、子どももお年寄りも安心して暮らすことができる社会が実現されるのだ。そういう意味から言っても、ヨーロッパの街を例に商店街や市場の福祉的役割を見出しているところは大いに納得できた。

以上、全体的に流れる主張やテーマについては高く評価したいが、価値観の転換について哲学・思想史的な視点から詳述している第3章については、本書全体のテーマに沿いながらも少し散漫になるような気がした。興味深い内容ではあるが、手を広げすぎてしまっためにインパクトが薄れてしまったといえないだろうか。もうちょっとすっきりまとめて欲しかった。

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Posted by ブクログ 2011年10月07日

キーワード「互恵的利他主義」「社会的(公共財)ゲーム」「ポジティブ・ウェルフェア」「規範的価値と存在の価値の融合」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年08月03日

著者は、現代が市場経済の成熟化、飽和化した「第三の定常化の時代」と位置付けた上で、生産への寄与や拡大・成長といったこととは異なる次元での存在そのものの価値が求められるとし、人間一人ひとりが潜在的にもっている可能性や創発性が実現されること=「福祉」であると理解する。

また、「成長」のベクトル(時間優...続きを読む位の時代)から解放され、各地域の風土、伝統、文化といった固有の価値や多様性に関心が向かう時代(空間が全面にでる時代)となり、グローバル化の先にローカル化というより究極的な構造変化が存在するとして、限りない市場経済の拡大や資源消費の無限化という方向ではなく、できる限りローカルなレベルから「地域において循環する経済」を積み上げていくという姿を実現していくべきと主張する。

このような時代において今後求められる新たなセーフティネットとして、①人生前半の社会保障(例えば教育への公的支出増)、②より格差が拡大しやすいストックに関する社会保障(住宅保障の強化や土地課税、公有地の活用等)、③コミュニティそのものにさかのぼった対応(対象者をコミュニティそのものにつないでいくこと…様々なケアやコミュニティ内の生業的な仕事につないでいくこと等)を挙げている。

歴史や哲学にまで話が及び、著者の世界観を理解するのは簡単ではないが、その言わんとするところは何となく自分が感じていることと同じ方向のような気がしており、肯定的に読んだ。

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Posted by ブクログ 2014年01月15日

人類は第3期の定常期にきていて、心のビックバン、精神革命で今。その都度人のあり方に変化が起きていて、それらを参考にして今のあり方を考えることができるという話。
GDP比で国ごとの教育費や医療費のことを比べているが、国民1人当たりで見るべきだと思う。
人を多く活用して環境負荷をなくすビジネスモデルがで...続きを読むきると良い。
子どもと高齢者は地域密着層。
狩猟生活は人間エネルギー、農耕生活は動植物を制御するエネルギー、産業社会は地下資源エネルギーを利用している。

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Posted by ブクログ 2013年09月06日

資本主義における成長、拡大の限界→ポスト資本主義=リバタリアニズム→コミュニタリズムの復権

長い歴史の中でメタ的に見ると、これは周期的なモノであると捉えることが出来るのか。

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Posted by ブクログ 2013年06月14日

コミュニティの勉強。基礎周り。人口が資源量を超えた先、生産力が生活必要量を超えた先の社会の一仮説。政策論文ってこんなのなのね。仮説に仮説を重ねる形はまだ慣れない。

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Posted by ブクログ 2013年05月18日

キーワードは定常化社会。
定常という言葉には、安定感とともに変化しないといった印象もある。

が、変化しないとは、ざっくり良いことなのか?良くないことなのか?

どの程度の時間軸の大きさで定常化を定義するのか?
また、立ち止まってその成熟とも言える飽和した状態を見直すというミカタもあろう。

成長と...続きを読むは、スパイラルに変化するというイメージを持つとき、ある意味で一見定常とも言える状態を異なったミカタで見直すことの繰り返しであるかもしれないと思うのである。

そのような視点で、ここから先の社会構造を見直すとき、回帰したミカタを考える一冊である。

社会とは、内側での豊かさを外側にさらに大きく広げる欲求の連続で変化してきたように思う。決して経済的進歩を否定するものではなく、今ここで外側の豊かさを超えた新しい内側の豊かさとは何か?を考えるきっかけとしたい。

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Posted by ブクログ 2012年11月13日

「時間軸/歴史軸」(私たちはどのような時代を生きているか)、「空間軸」(グローバル化とローカル化はどのような関係にあるか)、「原理軸」(私たちは人間と社会をどのように理解したらよいか)の3つの構成から成る。3番目が面白いらしいが、理解力不足であまりわからなかったため、第1の軸中心で述べる。

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Posted by ブクログ 2012年06月04日

2012.05.30 現代は、3次定常社会という考え方に共感。よく理解することができた。最後で、福祉という概念の再規定をしており参考になったが、もう少し3次定常社会の生き方、ソリューションがあるとよかった。そんな気がする。

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Posted by ブクログ 2012年04月22日

現代社会が今後どのような方向に進むべきであるのかについて作者の意見が述べられている。
第三章の定常型社会についての作者の意見はとても面白い。

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Posted by ブクログ 2011年08月26日

著者が現代社会のことを真剣に考えて、理論構築しようとしているのは理解できるが、こんなに簡単に定式化されても説得力がないなと思わざるを得ない。人間の価値観や欲望、自然内存在としての制約など多々考慮しなければならないことがあると思う。でも、これからの日本社会を考えるうえでは、大変刺激的で、参考になりまし...続きを読むた。

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