【感想・ネタバレ】焼跡のイエス 善財のレビュー

石川淳

[ブクログ · ★★★★☆]

「山桜」「マルスの歌」「焼跡のイエス」「かよい小町」「処女懐胎」「善財」収録。俗なるものに聖なるものを見出し、幻視する。キリスト教の教義が散りばめられており、興味深かった。石川淳が書く一文は長く、慣れるまでやや読みにくいものの、非リアリズム的、渦巻く思弁が迸るようなそれは小気味よい。個人的なお気に入りは「かよい小町」「処女懐胎」。他の作品も読みたい。

[ブクログ · ★★★☆☆]

焼け跡のイエスのみ

阿部公房のけものたちは故郷をめざすの主人公がきゅうぞうが目指した故郷。

聖と俗がいりまじる表現。
群衆の様子がありありとえがかれる。

短い短編。次の日には，闇市は跡形もなくなくなる。皮肉か。

[ブクログ · ★★★☆☆]

昔の恋人と、大学のことを思い出す本。
石川淳はいやらしいよなあ…！
ユーモアが難しくてよくわからない。
「貞子」を「てこちゃん」と呼ぶセンスは好き。
クリスチャンなんだっけ？

[ブクログ · ★★★☆☆]

浮浪児がキリストに変身するというイメージだけですでに美しい。おぞましいものがある種の神聖さを帯びるようなイメージは好きです。想像力の広がりも時空を超えていてすごいなと思わされます。
でも、なんというか、聖に変化する俗の描かれ方が、時々しっくりこない短編もありました。聖なるものの崇高さに比べて、俗なるものの低俗さがつりあっていない感じがして居心地が悪かった。だから、聖と俗を対義的観念としてとらえて読んではいけないのかもしれません。