【感想・ネタバレ】態度が悪くてすみません ――内なる「他者」との出会いのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2012年07月11日

本書を読んで、
物語を語る上で、
「何を語っているか」という、
意味性のレベルだけではなく、
「どのように語っているか」という、
身体性のレベルに注目すると、
また違った見方が出来て面白いかもしれないなぁ、
と思いました。

それはアニメや漫画で言えば、
絵のレベルの話になるでしょう...続きを読むし、
音楽で言えば、
響きのレベルの話になるでしょう。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年04月29日

 コリン・ウィルソン著、福田恆在(つねあり)訳、『アウトサイダー』。
 私の小さな勉強部屋で払暁にこの本を読み終える頃には、バイロンやシャトーブリオンやオスカー・ワイルドがどれほど偉大な作家であり、フロイトやフッサールやヘーゲルが思想史上に占める位置の重要さについての入門的な知識をほぼ習得し終えてい...続きを読むた。
 人間は必ずその人が必要とするときに必要とする本と出会う、というのは、このときに私が体得した確信である。(P130-P131)
 内田樹さんが、『アウトサイダー』に出会ったように、私も内田樹さんの『先生はえらい』に出会った。そして、内田樹さんの著書たちは、私にとって、必要とするときに出会った必要とする本たちになったのです。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

一番初めに買った「内田」本です。
内田さんの本を読むには
「内田語」に親しんでおかないと
簡単に読み進めないです。
現代思想の入り口になじんでおかないと
チンプンカンプンのような。
折り目あり、破ったぺージありと
格闘したあとがあります。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

自分が語っている言葉は「他者」の言葉である。したがって、どこにいくのか見当もつかないような「未来」のために言葉を紡ぐ作業には、「身体」がある。

0

Posted by ブクログ 2018年02月28日

正直言って難しくて、よくわからなかった。
エッセイや本の解説を寄せ集めたという書き方もあるだろうし、自身の教養不足もあるだろう。10書いてあるうち理解できたのは2,3だろう。

ただ、それにも関わらず、この人は何か面白いことを言っている、理解したい、カッコいい。と思えるのは不思議である。

これこそ...続きを読む、本書でも触れているメンターなのだろう。ナイアガラーならぬウチダーに自身もなりたいとそう思うのである。

また、時期を開けて読み直してみたい。
とりあえず、内田樹には並々ならぬものを感じる(論じられないが)というのが本書のまとめである。(本書は内田樹入門書ではないので内田樹にご興味ある方は別のやつからオススメしたい。)

0

Posted by ブクログ 2016年09月03日

態度が悪くてすみません

内田樹15作目(?)
相変わらずの内田本を読むと何か安心する。高校時代尊敬していた英語の教師の言葉であるが「初心者と玄人は気を付けるところが同じ、どちらも基礎を気を付ける」という言葉を、内田樹の文章を読むと思い出す。衒学的な本ばかり読んでいると忘れてしまうような、基礎的なこ...続きを読むとが繰り返されているこの本は、構造主義の話が多めだったが、十分に楽しめる。
この本でも、本が読むという話があるが、まさしく大学生にならんとするときに手に取った「寝ながら学べる構造主義」が、僕を内田本の読める主体に変形させ、師とは、学びとはどういうことなのかを教えてくれた。
この本はと言えば、排毒というストーリー、秩序の話、などなど、構造主義が基盤になった話が多い。今・ここ・私を自明としないという一貫した姿勢があり、書評集にもそのような批評の仕方がされている。自然でもなんでも、自分ではどうにもならないものを想定する謙虚さが、この思想の根幹にあることがわかる。翻訳の話も面白い。

0

Posted by ブクログ 2016年02月02日

 内田氏の本もだいぶ増え、本書で10冊目となった。今回のもブログ等からの記事の抜粋集とのこと。だいぶ氏の思想、思考がトレースできるようになってきた気がする(言い回しに慣れただけかもしれないが)。

0

Posted by ブクログ 2013年06月17日

ブログの文章を集めたものでなくて、様々な媒体に依頼を受けて書いた散文を集めたもの。なので、著者本人も言っているけど、少し他のものと味わいが違う。ただ基本はいつもの内田節である。

「私のハッピー・ゴー・ラッキーな翻訳家人生」という題目の文章が特に面白かった。訳せないところは訳さなくていいという必殺技...続きを読むを伝授してもらった。

おそらくほどよく適当に書いているんだと思うけど、著者の文章はある程度適当に書いたものが一番おもしろい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年03月06日

「目からウロコ」という言葉がある。内田樹を読んでいると、文字通り目からウロコが落ちる。しかも、その頻度が高い。試みに下の文章を読んでみてほしい。

「合理的な人」は結婚に向いていない。/それは、「合理的な人」が人間関係を「等価交換」のルールで律しようとするからである。/「私はこれだけ君に財貨およびサ...続きを読むービスを提供した。その対価として、しかるべき財貨およびサービスのリターンを求める」という考え方を社会関係に当てはめる人は、残念ながら結婚生活には向いていない(そして、ビジネスにも向いていない)。/というのは、人間の社会は一人一人が「対価以上のことをしてしまう」ことによって成り立っているからである。/すべてのサラリーマンが自分の給料は不当に安いと思っているが、それは彼らが稼いだ「上前」をはねることで株主配当や設備投資が行われている以上当然のことである。/結婚も全く同じである。/「夫婦」は企業と同じく、配偶者それぞれが「夫婦」という集合体に投資することで成立する。配偶者がそこに十分な投資を行い、状況の変化に相応できるフレキシブルなビジネスモデルを組み立てるならば、「夫婦」は生き延びることができる。/反対に、自分が投資したもの(金、時間、労力、気づかい、忍耐などなど)に対して相手から「等価」のリターンを求めると、「夫婦」は潰れる。それは営業マンが彼の努力で成約した取引から得られた利益の全額を「オレの業績だ」と言って要求することを許せば、会社が潰れるのと全く同じ原理なのである。/そのことに気づいている人はまことに少ない。(一部省略)

新書版見開きで余白が出る短い文章だが、言われていることは、結婚生活に関する深い洞察に溢れているではないか。多くの人が、会社相手にははじめからあきらめても、配偶者には自分の投資に対する「等価交換」を求めてしまうのではではないだろうか。それは相手にしたって同じことだから、要求が正当なものであっても、いや、正当であるからこそ、会話は対決姿勢に終始し、やがて破綻することになる。

経験から、結婚に「等価交換」は不向きだということをうすうす実感してはいても、それがビジネスモデルを譬えにして説明されることで、実に明快に理解できることに驚く。もしかしたら、巧く騙されているだけかもしれないが、それならそれでいい。とにかく人間は生きていくための「物語」を必要とする動物だから(因みに著者は離婚を経験している)。

単行本化されていない、どこに書いたかすら覚えていないような筐底に残された雑多な文章を拾い集め、「知ること」というテーマの下に六つの章に並べ直したのは、編集者の手柄かもしれない。しかし、「落ち穂拾い」(この手の本を評者はそう呼んでいる)にしては、最近の収穫である。一つは、これらが、注文原稿であったからではないだろうか。最近の内田の本は、ブログをもとにしたものが多い。ブログは字数も何も気儘なものである。枚数が限られていることで、かえって首尾結構を意識し、簡潔にして明瞭な文章を生んだのかもしれない。

0

Posted by ブクログ 2012年08月06日

タイトルで選んで手に取った次第の本。著者の語り口と題材にしているものがとても興味を引くもので面白く読めました。ブログやら取材やらで書いたものをまとめたエッセイ集みたいなもので、次々読めて重たい感じはありません。もう一回読み返すとさらにおもしろいかも。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年06月27日

このところ結構ヘビーローテーションで読んでいる内田教授のエッセイ(というのだろうか?)集。

ブログや、あちこちの雑誌などからのオファーに応えて書いた文章、書評などを一冊の書籍にしたもの。全体にテーマらしきものは、見当たらず、あえて言えば「内田樹の書いた様々なもの」というまとまり。

それでも売りも...続きを読むのになってしまうのだから、「内田樹」に相当の価値がある、という他ない感じです。ある種アイドルと同じ扱いですね。ニッポン現代思想界のアイドル、ってw。

それはさておき、内田先生の文章は、集中力を高めて読まないと頭に入ってきません。それでも、集中力を切らさずに読み解けば、そこに表現されている内容は、とても共感がもてる考え方だったり、思想だったりするので、知らず知らず読み進めてしまいます。脳みその筋トレをしているような感じ。不思議な感じです。

本書は、特定のテーマがあるわけではないので、その分、頭を切り替える回数が増え、疲れる読書でしたw。

たくさんの気付きをもらったのですが、いくつかのポイントを超乱暴にまとめてみると、下のようになります。

・「今」を意味づけるのは、「過去」と「これから」という文脈によってなされる。「音」を音楽として感じるのも、「文字」を「文書」として感じることが出来るのも、その前後の流れの中に、今を置くことによってでしかない。

・芝居の台詞や、私たちが嘘を話すとき、あるいは確信が持てない話をするときに、普段と違う話し方になってしまうのは、“身体が欠けている”から。我々が、言語による意味の表現をコントロール可能なものに限定し、コントロールできないものをそぎ落としているから発生する感覚である

・現代は、とかく多重人格とかうつとかDVとかの心の分裂が話題になるが、思春期に、しっかりと“心が割れる”ような自分のコントロール不能な感情と向き合わない若者が増えているから、そういうことが発生しているんじゃないか。

・アメリカは急激に老化してきていて、かつての大国(イギリス、スペイン、ポルトガル、はたまたムガール帝国、オスマントルコ・・・・)が漏れなくそうであったように、かつての栄光を傘に着て、相手に言うことをきかせようとするような、「もうろくじじい」のごとき外交を仕掛けてくる。そうした、自国の政府のご乱心に、ストップをかける健全な若者文化のようなサブカルチャーも影を潜めてしまっている。

・靖国神社参拝問題のような、死者の弔い方を巡る賛否の議論につ
いて、生きている我々にその是非を結論づける権利はない。こっちが正しい、そっちが間違っているという対立は、その意味で無意味であり、誰も正しいやり方など知らないのだ、という謙虚さこそが、問題を根本から解決する、本当の出口なのではなかろうか。


お腹一杯です。ごちそうさまでした。

0

Posted by ブクログ 2011年05月24日

[ 内容 ]
最も「態度の悪い」哲学者が贈る知のエクササイズ!!
知的興奮のありかを探る。

[ 目次 ]
第1章 コミュニケーションの作法
第2章 身体は知っている
第3章 社会システムの盲点
第4章 出会いとご縁
第5章 作品からの「呼び声」
第6章 メメント・モリ

[ POP ]


[ お...続きを読むすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

0

Posted by ブクログ 2011年05月19日

途中の文化批評の話など分からない部分も多かったものの、全体的には面白かった。
普段の著書はブログや講義内容をエディットしたものが多いが、この本は全て「依頼されて書いた」エッセイである。
そのため、いつもとは異なる印象を受ける部分も少なくない。

それでも前半は似たような主張が多かったけど、中盤は他に...続きを読むない雰囲気の文章が多かった。

タツラーにはオススメですね。

0

Posted by ブクログ 2011年02月05日

内容的には、「第一章 コミュニケーションの作法」が一番面白かった。哲学的なことも語りつつ、この人漫画も読むんだなぁ。

0

Posted by ブクログ 2010年08月02日

文章全体から漂ってくるあの何とも言えない雰囲気が好きだ。

特に好きなお話。
「時の守護者」
「喧嘩の効用」
「私のハッピー・ゴー・ラッキーな翻訳家人生」
「卑しい街の騎士」
「死者の無権利」

特に「卑しい街の騎士」は、拙い言い方ではあるけど、かっこいいとしか言いようがない。中には難しくて理解しに...続きを読むくい話もあった。いつか今以上に理解できる日が来るまで、何度か読み返したいと思う。
(2006年05月02日)

0

Posted by ブクログ 2010年03月14日

おもしろい。全てがブログからのものではなく、依頼を受けて書いたものらしいので、いつもとちょっと手触りが違う気もする。
第5章の『作品からの呼び声』は特によかった。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

ちょいと難しいエッセイ集である。前半が特におもしろかった。文体が高圧的ではなかったので、いらいらせずに読めた。

そのなかでも「待つこと」についてかかれた文章について記す。
筆者は携帯電話の普及によって待ち合わせの美風が消えつつあると指摘する。全く同感。
「決められた時間に決められた場所にピンポイン...続きを読むトでたどりつく」能力、これはかなり高度な能力の一種である。(本文より)確かに今では「待つ」ということをしなくなっている。いや、上述の能力をもった人がほとんどいないと感じる。

他にも興味深い話があるからぜひ手にとって欲しい。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月23日

内田先生の本は、古くなってもなお面白い。
グッと来た箇所を少しだけ。

人間の社会は、一人一人が「オーバーアチーブ」、つまり対価以上のことをしてしまうことによって成り立っている。(「『合理的な人』は結婚に向かない」)

言語とは、意味であり、同時に身体であるようなプロセスである。(「言語と身体」)
...続きを読む
死者たちは正しく弔わなければならない。しかし、どのような服喪の儀礼が正しいのかについては誰も確言する権利を持たないし、持ってはならない。なぜならば、それは本来死者たちの判断に委ねるべきことだからであり、にもかかわらず死者は言葉を持たないからである。(「死者の無権利-靖国論争をめぐって」)

0

Posted by ブクログ 2019年11月02日

さまざまな雑誌などに寄稿された著者の論考・エッセイを収録している本です。

著者のブログ記事をまとめた本とはちがい、字数制限のためか尻切れトンボの感のあるエッセイも多少見受けられるように思いますが、身近な話題から思いもかけない理路を通って見晴らしのきく場所へと読者を連れ出す著者らしい議論の運び方が随...続きを読む所に見られます。

個人的には、橋本治の思想、とくに身体論、他者論、歴史論にかんしては、内田樹の思想を通して読み解くことではるかに理解しやすいものになるのではないかという見通しをもっており、「速度と祝福 God speed you―書評『蝶のゆくえ』橋本治著」の橋本治論は興味をもって読みました。「速度」というキーワードを提示するだけで終わってしまっているのは残念でしたが、一つの行間を一冊の分量にザバッと広げてしまったかのような橋本の批評の文章についても「速度」という観点から考えてはじめて見えてくることがあるのではないかという気がしています。

0

Posted by ブクログ 2017年08月27日

社会学、文学、心理学など多方面にわたる身近な問題を、筆者の見解を加えて綴られたエッセイ集。
大学教授をされているという職業柄、実際に学生と触れ合われているようで、そうしたジェネレーションギャップに関するエピソードも面白い。
なかでも『待つことの功徳』は、興味深い。携帯電話のせいで失われつつある「待つ...続きを読む」ことを美風とまで言い高めた筆者の視点は共感しないでもない。
古(いにしえ)の人々が「待つ」という行為をどのようにとらえていたか、百人一首からの引用も味わい深い。

0

Posted by ブクログ 2014年08月19日

前半は読みやすく納得というか、そういうことあるなあという感じ。後半、特に書評は難解と言える。
合理的な人は結婚に向かない、喫煙の起源について、は興味深い内容。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年07月17日

定有堂で、
「読むならこの一冊」
と紹介されていた本。
相変わらずの樹さん。
『ご飯はえらい』
は、これまで自分が主張してきたことを、
たつるさん的に解説してくれています。
結婚するなら美味しく一緒にご飯食べられる人。
これ、間違いないです。

0

Posted by ブクログ 2013年11月23日

・「嘘」や「芝居の台詞」には「何か」が決定的に欠けている。
身体が欠けているのだ。
演技者は「台詞がよく聞き取れるように、きちんとアーティキュレートして語る」ことを求められる。私たちがふだんしゃべるとき、私たちのことばづかいに必ず随伴する「ためらい」も「前のめり」も「無意味な間」もそこにあってはなら...続きを読むない。そのような夾雑物をすべて「削ぎ落とし」た、クリアーカットな発声を達成したのち、演技者は、その「台詞にふさわしい」動作や表情をこんどは「付け加えてゆく」。
→小さい子どもの反応がわざとらしい時がある。ふさわしいと思われる態度を演技しているからかも知れない。発展というか、学習途上で夾雑物が生成されないのか。

・太宰治の最晩年のエッセイ『如是我聞 四』は新潮社の編集者を夕刻電報で呼び出して口述筆記させたものである。太宰は編集者の前で炬燵に入って、酒杯を含んだまま、「蚕が糸を吐く」ように、よどみなく最後まで口述したという。
ところが1998年にこの口述筆記された『如是我聞 四』の「草稿」が発見された。それは発表原稿とほとんど一言一句変わらぬものであった。
つまり、太宰はまず草稿を書き、それを暗記し、ついでそれを聴き手の前で暗誦してみせたのである。

・くわえタバコでネクタイを緩めたやくざな兄ちゃんが「いいから、適当に面白そうなのを選んで、ちゃちゃっと訳しちゃってよ」と汚いペーパーバックの束を私に投げてよこした。
読んでみると、どうでもいいような動機の殺人があり、みえみえのトリックがあり、30分以内に犯人がつかまるというまことに無内容なミステリー短編集であった。最初は律儀に訳していたものの、そのうちに内容のあまりのつまらなさにうんざりして、ついに一大決心をするに至った。
書き換えてしまうことにしたのである。

・例えば、日本製電気掃除機のマニュアルに「お餅が喉につかえた場合などにもご使用頂けます」というような記述があったとしよう(ないけど)。これをいま仮にフランス語に訳すことを明日までの急務とするベルナール君がいたとして、「お餅」というものの形状や性質について知るところがなかったという場合をご想定願いたい。辞書的語義はわかっても何のことかぜんぜんわからないというケースは技術翻訳においては少なくない。
そういう場合は、静かに「餅のことは忘れる」というのも訳者の取りうる一つのオプションではないかと私は申し上げているのである。

・「タカハシ」さんと高橋源一郎を隔てる距離は、「テスト氏」とポール・ヴァレリーを隔てる距離より、「苦沙彌先生」と夏目漱石を隔てる距離より狭い。そして、この距離が狭いほど批評装置の性能は高く、響く「倍音」は深い。

・私たちにできるのは、この「どこまで信用してよいかわからない私自身の世界経験」」を慎重に腑分けして、そこから「信用できそうな要素」と「信用ならない要素」を識別し、「信用できそうな要素」だけに準拠して、「ほんとうの世界」について近似的に知ろうとすること、それだけである。
「信用できそうな要素」というのは、「今ではないとき、ここではない場所、私ではない人間」の世界体験と共通するような要素のことである。

0

Posted by ブクログ 2013年07月02日

ブログではなく雑誌寄稿の雑稿集。カギカッコにいれる技法や、わからないところを飛ばす翻訳、金銭に換算できないものを理解しないコンサルに対する怒り、色々良く分かるし勉強になる。

0

Posted by ブクログ 2012年07月15日

(以下引用)
すべてのサラリーマンは自分の給料は不当に安いと思っているが、それは彼らが稼いだ「上前」をはねることで株式配当や設備投資が行われている以上当然のことである。「そんなのイヤだ、稼いだ分だけ稼いだ人間に戻せ」ということになると企業は資金も調達できずシステムの変化に対応できずテクノロジーの進化...続きを読むにも追いつけず、遠からず破産する。(P.32)

同じ食物を分け合うということは、食物が乏しいときには、全員が一様に空腹を感じ、腹をこわすときには全員下痢になるという、ある種の運命共同体を立ち上げることである。同じ元を食べているとそのうち解剖学的組成が似てきて、似たような体型、似たような顔つき、似たような感情が醸成されることになり、共同体維持にも有利なのである。(P.56)

どうしてTVレポーターのような人気のある職業をやめてしまったのか、理由を訊いてみた。訊けばもっとも。労働条件はめちゃくちゃ悪いからである。「だって『やりたい』という人がいくらでもいるんですから…」なるほど、そうだろう。「どんな安い給料でもいいからTVで働きたい」という人が後から後から押し寄せるのだから、雇う側は笑いは止まらない。労働条件の改善要求は、レポーターの「替え」なんかいくらでもいるんだということで簡単に蹴飛ばされてしまう。(P.95)

0

Posted by ブクログ 2012年07月07日

ブログのエッセイを編集したものらしい。
自分の体を「ソリッドな単体」のイメージで動かすのと「水のような細粒の集積」のイメージで動かすのでは、発動する力がまったく変わるらしい。なるほど、肩コリもこの発想で治るんじゃないかい。いろんな発想の転換が詰まった本。

0

Posted by ブクログ 2011年10月19日

出典不明も多いが、様々な出版物のために執筆したものを集めて、構成したもので、文章の長さも含めて統一感に乏しい。内田節は相変わらずだが・・・。

0

Posted by ブクログ 2010年08月22日

内田先生が過去に書いたエッセイがいろいろとまとめ?られており、まさに内田樹独壇場。いろんなこと、内田節で文章化していて、自分とは角度が違うことや、へぇと思える思考が満載。
哲学的な、思考にも触れることができる良本。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

〜本に呼び寄せられること、本に選ばれること、本の「呼び声」を感知っできること。それがたぶん本と読者のあいだに成立するいちばん幸福で豊かな関係ではないかと私は思う。〜


思えばそういう時があった。

0

Posted by ブクログ 2009年10月04日

これも内田先生のブログに書いた記事や雑誌に投稿したものを編集者が1冊の本にまとめたもの。したがって一貫性がない。タイトルの意味も、一応冒頭で説明はされているものの内容とは一致していないと思う。コミュニケーション論、身体論、社会論はおもしろい。内田先生の他の本と同じようなことが書いてあるけど、だからこ...続きを読むそおもしろい。

0

「学術・語学」ランキング