【感想・ネタバレ】ドキュメント高校中退 ――いま、貧困がうまれる場所のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年10月14日

貧困と底学力。相関はあると思ってはいましたが、実際のデータやレポートをみると想像を絶していました。衝撃です。

最初、「この日本で、掛け算の出来ない高校生って・・・。」と、思っていましたが、「学ぶべき意欲」を一切踏みにじられて育てられた子どもに、すべての責任を押し付けていいのか?

そして、その負の...続きを読む連鎖が続いていくのです。実際の高校中退者は8%を越えているという現実。もう「貧乏人の子沢山」とか「やる気の問題」だと言ってられません。

この国のあり方を本当に考えなおさないといけないと感じました。

バラマキだと感じていた高校無料化には、こういう側面もあったんですねぇ。民主党のやり方には、いまでも反対ではあるんですが・・・。

今、すべての日本人が読み、本当に議論しないといけない本ではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2015年04月29日

 この豊かな国で何故こんなことが起こっているのか。こういう情報は本でしか知ることができない(=身近に例がない)という事実が社会の階層断絶を物語っている。
 確かに親から相続されるものは単に金銭だけではない。ウチは子供の頃ものすごく貧乏で両親ともに中卒だったが、幸いにも努力は報いられること、希望を持つ...続きを読むことの大切さ、高等教育進学の動機づけなどを母親から与えられた。おかげで(借金とバイト漬けで苦学はしたものの)大学院まで修了し、現在は貧乏を脱出しているが、今の生活は決して自分の努力によるものだけではないことを改めて感謝した。母親は地区トップの高校に行けるだけの成績だったが、経済的な制約で進学を断念せざるを得なかった。代々貧乏な親(祖父母)では無理をして進学させる意義は理解できないだろう。親族にも誰一人として高卒はいない。きっと子供にだけは同じ思いをさせまいとする母親の執念だったのだろうと思う。
 本書に書かれている状況は決して社会の無関心とか政治の無作為のせいではないと思う。ある特定の支配層にとって都合の良い社会なのだ。底辺層がいなければ搾取する対象が存在せず、安価な労働力を確保できない。この国は牛丼屋やコンビニで昼夜を問わず数万/月の給料で働いてくれる人材を必要としている。そういう人材には三角関数や微積分を教育する必要なんてさらさらない。この学力というモノサシを用いることでそういう境遇に陥ったのは自分の努力が足りなかったと当の本人にも納得させることができる。なんと素晴らしいシステムだろう!
日本なんて所詮その程度の国。民主主義を自ら勝ち取った歴史を持つ欧米の国々とは根本から異なる。一億総中流などと浮かれていたのは、戦後復興のごくわずかな成長期だけだ。

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Posted by ブクログ 2019年09月07日

今回の本はドキュメント

僕は今週から学習ボランティアに参加させていただいてます。
「経済格差」を「教育格差」にしない
というライフワークに向けてようやく1歩目を踏み出したところです。

いろいろと本を読んで知る中で一番感じるのは「親の格差」です。
本書では経済的問題のみならず「文化資源のなさ」「心...続きを読む理的孤立」が大きな問題としてあげられています。
いわゆる昔は経済的には困窮していても文化的、精神的に高尚な家庭はたくさんありました。
僕の友人でも奨学金を受けながら大成した子もたくさんいます。
しかし今は経済格差が全ての格差の根本になりつつあります。

本書に「親の期待格差」という言葉があります。
親自身がすでにいろいろや意味での教育を受けていないことで自分にできないことは子供にもできないと考えてしまう。
そして刹那的に「今が良ければいい」「自分さえ良ければいい」となってしまいます。
親が子供に期待しないとすればどんな社会になるんやろうと思います。

今般の虐待事件をひくまでもなく子供と男を比べて男を取るという選択は本書の中にも枚挙に暇がないところです。
期待されないだけでなく「握っていた手を離される」絶望感は如何許りかと思います。

僕自身これから実践していく中でいろんな子供達に出会うことと思います。
その時に頼れる大人になりたいなぁと思います。

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Posted by ブクログ 2013年11月12日

いつかのNNNドキュメントで放送された「高校中退」に衝撃を受け、そのことをふと思い出しこの本に出逢いました。
第一部(第1章~3章)には非常に多くの方の話がでてきます。
中退した当事者はもちろん、その家族やかつて教えていた教師の話。
「貧困」にクローズアップし、未就学児の家庭や保育士からも数多の話を...続きを読む引きだされています。
読んでいて、実際のこととは思えないような、思いたくないようなエピソードが非常に多いです。
希望を見出せる糸口がわからない、暗澹とした気持ちになりました。

この本が出版された翌年に高校無償化法は施行され、その結果、経済的理由による中退者は減少したという調査結果もあります。
とりあえず「金銭面の不安はなくなった」とは言えますが、第一部でのインタビュー話にみられるように、幼少時の生育環境も経済面と同等かそれ以上に非常に重要だと思っています。
幼少期に、扶養者の貧困によって教育の機会や学ぶきっかけが周囲の子どもたちよりも奪われてしまうということがなくなってほしい。
国家や自治体の予算もマンパワーも限られるなかで難しすぎる課題かもしれませんが、この本を読み終えた今はただそれを願うばかりです。

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Posted by ブクログ 2012年10月04日

所謂「最底辺」と位置づけされる学力下位の公立高校に通う高校生を中心に、高校中退の現状を述べ、その背景には経済格差による貧困問題があることを明らかにしたドキュメント。
全体としては2部構成で、前半は高校中退の現実について、直接中退者に取材した結果を列挙する。後半は高校中退の背景には何があるのか、さらに...続きを読むその打開策を提示する。
前半が全頁の3/4を占めており、中退の現実を読んでいくと結構凹む。思った以上に酷い。
読後感としては、高校よりも小中学校の現状がどんなものか気になった。高校中退者は様々な家庭の事情により、小中学校時分から学習の機会をはく奪されてきているからだ。
そのような小中学時代を送ってきた生徒がほとんど無試験で最底辺と認識されている高校に入学していることだ。入試の現状はどうなっているのだろう。
今の日本社会は再チャレンジを容易に許さない傾向にある、という著者の指摘には同感。落伍者も許さない傾向にあるだろう。
中学校までに学習機会・意欲を奪われ、高校に入るだけの知識が育成されていないのであれば、高校には入学させず、そこまで知識を得てから改めて受けさせるくらい、社会の懐深さというのを確立させるべきではないだろうか。
そのためには高校義務化よりも、夜間中学等の充実が先行されるべきではないだろうか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年06月07日

親に資力が無く、酷い状況で高校生活を続けている人がいるのは知っていたけど、ここまで酷いとは思わなかった。高校生なのに「五五」の次の数を言えなかったり、九九を言えなかったり、アルファベットを書けなかったり、本当に凄まじい状況。

いったい、誰の責任でこうなったんだろう。まずは、親かなと思う。ただ、親の...続きを読む責任だけにしたら、この状況はずっと続くだろう。だから、国の責任と見るのが一番だと思う。学力の低いまま、社会に放り出される前に、国が責任をよって一定のレベルまでは保証すべきだ。

そうすることによって、下の層から上の層に行く階段を整備すべきだろう。生まれた瞬間に、下の層で固定化してしまう人生は切ない。

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Posted by ブクログ 2023年02月17日

高校を中退してしまう若者たちの背景には貧困や虐待があるということを説いている本。いまでは考えれば当然のような背景だけど、ちょっと無意識のままだと遠い過去に植えつけられた勝手な非行少年少女だから高校中退するんでしょ、みたいに思ってしまう自分の浅はかさを反省させられる。
この本が出たのは2009年のこと...続きを読む。当時としては、高校中退の背景に貧困があるという論は新しい……といっては何だな。本当はようやく焦点が当たったということだと思う。本当にこの本を読んでいると過酷な状況の子ども・若者・親たちがいる。まさに貧困の連鎖、虐待の連鎖。これをみんなその子どもたち、声を上げることを知らない・できない子どもたちの自己責任ということにして見ないふりをしていたんだな。
著者は長らく高校教員をしてきた人だけど、学校の先生たちも大変だと思う。教育の場だけで何とかできる問題じゃないもの。書中で紹介されるエピソードのなかにはひどい学校も先生もいるけれど、無力感に苛まれる教員もいることだろう。「教育は、セーフティネットという事後的な救済ではなく、若者たちが自律的な生き方ができるように支援するという意味での社会保障機能として考えるべきだろう。」(p.185)というのは一理あり。一部の見えない場所に囲い込んだままにせず、本当に社会全体で考え行動していくべき問題だよね。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年09月18日

・「学ぶことは生きること」「貧しいということは選べないということ」
・この本を読んでいて、以前訪れた底辺校の生徒たちを思い出した。目の前にあるのは、確かに救いようがないように感じる現実かもしれない。けれど、私は、この現実に対して行動を起こせる職場を選んだ。そのことを意識して、前を向いて、何をすべきか...続きを読む、考え、行動していきたい。
・自分の両親が離婚しなかったことは、私にとって幸せなことだったのかもしれないと思う。

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Posted by ブクログ 2015年12月14日

高校中退者の実態、そしてその原因の考察。高校中退という現象がいかに構造的な問題であるかが分かる。恐らくどんなに熱意をもった教師であろうとも、個々人の生徒を救うことはできてもこの問題の根本的な解決など不可能だ。そう思えるほどに高校中退は家庭環境や貧困の問題との相関性が高い。
無論、いわゆる底辺校に対す...続きを読むる策が必要なのは言うまでもないが、それがいわゆるエリート教育が必要でないという結論に結びつけるべきではないだろう。問題はすべての高校の問題を十把一絡げに論じようとするところにあり、こうした高校間の格差が広がっている以上、類似した高校によって異なる対応策を論じることが求められているのだと思う。例えば学力テストは上位校において学力を把握するために必要かもしれないが、教育困難校においてはむしろ読み書き計算といった徹底的な基礎能力の向上にあてるべきだ。
本書に書いてある具体的事例はどれも事実なんだろう。が、事実としてはなかなか受け入れがたいほど私の想像を遥かに越えていたというのが率直な感想。私とて高級住宅地で育ったわけではないのだが、それだけ社会が分断されているということなのか。私のように平凡な高校生活を送ってきたと思えるような人も、本書により高校生の別の側面を見てみる必要があるだろう。なぜなら教育は社会全体に関する問題であるからだ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年05月11日

 埼玉県の高校教師が、高校生が中退する理由、その後の生活などを丁寧にインタビューしてまとめたもの。問題は大概中学時代から始まっていること、親の問題と経済的な事情が大きいことなど良く知られた事実が多いものの、生徒の側に立った視点は◯。
 日本で「高校中退率2−3%」と言われているのは1年あたりの中退者...続きを読む数/総数であり、さらに定時制や通信制への転学者は中退とは見なされない(その後の調査もされない)なので、実際は(3年間あるので)8%以上になること、埼玉の県立高の中退率は13%もあることなど、知らなかったことも多い。
 ただ、調査が2006-8年くらいのものなので、実態に詳しい人からは、景気が良くなった今では、運転免許さえあれば非正規の仕事を探すのは高校中退でも以前よりはるかに簡単だという指摘があった。階層化は避けられないにせよ、絶対的な生活のレベルはやはり景気に左右されるということなんでしょうね。
 実はアメリカでも「中退率」にはいくつか指標があり、立場によってどれを使うかが違ったりします。政府が問題を小さく見せようとするのは万国共通ですね。

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Posted by ブクログ 2014年01月13日

 学力のなさの裏側にこんな悲惨な貧困の実態があったとは知らなかった。現状の教育システムじゃとても彼らを掬いとってやることはできない。また、高度知識社会に成るにつれて彼らのような人間は、ベーシックインカム導入などの、思い切った社会システム改革を行わない限り居場所がなくなってしまうだろう。

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Posted by ブクログ 2013年08月26日

2008年度まで埼玉県立上尾高校で勤務されていた元教師の研究をルポルタージュ風に書き上げた1冊。
4時間ほどで読めてしまう上に、想像以上の世界が紹介されているのでオススメ。

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Posted by ブクログ 2013年08月06日

 高校を卒業している事が当たり前となっている今日の日本において、高校を中退してしまうという事、せざるを得ない環境とはどのようなものなのかを説明している本。

 底辺校とされる学校に通う生徒の家庭状況(年収200万程度の家庭が1/3。子供のバイト代で生計を立てている家もあり、制服・体操着を買えないこと...続きを読むもある)、学力(足し算・掛け算が出来ない、中学時代に定期試験を受けていない為「成績が無い」、アルファベットを書けない)、勉強に対する認識(「自分の仕事は勉強でなくアルバイト」と答える)の低さに驚かされるが、何より支えてあげるはずの教師もあまりの指導することの多さと、受け止めようとしない生徒・両親に諦めを感じて、「生徒を切ろうとする」ようになってしまっているのだという。

 筆者は、実際に高校を中退した人を対象にインタビューを行っている。両親も高校中退、片親に愛人が出来たので家にいられず夜を彷徨う、授業料を支払えなくなったので・・・、中退したら職が見つからなくなった、正社員のはずなのに日給・時給制、家族全員中退、男遊びで妊娠してしまった、「高校も義務化して欲しい」、親からのDV、(中学時代の成績が良くないために通っている)高校が家から遠すぎるなど、辛い実情を語っている。
 正直、「考えが甘すぎるのではないか」と思えるような主張のため同情出来ないものもあったが、これまで育ってきた環境や「安易な考えで中退するとどうなるのか」を共に真剣に考えてくれる(親を含む)大人が周りにいなかったという事による悲劇という見方も出来なくはない。中退後は何をしているのかというと、日雇いの大工、内装、警備、水商売という職に就く事がほとんどで、社会から疎外されて生活してきたこともあり、社会のために働こうとはしない。筆者が言うように「自己責任」のひと言で片付けるのは、今後の日本を考えていく上で有益なのだろうか。
 保育所や障害児通園施設においても貧困の影がちらついている。男に依存する母親、歯磨きを教わっておらず歯がとけてしまった子、食事はスティックパンやカップラーメン、おむつのはかせ方を知らない、親の性交渉を見ているのか、Hごっこをする子もいるという。

 根底にあるのは家庭の貧困であり、両親の学習への感心の無さ、生活リズムの崩れ、きちんとした親子関係がとれていないといった事で、子供の考え方が悪い方向に固まってしまうのだという。
 それにしても、親の最終学歴、職業、収入、教育に対する考え方一つで、子供の住む世界が凄まじく変わってしまう事実には驚かされる。負のスパイラルから抜け出せるよう国が取り計らったところで、一体どれだけの家庭がその情報を手に入れ、かつ有効的に活用していけるのだろうか。
 筆者は高校を中退してしまう大きな要因として、学校生活・学業不適応(学力や意欲の無さから学校生活に適応出来ない)、学業不振(小学校レベルでつまづいている事があり、ついていけない)、進路変更(厳しい学校において学びや仲間づくりを諦める)の3つを挙げており、彼ら自身も安易な気持ちで辞めてしまった後で、「バイトが見つからない、次の仕事に考慮されない」と嘆いている。同世代の様々な家庭環境にある子供とつながることが出来ないという点も、問題として指摘されている。

 それにしても、文科省の高校中退率の算出方法が筆者の算出方法と比べると、3%も数値が変わってしまう事には驚かされた。「算出方法は目的によって多種あってもいい」と筆者も述べているが、文科省の目的は一体なんだったのだろうか。「制服や体操着を買えなくて恥ずかしいから学校に行けない(買った後は顔つきが明るくなった)」、という子の存在や「うちの生徒にとって修学旅行で飛行機に乗るという経験は生姜で最後になると思います。これからもいっそう貧困の中で暮らしていくでしょう」と語らざるをえない教師はあまりに悲しい。

 「貧しいとは何も出来ないこと。何も選べないんですよ」という生活保護を受けて三人の子を養う親の叫びは、届く日がくるのだろうか。

自分用キーワード
エドモンド・バーク「教育は国家にとって安くつく防衛手段」 9、10歳の壁 就学援助制度 アマルティア・セン「(基礎教育が)人間の安全を脅かすほとんどの危険に対し強力な予防効果がある。世界の本質を、その多様性と豊かさを認識することであり、その思考及び友情の大切さを理解すること」

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Posted by ブクログ 2013年06月01日

高校中退と貧困に関連があるとはあまり考えた事もなかったので、
読んで驚きました。
しかもそれは高校以前からずっと続いているなんて。
著者が強く望んでいた高校授業料無償化は実現しましたが、
それでも制服代や教科書代、修学旅行代は掛かります。
著者も述べているように公立の授業料よりも制服や教科書や旅行代...続きを読むの方が遙かに高額です。
なので授業料が無償化されてもそれほど有難味は感じません。
高校中退を減らすには、
やはり義務教育化して教科書も無償にしていかなければ現状は殆ど変わらないと思います。

それと、普通高校に行くのが当たり前、とか
大学行くのが当たり前、という常識ではなく、
将来への道はいろいろ選択肢があるという常識に
日本の社会が変わっていかなければいけないと思いました。

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Posted by ブクログ 2012年12月30日

最底辺高校の恐るべき実態。ほとんどの生徒が九九を言うことができず、55の次の数が分からない生徒もいるという。生徒たちは授業料を払うことができずに、歯が抜け落ちるように高校をやめていく。親も、教育の大切さを知らないのだ。底辺校では、中退率は3割にも及ぶ。しかし、高校中退では満足な仕事にありつくことがで...続きを読むきないから、ますます貧困にあえぐことになる。こうして貧困は再生産されていく。ひとたび負のスパイラルにはまり込むと、どんなに頑張っても抜け出すことができないのが、現代の日本社会だ。

「自己責任」という言葉が幅を利かせているが、子供の貧困は自己責任ではない。政府は、同じコストをかけるなら、老人よりも子供に投資すべきである。しかも、少子化社会なのだから、トータルでかかるコストも少ないはずだ。にもかかわらず、老人の福祉が優先されるのは、高齢化社会における民主主義の矛盾であろう。そしてまた、富裕層もいつ足下を掬われるか分からないという不気味さがあるから、既得権益を守ることに汲々としていて、貧困層に構っている余裕がない。こんなことを続けていたら、この国は滅びるであろう。

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Posted by ブクログ 2012年05月06日

第二章以降、筆者が足を運んで聞いた、高校生の実情の吐露は身に迫るものがある。貧困が高校中退を生むという主張にかなりの説得力を持たせている。最終的な解決策の提案など、詰めが甘いと思わせるところが惜しい。

筆者は高校教育を義務教育化すべしと主張しているが、私は就業の前提条件となっている高学歴化を止める...続きを読むべきだと思う。本来、義務教育を終えれば、生活に必要な四則演算や漢字の読み書きは身につくものべきものだ。その学力補完を高校に求めるのは筋違いだろう。何故雇用主が高卒以上を求めるのか。その理由から考えないと。仕事を得るのに必要だからと、意味も意義も見出だせないうちに高校を安易に卒業させるべきではないと思う。

論旨がやや飛躍していると思われる点もあり全てに賛同はできない。しかし、こうして色々考えさせるところと、貧困と教育との相関を知らしめた点で、大きな意義のある本だった。。視界が広がったという意味で面白い本といえる。読み継がれるべき一冊かも。

若者に、将来の希望を持たせる。この一言に尽きる。

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Posted by ブクログ 2011年08月05日

 貧困と低学力の貧困関係については知っていた。しかし、貧困家庭出身生徒の高校中退率がこれほどとは知らなかった。大学で教育を勉強しているのに情けない。
 全体的に読みやすかった。長年高校教諭をしていた著者の、苦境に立たされている高校中退者への真摯な目線を感じることが出来た。
 僕のいた高校にも中退して...続きを読むしまった子がいる。今頃どうしているだろうか…。

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Posted by ブクログ 2011年07月03日

高校中退を軸とした若年層の貧困についての良質のルポ。高校中退の増加の主因は家庭の貧困にあるというのが本書の主眼。
進学校に進んだ自分にとって、この本に書かれていることはまったく別世界のことのようだが、これが現実だと思うと慄然とした。
なんとかしないといけないとは思うが、その解決策を考えるのはなかなか...続きを読む難しいと感じた。高校無償化が解決策になるとはとても思えない。底辺校の囲い込みをやめて、学区制の縛りをきつくするのは、学びたい意欲のある生徒にとって迷惑なのは確か。やはり、幼児・小中の段階でなんらかの手をうつことが重要であろう。その点で、保健師や保育士の連携を強めて貧困状態にある家庭を支援するという本書の提言は、即効性はないかもしれないが必要なことであるのは間違いないだろう。
本書は貧困問題や格差問題を考えるうえでの良書であるとは思うが、高校中退問題と新自由主義や学力テストを短絡的に結び付けている傾向があるところは腑に落ちなかった。学力テストを学校間競争に結び付けるのは問題だが、実態を分析するために学力テストは意味のある試みだと思う。

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Posted by ブクログ 2010年10月28日

名前の通り高校中退の実態と中退者のその後の生活を追ったドキュメンタリです。今の日本では、貧困の連鎖にはまると、そこから抜け出すのは非常に難しいと感じました。貧困層が固定化されるロジックが見えてきて、暗澹たる気持ちになりました。

後半部分に貧困の連鎖を断ち切るための提案がありますが、下のレベルの高校...続きを読むについては実社会で通用するような職業訓練をメインとすべきという部分は、高校卒業してから40年間食べていける技術というのはなかなかないと思うので、少し違うかなと思いました。

中学、高校で勉強に躓いている人をみると、小学生の段階で躓いている人が多い(九九、分数の割り算など)ように思うので、一律、進級させるという制度を考え直す必要があるのではないかと個人的には思いました。

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Posted by ブクログ 2010年10月22日

 かなりショッキングな内容。
 貧困が低学力・生活力の原因となり、しかも再生産されていく。

 だが、この負の連鎖をどう断ち切ればいいのか、問題が大きすぎて暗澹たる気持ちになる。

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Posted by ブクログ 2010年10月09日

親の学力や経済的能力が子供にどう関係するのか、ということを調べる過程で出会った一冊。しかし、子供を取り巻く貧困の実態は私の想像を遥かに超えるものだった。実際に高校中退をした子供たちやその親の声がリアルに描かれている。社会から彼らは排除されていて、実際に私たちが彼らの実態を知らないということが大きな問...続きを読む題ではないかと思う。

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Posted by ブクログ 2014年10月30日

[ 内容 ]
「高校中退」による貧困の連鎖が止まらない!
もはやそれは教育問題ではなく、社会を揺るがす問題である。
知られざるその実態に迫る。

[ 目次 ]


[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ ...続きを読むメッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2010年03月30日

 納得。
とにかくその一言。

やる気がない=夢がない=将来を選べない=貧困
このスパイラルに陥っている生徒が多い。
そして抜け出せない。

なんとか「目標」や「夢」を持たせてあげるのが、
私の仕事なんだと改めて思う。

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Posted by ブクログ 2018年11月12日

ある程度想像していたが、これほどひどいとは思っていなかった。99ができない高校生、親からも学校からも社会からも愛されたことがない若者は、学校からこぼれ落ち、社会からも外れていく。こうした若者が毎年10パーセント以上生まれている。このまま続けば、社会が崩壊するのは時間の問題。社会不安の原因もこういう人...続きを読むたちになるのだろう。こういう人たちが社会不安の原因から、社会の担い手へ生まれ変わっていかない限り、日本の未来はないと強く感じた。解決市内限り、世界の三流国以下だろう。少数の金持ちだけが、無駄に金を持つ、世界のどこかの国と同じになってしまう。解決には絶望に近い感じがあるが、社会として、政府として、所得の再分配をこういう層に振り向けていく必要を強く感じた。ただし、子供手当のようなお金ではなく、バウチャーのような子供に必ず渡る形の政策が必要だろう。高校無償化も一つの手段と思う。

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Posted by ブクログ 2013年09月26日

あまりに我がことから遠すぎる世界は、やっぱりイマイチ実感もわかないし、難しいです。これを通じて、我が子への教育観は少し出来上がった気はしますが。

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Posted by ブクログ 2013年03月08日

職場の課題図書。ハッピーになれない。貧困が人間を壊していく現実。貧困は、子どものことの前に、昨日の我が身、明日の我が身であり、恐ろしくなった。貧しくとも、本を手にできる環境があれば、こんなことにはなっていないだろうに。この国が目を背けている現実を知る。

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Posted by ブクログ 2010年12月12日

読んでて切ないね。感じたことを徒然と。

『クズな親が多い』
まぁ、酷いよね。虐待とか、基本的な食事を与えられないとかね。
学費無駄だから辞めさせろとかね。
根本的にはここで、負の連鎖を断ち切るべきなんだろうね。

『中退するやつもちょっと根気なさすぎ』
この本の主題とは違うが、やっぱそう思ってしま...続きを読むう。
つまんないからとか、ついてけないからとかちょっとね。
中退が選択肢を如何に狭めるかってことを感じさせてあげられない環境、頑張ることを認めてもらえない環境がやっぱ問題ってことかね。

全員が全員じゃないけどさ、この子らは結構、暴力事件とか好き勝手やって、ただの真面目な生徒よりも教師によっぽど時間使ってもらってるんじゃないの?それで単純に可哀想って気にはなれない面もある。

『底辺高校に送られる教師も辛すぎ』
大変ですな。

『世の中こういう層もいる』
正直東京に出てきてからは、あんまり接点がなかった人たち。中、高にはそこそこいたかな?
大学の周りとか、学習塾で教えてた子とかとは根本的に違う層。
こういう層がいることを理解出来ないと、こういう層に遡及出来るような打ち手って出ないよなと。
すごく感情で行動するというか、金がなくてもパチンコとか携帯とかは惜しまないそんな人が多いんだろうな。

これからは本当に生まれた環境で本当に2極化する時代になるのかなと。
切ない。

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Posted by ブクログ 2010年08月22日

貧困と高校中退の関連性はあるんでしょうね。そういった記述は本当にあるのか?と思いつつ興味深かったです。

が、出てくる事例に対して一部を捉えそれがあたかも全体だと言わんばかりの論法はちょっと平面的すぎるな~と思いました。結論ありきなような。

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Posted by ブクログ 2010年06月25日

高校中退後の若者が社会とのつながりをなくし、貧困に陥ることに焦点を当てている。問題提起として示唆に富む書。教育と福祉が手を結ぶことの重要性を指摘している点も興味深い。単語の用法の不統一(DV、虐待の定義など)、文体の不一致等が気になったが、これは編集側の仕事か。

近年、貧困をはじめとする子どもと家...続きを読む族をめぐる問題が社会的な関心を集めつつあるのは望ましいことと思う。けれども、対人援助専門職がそれぞれに「ここぞわれらの出番!」と主張して、一種の縄張り争いの様相を呈してきている感が否めない。このようなことは本末転倒で、あってはならないことと心得て、子どもや家族の困難を軽減するために、隣接領域の専門職がうまく手を取り合っていく方向性に目を向けなければならないと思う。自分の研究においても、福祉領域の固有性を、他の領域と手を組むことでより効果的に発揮できるような方法を考えていきたい。

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Posted by ブクログ 2011年09月20日

高校中退するとアルバイトすらないきつい話だなぁいかなくてもいいことになっている高校なのにいかなければ 暮らしていけないっていうのは

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