感情タグBEST3
無駄のない流れるような文体で、てらいなく直球をど真ん中に投げ込んで来る。一切、裏切りなく予定調和と言ってしまえば全編が予定調和だが、逆にそれが清々しい。心が疲れていた今、まさに読みたかった作品だった。どんぴしゃの文体でどんぴしゃのストーリー。もう一度、噛み締めて読み返します。
Posted by ブクログ 2023年11月14日
天使のシリーズの完結。読後感は最高。
天使の卵のあんなにツラい結末があり、梯子で夏姫だけは救われ、遂に歩太の心も浄化されるのかなと思う結末。
歩太の心を救うのは、恋愛ではなくて父性というところに腑に落ちる。
茉莉の生い立ちや、身に起こる出来事が辛くて、目を覆いたくなるが、それでも救ってくれる人が...続きを読むいる。世の中捨てたものじゃないなと思う。
久しぶりに村山由佳さんの本を読んだが、やっぱり最高だ。
Posted by ブクログ 2023年01月18日
春妃との別れから止まっていたままの、歩太の人生がやっと進み始めました。
これしかない、これしかないよ「天使の柩」を一言で言うのなら。やっと、やっとです。安堵と解放、そしてさよならを込めて。
茉莉の絵を書き上げることが、クライマックスかと思ってました。そうではなかった。はじめの一歩。夏姫が泣くのも無...続きを読む理はない。歩太と春妃の一番近くにいて、誰よりも二人を愛し信用し裏切られ傷つけてしまった夏姫。フルチンというパートナーと出会い、自分だけが許されてしまったことを後悔、懺悔する日もあっただろう彼女が、茉莉の絵を見た時の想い。
はかり知れないほどの安心と感謝でしょうか。
読み進めている最中は、茉莉が救われるのか、救われないのではないか、という不安しかなかった。彼女が不幸の場に居続けることは、本人にとっても悲しいことは勿論、歩太が今度こそ立ち直ることはできないだろうから。
心の限界まで追い詰められ、自分の居場所を得るために自らを危険な目に合わせてゆく。必要とされているという言葉面だけを求め、その裏にあることに目を逸らしながら奈落へ進んでゆく茉莉。歩太やザボンと過ごす日々と、タクヤと過ごす日々の明暗が際立つほどに、茉莉の心を空っぽにしていた呪いが怖い。
祖母や父親から与えられてしまった呪いの日々が、歩太やザボンたちとのこれからの日々で少しずつ払われていきますように。その呪いが祝福に変わらなくても、取り憑かれることがなくなりますように。
春妃とのことを話すことで、本当に彼女との日々を過去にできた、過去にする心の準備ができてきたのではないか、と思います。振り返ることはあっても、立ち止まることはないし、戻りたいと思うことはないのではないでしょうか。急にいなくならない、という約束は茉莉だけでなく歩太自身への約束でもあるのでしょう。
一年前は死者に舞い落ち覆い隠そうとしているかに思えた桜が、今では未来を寿ぐ先ぶれのように思えます。歩太と茉莉だけでなく、春妃にもたくさんの桜が舞い落ちる。
やっと、やっと時間が動き出しました。
そうか、桜に包まれて時間が止まっていた歩太は桃源郷に取り込まれていたようなものだったのか。そこは彼が描いていた綺麗だけども色彩のない絵画のような世界。延々と続く変化のない世界。
そこから出て再び自分の時間を歩み始めた時、桜が咲いていないのは印象的だなぁ。
感傷的でこじつけっぽいけど、桜の花の美しさ儚さが生と死、二つをイメージさせるっていう話を春妃がしていたような記憶がある。おぼろげだけども。
やっと再び歩み出した人生。この先多くの困難が訪れても、それ以上の歓喜が二人に降りそそぎますように。
そうだね。それこそ一面の桜の花びらのように、だね。
Posted by ブクログ 2022年09月20日
この作品には二つの側面がある。
大切な人を失った男性の14年後の物語。
シングルファーザーと二人暮らしの中学生の女の子の物語。
この二人の物語がどうして交わるのか。
『天使の卵』の続編、と言ってしまえば簡単かもしれないけれど、ただ続編として描かれた物語ではない。
「贖罪」というテーマがこの作品には...続きを読むあるのではないだろうか。生きていく上で知らずに犯してしまう小さな罪を人と人が関わることで贖われていくような。
物語の表面だけ読めば、中々いい感じにご都合主義に読み取れる。でもそんな物語ではないと思っている。
『天使の卵』、『天使の梯子』、『ヘブンリー・ブルー』を読めばより楽しめる。
大切な誰かを失ったことのあるヒトに寄り添ってくれる作品。
Posted by ブクログ 2018年10月12日
不幸な環境で育ってきた茉莉が、歩太くんと子猫を守ろうと必死で戦う姿に感動した。画家の歩太くんがとっても素敵。いろんな悲しい思いを乗り越えて生きて来た彼だからかもしれないが、その優しさに心があったまる。マモルに、夏姫さん他、歩太くんのお母さんもとっても素敵。この本はシリーズ?最終章になるようだが、最初...続きを読むから読んでみたい。
Posted by ブクログ 2015年08月05日
「天使の卵」から20年、「天使の梯子」から10年。
読みたいけど読めない、でも読みたい、とあまりに思い入れが強すぎる作品なだけに、迷いましたが読み終わりました。
もうずいぶん前に読み終わったのですが、何をどう書いたらいいのか分からなくて…。
詳しい内容を書くとあまりにマニアックなネタバレになるので...続きを読むそこは控えます。
村山さんの小説の好きなところは、読み終わった後に、登場人物たちのその後が自然と想像できてしまうところ。
登場人物たちが、本当にどこかの町で生きていそうな感覚。
この作品にも強くそれを感じました。
そして、相変わらずきれいな文章に引き込まれました。
天子シリーズの主人公、歩太が幸せでいてくれてよかった。
そして、この小説の主人公、まりにとって救いのあるラストでほんとによかったなと思います。
改めて「天使の卵」を読み返しています。
そして「天使の梯子」も読むつもりです。
Posted by ブクログ 2014年10月11日
「世の中がどんなにきみを責めても、きみの味方をするよ」14歳の少女・茉莉(まり)が出会った20歳年上の画家――その人の名は、歩太(あゆた)。望まれない子どもとして育ち、家にも学校にも居場所がないまま、自分を愛せずにいる少女・茉莉。かつて最愛の人・春妃(はるひ)を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた...続きを読む歩太。公園で襲われていた猫を助けようとして偶然出会った二人は、少しずつ距離を近づけていく。歩太、そして彼の友人の夏姫(なつき)や慎一との出会いに、初めて心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが、二人の幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。『天使の卵』から20年、『天使の梯子(はしご)』から10年。いま贈る、終わりにして始まりの物語。
Posted by ブクログ 2014年10月07日
天使の卵、天使の梯子と読んではいたものの、ちょっと
忘れかけてしまい、今回の本でようやく思い出してしまいました。
愛に飢えた女の子茉莉が、歩太や夏姫たちと出会えたことで
自分を取り戻していくお話。ある意味救われたラストでほっとした。
Posted by ブクログ 2014年05月30日
やっぱ黒が結構出てきたのかなぁ、と思ったらやっぱり白で安心しました。
ムニールさん社長になってたのには驚いた(そこかよっ
不思議の国のアリスの話がありましたが、よくよく考えると翻訳してましたよね。
色々と思い出させてくれて、そして自分がどうありたいかも思い出させてくれる作品でした。
Posted by ブクログ 2024年01月28日
村山さんの「天使」シリーズって、それぞれ話が違うと思っていたらそうじゃなくって全て繋がってたのか?!知らなかった…笑
大人になった歩太と14歳の少女が猫を通して出会い、歩太の優しさに触れ、自分を見つめ直していくストーリー、っといったところかな(^^) 歩太とその周りの人の優しさに心がじんわりと温か...続きを読むくなりました。
去年に「天使の卵」読んだけど記憶がおぼろげで内容ほぼ忘れてました(~_~;) シリーズ系は続けて読まないとだめだな〜。
Posted by ブクログ 2023年06月10日
知人から貰って、初めての作者でなんとなく読み進めていたけど、当たりだった。
最初の方なんとなくケータイ小説読んでるかのような感覚にもなった(笑)
読後感爽やかで良かったけど、
タクヤやその仲間らが不快なので−★(T ^ T)
Posted by ブクログ 2019年08月15日
温かい気持ちになれる物語だった。
親に見放され、教師にも友達にも心を許せない少女が、1人の年の離れた男性に出逢い、幸せを掴んでいった。
お互いに傷つきあってきたから、ここまで寄り添える事が出来たのかもしれない、
やはり、人は傷ついた分だけ優しくなれるのかもしれない。
Posted by ブクログ 2019年06月24日
3作目最終巻。良かった~(涙)終わってしまうのがもったいない。歩太の優しさにじわじわうるうる(泣)歩太の包容力に感動でした。歩太に癒されたい笑
Posted by ブクログ 2017年05月07日
「天使の卵」で"一途な思い"を、「天使の梯子」で"残された人の想い"を感じた大切なシリーズの最終章ということで、購入したのにも関わらずページをめくる決心に至るまでに4年近くかかりました。
主人公の茉莉は14歳とは思えない程、考えが大人びているためか、今作はな...続きを読むかなか文章が肌に馴染まなかったのが少し残念でした。自分も「卵」からは20年経ってますからね。
印象に残ったのは、歩太やその周りの大人達の立ち居振る舞いでした。茉莉の問題を解決に導く過程は、あるべき大人の姿が描写されているようで、自身を振り返って考えさせられました。このような大人たちが多い世の中であって欲しいとも。
このシリーズは完結、あとはもうひとつの「おいしいコーヒー」シリーズを完結させて欲しいのですが、作風の変化もあるので難しいかもしれないですね。でも望みは捨てないです。
Posted by ブクログ 2016年01月29日
シリーズの中で一番よかった気がします。
歩太さんってこんなんでしたっけ?てほどオトナで(当たり前か 笑)
でも1つ思うのは経験って人を本当に成長させてくれるんだなってこと。キャラクターが変わってしまうぐらい影響しますね。
Posted by ブクログ 2015年07月14日
天使の卵、天使の梯子に続く天使シリーズ最終章。
自分を愛せない14歳の少女と最愛の人を失った20歳年上の画家。
二人は偶然出会い、心安らぐ幸福な時間を共有していく物語。
逞しい男性となった画家の歩太が過去の作品を通じて少しずつ前を向いていく姿がさりげなく表現されていて良かったです。
作品全体に透...続きを読む明感を感じて、常に薄明るい光を感じます。
そんな歩太が聖人過ぎる思いはあるが、やっとこさ心安らぐ相手と出会って何よりです。
そんな些細な変化も気づくのは夏姫というのが複雑ですが。
過去に天使シリーズを読んでた方にお勧めの作品です。
Posted by ブクログ 2014年07月25日
『天使の卵』シリーズ最終章。
歩太の茉莉への気持ちがやさしく温かかった。
最後はうまくいってよかったです。
村山さんの作品は天使シリーズしか読んだことないですが、読みやすくていいです。
Posted by ブクログ 2014年07月20日
天使シリーズを少し忘れていたけど、読みながら思い出し。
歩太 成長したね。
猫を助けた時の対応がよかったな。
15歳のマリにまつわる話が痛々しい。
家族関係、鍵のこと、彼氏の話、脅迫。
でもラストは
うまくおさまってよかったな。
”自分を丸ごと受け容れてくれる場所”
安心できる居場所がある...続きを読むことは
本当に大切でありがたいことだね。
Posted by ブクログ 2014年07月09日
まぁこんなのは、お話で現実感が無いけど、それでもその場その場での描写はうまく作者の力量はすごい。
いつの間にか話しに引き込まれ、最後まで読むと自分の気持ちが明るく前向きになっていた。
Posted by ブクログ 2014年06月29日
天使のシリーズ完結編。
ここまでつなげてくれたとは。
救いのあるラストで良かった。
天使の卵を読んでから好きになってほぼ順に読んでいるのでまた出してくれたのはうれしい。
ミステリーばかり読んでいるので茉莉の事件はひどいけどわりとさらっと読めてしまった。
村山氏の作品が最近大人のどろどろしたものだった...続きを読むので天使の棺は希望のあるきれいな話になっていてうれしい。
歩太も幸せになってほしいな。
Posted by ブクログ 2014年06月11日
望まれない子どもとして育ち、自分を愛せずにいる少女・茉莉。かつて最愛の人を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた歩太。彼との出会いに、初め心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが、二人の幸福な時間はある事件によって大きく歪められ―『天使の卵』から20年、『天使の梯子』から10年。いま贈る、終わりにして始...続きを読むまりの物語。 (「BOOK」データベースより)
「天使の梯子」が出た時に、(続いてたのか!)とびっくりしましたが、またまたびっくりなのでした。天使シリーズなのね。でも最後らしい。どうせなら「おいコー」みたいにもっと続いて欲しいわー。歩太くん、ヒト良さすぎだけど、ま、お話ってことで許せる範囲。最近の村山由佳さんはどろどろしていてちょっとなぁと思っていたから、天使シリーズはほっとします。
Posted by ブクログ 2021年11月25日
天使シリーズの最終章。天使の卵より心に響かなかったものの、自分を見失っている少女が歩太に出会い、だんだんと変わり幸せになっていくだろうこの先がみえよかったなと思った。
Posted by ブクログ 2017年08月12日
シリーズ3作目。
マリちゃん、15歳にして 壮絶な人生に、歩太と そのまわりの人たちが 寄り添い、よい方向へと 導いていく…皆 幸せになってほしい…が、赤の他人の女の子に これだけ関われるって…ある意味 スゴイ(^。^;)
Posted by ブクログ 2016年09月25日
天使シリーズ続編の最後の一冊。ハーフで自分を醜いと信じ、ろくでもない男と付き合う主人公の茉莉になかなか馴染めなかった。タクヤのせいで危ない目に合う場面も、読んでいて辛かった。だけど彼女は、歩太にとっては本当に天使のようだったのだろう。「天使の卵」以來、心を閉ざしていた歩太と、醜いと他人から吹き込まれ...続きを読む自分の本当の魅力に気がつかない茉莉。二人が出会ったのは運命だろうか。歩太にも茉莉にも幸せになってほしい。「天使の卵」をもう一度読み直したくなった。
Posted by ブクログ 2016年08月11日
冒頭の文章に惹かれ読み始めた。
この作者の小説は今回が初めて。文章が読みやすく、主人公の置かれている境遇に目が離せなくてついつい読み続けた。
シリーズものだったんですね。それでも、置いていかれる感じなく読めました。
歩太の過去がすごく気になるので、次はシリーズ最初から読みたい!
Posted by ブクログ 2015年12月21日
中学生の少女。
不良の男の子と付き合っている。
小さい頃から祖母に可愛がられず、父親も家に帰ると娘を軟禁状態にさせる。
母親に似ている娘をみたくないからか…。
ある日公園で猫をいじめている小学生たちに立ち向かっていると、いつも公園で絵を書いている人が仲介に入って、いじめられた猫を動物病院まで連れて...続きを読む行ってくれ、めんどうを見てくれることになった。
それから猫の様子を見に、その人の家に通うようになる。
後にその小学生とも和解し、少女の家庭状況を知ったその人が、少女を養子にする。
Posted by ブクログ 2014年10月24日
3部作の最後、どうかな~
あんまり印象に残る作品じゃなかったな。
どうも登場人物に感情移入できなかった。
みんないい子ぶっているというか、なんというか。嘘くさい感じがしてしまったな~
Posted by ブクログ 2014年06月08日
辛い思いをしてきてきた主人公はひょんな出会いからいろんなことが少しずつ変わっていく。天使の卵のシリーズの完結編!
印象的な一節は、「そもそも不幸なんてものは、こっちがどんなに準備してたって、それとは関係なく降りかかるものなんだから。」
Posted by ブクログ 2014年06月03日
自分を汚らわしいと思った経験があるんでしょう。だから、心の傷がテーマになるし、そこから何らかの関わりで這い上がってきたから、こういった優しさを書くのでしょう。柩が何を意味するかは、前の2作を読んでください。主人公は天羽茉莉。日本人とフィリピン人のハーフで生まれたきから祖母の厳しい躾を受けた。ひょんな...続きを読むことから画家の歩太と知り合う。互いに傷を抱えた2人の温かな交流の影で、茉莉は自らの首を締め続けていく。
Posted by ブクログ 2014年12月14日
自分を取り巻く世界が変われば、見える世界も変わってくる。
14歳の茉莉が見ていた世界は、歩太と交流を重ねることによってようやく人並の世界になったのでしょう。
読んでいる間、歩太がどうしてであったばかりの少女に無償とも思える愛情を注げるのかと不思議に思っていましたが、春妃が亡くならず身ごもっていた子が...続きを読む生まれていたら茉莉と同年代の子の親になっているんですね。我が子と重なって見えていたのなら、無償の愛を捧げるのも納得です。
何にしても、歩太に夏姫に慎一、三人が悲しみを乗り越えて前に進めている姿を最後に見ることができて本当によかった。