感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2015年11月15日
解説読むまで何事がバックボーンで進行しているのか、類推しかできませんでした。
密度の高い、パリンプセストのようなお話。
日本語でしか味わえない重層意味の用語多数のうえ、主観者がゆらぐため、読者(読める者)を選ぶ。
「なんも考えずに、作家の書いた文字列をそのまま再構築してそこで得られる情景を楽しめる」...続きを読むタイプの本ではない。
かような理由で読者を選ぶ。
選ぶのですが、読む技能が相応にあると、色々考えながら再読、再再読するのが、大変なのに楽しくなる一冊。
ですので星5つ。
話の筋をあらかた理解したうえで読みなおすと、異種の異種っぷりが気持ちいいくらい地の文に浸透してるのです。「肘にふれる」とか。
ももんじ可愛いよももんじ。もふり回したい。
Posted by ブクログ 2015年02月07日
重厚で精密な世界観。難解。ややグロテスク。
万人受けはしない。
宇宙、異世界、昆虫を中心とした異形の生物が登場。
解説を読んで、もう一度読み返して、それでも分からない難解さがいい。
この世界観に魅せられると、並みの小説では物足りなくなる。
解説にもあるとおり、独特な造語が独特な世界を創り出してい...続きを読むる。
人間の世界とは言語であるということがよく分かる。
Posted by ブクログ 2014年10月13日
兎に角、凄いに尽きる一冊。この幻想的な異世界感だけでなく、言葉の使い方が物凄い。読みながらクラクラすると云うのが、第一の印象。そして、訳がわからん。でもその中に垣間見える、遥かな未来世界の面影。普通の人にはとてもお勧めできない。読むのも一苦労。苦労しながら、所々で明示される世界があって、また混沌に戻...続きを読むっていく。
最後まで読み切って、大森望の解説を読むと、必ずまた再読したくなる。とにかく凄いの一言。日本SF史に永く残る作品であることは間違い無し。
Posted by ブクログ 2014年06月18日
異様言語異様生物異様世界観で、意外にまっとうな筋をつけたらどうか!!?? という実験。
とはいえ異様度のほうが大いに勝り、大森望の解説なしでは何ひとつわかるまい。
ただやはり、どどんとぐちょぐちょと突き抜けた先に何かしらの詩情がある。これがいい。
それにしてもよくこんな小説を。
再読。
序章
...続きを読む 断章 拿獲
皆勤の徒
断章 宝玉
洞の街
断章 開闢
泥海の浮き城
断章 流刑
百々似隊商
終章
Posted by ブクログ 2014年05月05日
絵の人なので、絵としての強いイメージがあって、それを文章に置き換えている感じがした。
解説では「読むのに時間と労力が必要」となっていたけど、あずまひでおや諸星大二郎を読み慣れた世代なので、全く大丈夫でした。
Posted by ブクログ 2013年11月17日
久々に日本のSFでアタリ。今後にとても期待したい!ただ、、、少し漢字と当て字のセンスが。。。ウン。でもイメージがぶわーっと脳内に溢れる感じが少々癖にはなりそう。ただボルヘスのようなイメージの奔流ではない。
Posted by ブクログ 2013年10月09日
SF界に現れた異才というか鬼才というか、とにかくすごすぎる新人の、短編集。ただし解説を見るとその全ての繋がりが見えてくるようになっている。いっそファンタジーに近い、遠未来の人類の物語。好き嫌いがとても分かれそう。
Posted by ブクログ 2015年09月28日
世界を本当に描写しようとするとおそらくこれだけじゃ物足りないだろう。理解しようとすることすら放棄される。
本当はシンプルな構成を一度崩し、著者の世界で再構成されているので、この物語は、皆が書くように本当に人を選ぶ、というか忍耐がいる。あまり読み方はおすすめしないけど、
おそらくこの本にすると、解説か...続きを読むら読むと良いかもしれない。ネタバレしても十分に面白い。というか大局観をつかめないと、途中で投げ出してしまうだろう。
ある意味、多様性という概念が存在しなくなり、その分、わたしという存在や、名前、所属がより重要になるということを全く違う世界において表現し、差別と区別の違いを理解しようとすればするほど強く感じる。
僕にとってこの本はSFの体裁をとっているが新しい純文学の扉を開いて閉じてしまったような感覚だった。
それほど読むのに力がいるが、吸い込まれ、没頭できず、反芻し、消化しきれず、あるがままを受け入れることしかできないような物語だった。
Posted by ブクログ 2015年05月20日
いやあ、大変でした。
永久に読み終わらない…違った、永久に読み終われないのではないかと思いました。
そのくらい大変な読書、久しぶりです。
まず、一つ一つの言葉がわからない。
作者の創り出した言葉の意味を考えるのにかなり時間を取られました。
それから、わからない言葉と言葉で創られている文章の意味を...続きを読む考え、文章のイメージを脳内に再生させ(うえ~)、最終的には何が書かれているのかが判明するまでに1日半かかりました。
50ページほどの一編を読むのに、です。
“ 序章
銀河深淵に凝(こご)った膠着円盤の安定周期軌道上に、巨(おお)しく透曇(とうどん)な球體(きゅうたい)をなす千万(ちよろず)の胞人(ほうじん)が密集し、群都をなしていた。その犇(ひし)めきのなか、直径一万株を超える瓢(ひさご)形の連結胞人、〈禦〉(ぎょ)と〈闍〉(じゃ)の威容があった。互いを呑み込もうと媒収(ばいしゅう)をはじめて幾星霜(いくせいそう)、不自然な均衡を保つ二者の組織内部において、数多(あまた)の惑星の生物標本より詞配(しはい)された隷重類(れいちょうるい)たちが、各々(おのおの)属する胞人規範に基づいて働き、落命と出生を繰り返しつつ多元的な生態系を組み上げていた。”
どうです?
言葉の意味を咀嚼し、文章の意味を咀嚼し、で、つまりどういうこと?
この一連の流れにえらく時間がかかるのです。
しかし、努力は報われる(時もある)のです。
・皆勤の徒
・洞(うつお)の街
・泥海(なずみ)の浮き城
・百々似(ももんじ)隊商
読みにくい文章を読んで、読んで、読み進んでいくほど、読みやすくはなってきます。
今の人類とは似ても似つかぬ、無定形生物を“人間”とする世界。
全てが無定形であり、有機的であるその世界は、今から遙か遙か遠い未来の世界。
そして、作品が進むごとに、今の人類に近くなっていきます。
時間が遡ることで、徐々にその世界の成り立ちがわかるようになっていると思われます。
断定できるほどにはわかっていないので、あくまで推論ですが。
読むのに時間がかかるのにはもう一つ理由があります。
わたくし、手足のないもの、またはむやみやたらに手足の数の多いものが苦手なのですが、この作品にはそういうものしか出てきません。(うえ~)
脳内イメージの再生を止めるべく敢然と立ちあがるのですが、漏れ出てくる、ぞよぞよとして、みろ~んとして、ぬちゃりとしたあれこれ。
ほとんど擬音語や擬態語が使われていないにもかかわらず、全体に漂う空気の水分含有量が皮膚感覚として伝わってくるようです。
“老婆が添え物のような腹尻(はらじり)をぶらつかせながら、菌糸の浸潤したか細い六本の手で、飛び出した臓物を拾い集め、わたしの割れた胴体の器に収めていく。だが寄生虫まで戻すので唸り声で訴えた。
「これにだって大事な役割、あります、棄てたら、命、ありません」”
理解の難しい言葉や文章の、表面上の難解を取り除いたら、意外とストーリーは単純かもしれない。
皆勤の徒→ブラック企業に勤めるサラリーマン小説
洞の街→ビターな青春小説
泥海の浮き城→ハードボイルド
百々似隊商→始まりの章
これが一冊の本になると、あら不思議。
生き延びること。命をつなぐことの業。
再生される記憶。共有される記憶。
コピーに継ぐコピーはもはや原形をとどめない。
それは進化なのか、劣化なのか。
全体を通して見た時に、これは真っ当なSFど真中の作品であったことがわかりました。
苦労して読んだ分、読み終わってからいろいろ考えることも多く、結果、存分に楽しむことができました。
ああ、投げ出さなくてよかった。
Posted by ブクログ 2014年11月10日
1回読んだだけでは「?」の羅列になってしまうけど、最後まで読んだ後、解説を読めばなんとなくわかる。グレッグイーガンとか読んでいる人なら大丈夫でしょう。
大森氏が解説に書いているように著者は天才かもしれない。しかし、そうであるが故に、簡単には理解されず、それを見いだした大森氏は凄いと思います。表題作...続きを読むだけで評価しろと言われら、そりゃ商業的に難しいです。そんな感じの本。
Posted by ブクログ 2014年10月01日
いやぁ難しい。一度電子書籍版を買ったのだけれど、これは紙の本じゃないと読めないでしょう。
とにかく造語のオンパレードで。単語をひとつひとつ確認し、こんな意味かな?と想像しながら読むので、もう大変です。
私は『皆勤の徒』が一番解り易かったかな。
第34回SF大賞受賞。
Posted by ブクログ 2014年06月06日
創元SF短編賞受賞作品。
SF短編って、(自分には)世界を理解できない間に終わることが多いけど、こ~れ~は~~・・・!
久々にここまで難解なSFを読みました。全編を読んでようやく、解説で書かれているようなことがフワッと(あくまでもふわぁ~っと)感じられたぐらいでした。解説どおり、確かに再読が必要かも...続きを読む。
おもしろいというよりは、この世界を創造した驚き(気持ち悪さ?)も含めて★×4。挿絵はお洒落に書いてるけど、文章からは相当気持ち悪いのが想像される(笑)
Posted by ブクログ 2014年05月16日
最初の1ページでもう投げ出そうかと思ったが、我慢して読んでよかった。
独特という表現では生温いんじゃないかというほどの著者の言語感覚についていくのが特に序盤は大変だが(既存の熟語を当て字で置き換えるセンスは卓越している)、そのハードルをなんとか乗り越えて徐々に作中世界の成り立ちに興味を抱き、想像を...続きを読む巡らせていく段階に至れば、滋味が総身に沁みてくるような。
ただ、それでも一読しただけではまだ理解しきれていない部分も多い。
巻末の大森望氏の解説には非常に助けられたが(単行本に解説を入れるのは異例だが、確かに賢明な判断だ)、それを以てしても、せめて今一度、再読が必要だ。
日本にも凄いSFが生まれたものだ。
Posted by ブクログ 2014年12月24日
創元SF短編賞受賞作品。
SF短編って、(自分には)世界を理解できない間に終わることが多いけど、こ〜れ〜は〜〜・・・!
久々にここまで難解なSFを読みました。全編を読んでようやく、解説で書かれているようなことがフワッと(あくまでもふわぁ〜っと)感じられたぐらいでした。解説どおり、確かに再読が必要かも...続きを読む。
おもしろいというよりは、この世界を創造した驚き(気持ち悪さ?)も含めて★×4。挿絵はお洒落に書いてるけど、文章からは相当気持ち悪いのが想像される(笑)
Posted by ブクログ 2013年12月21日
最初の1行で読むのを止めようと思ったくらい、何が書いてあるか分からなかった。そこで解説を熟読。5回以上熟読。そしてなんとなく分かったため、読むのを続行。すると、かなり面白かった。だが、1回読んだだけでははっきりとは内容が分からなかった。
Posted by ブクログ 2024年02月17日
「奏で手のヌフレツン」に続いて、作者の作品を遡ってみたくなり読んでみた。4つの短編からなり、表題作の「皆勤の徒」は、第2回創元SF短編賞受賞を受賞したのも納得の独自の世界観が構築されている。「奏で手の〜」で慣れたとはいえ、漢字の当て字が基本となる言葉遊びに溢れた文体は、求められる読む労力が高いので、...続きを読むあまり意味を考えずにビジュアルとして捉えて流し読むくらいが疲れなくていい。3つ目の作品までは、登場するのが異形な生物だらけでかなりグロい描写が連続するので、想像力豊かで昆虫や爬虫類や軟体系が嫌いな方は受け付けられないだろう。
4つ目の「百々似(ももんじ)隊商」だけは現代風?な人類ぽい人々が登場し、かなり一般的な文章で、それまでの難解とも言える3作品のプロローグ的なわかりやすい導入支援作品となっている(と思う)ので、4つ目から読むというのもありかもしれない。が、いづれにせよ、すべてを理解しようとせず、まずは刹那を楽しむのがよいと思う。
Posted by ブクログ 2014年08月30日
一度、手に取って読みだしたが、あまりの世界観に途中で放り出した。また手に取るまで覚悟が必要だったが、何とか最後まで読み通すことができたが、これは読む人を選ぶだろう。最後の解説を読まないと、そもそも物語がSFなのか堂かもわからない。
Posted by ブクログ 2014年06月06日
のっけから特異な情景のウエットな描写と造語の嵐で頭がクラクラしました。読み進むための労力も半端でなければ、得られる酩酊感も半端ではなく、ある意味凄く感動しました。異世界をリアルに描写しようとすると難解さはさけられないなあとは思うものの本書の飛び方は半端ではないです。大森さんが解説で、本書の世界の設定...続きを読むを簡易に説明してくれていますが、少々違う読み方をしている箇所が多く興味深く感じました。本書の構成そのままで、中篇オムニバス形式でアニメ化されないかなぁと思ったりもします。