感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2012年05月04日
「エロス」と「バイオレンス」と言うところでしょうか。
ほかに花村萬月作品を読んだのが1つしかないのですが、それも同様に「エロス」と「バイオレンス」でした。
出てくる人物にまともな人がほとんどいないっていうのも面白いです。
ヤクザや芸能プロダクションのボス、近親相姦しているその妹、巨人症のオカマ...続きを読む、指を失ったギタリスト、ボスを篭絡しようとしてその妹にぼろぼろにされたシンガーソングライターと、比較的一般的なマネージャーの男っていうのが登場人物です。
脇でチンピラとか出てきますが、そもそも名前も出てこないのでモブです。
読み始めたところで主人公は沢村(ギタリスト)なのかなと思ったけど、芦原(マネージャー)が主人公なんでしょうねぇ。
群像劇みたいな感じなのかもしれないけど。
まともな人間が出てこないので、各キャラクターの思考や行動原理にいろいろ問題ありすぎてすごく面白いです。
あと、読んでいるうちにすごく興奮というか、テンションがあがります。
「エロス」成分で興奮するのではなく、なんかよくわからないけど、すごく興奮します。
面白くて、一気に読んでしまいました。
花村萬月作品はほんと面白い。
Posted by ブクログ 2014年10月05日
【本の内容】
哀しく、それでいて熱い旋律。
沢村がつま弾く音に、麗子が目を付けた。
麗子は沢村が世話になっているヤクザ者・山城の溺愛する妹だった。
麗子は美女の自殺志願者だった。
そして、麗子は悪魔だった―。
沢村はたった一度の麗子との快楽の代償として、ギタリストの命である指を失った。
...続きを読むそればかりか巨大な野獣にいたぶられ、人間としての尊厳をも失った。
すべては麗子の罠だった。
沢村を指の動かない天才ギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトにするための…。
男女の、兄妹の、粘り付くような濃い愛憎を、物語を通して描き切った花村文学の真骨頂。
[ 目次 ]
[ POP ]
下劣な暴力と欲望を大きなモチーフとしながら、この気高さは一体何なのか。
悪魔そのものの麗子が哀しい神に思えてくるのはなぜなのか。
食わず嫌いをしてきたが、なるほどこれが花村萬月の魅力なのであろうと納得。
吐き気のするような暴力行為のあとで、同じ人物の繊細な心象がえがかれ、悲痛なドラマのあとで、第三者の醒めた目がその感傷を笑いとばす。
そうしたバランスのとれた視点の移動が全編をつらぬき、非現実的なストーリーと登場人物に感情移入を許す。
世界の汚いものをすべて浄化したあとの、ちぎれるような痛みを想像させる美しい小説だ。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ 2009年10月04日
暗い…!というのが第一印象で、読み終わってもやっぱり救いがなくて、暗い!登場人物が皆奇天烈で、やること全部が狂気じみてる。それが狙いなんでしょうかねぇ。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
グロテスクで暴力的で、救いようの無い暗い淵を覗き込んでいるような気分にさせられます。挫折や絶望、悲しみといったものが攻撃性を持つとこうなるのだろう、という感じ。ただ、人間はこういう面を否応無く持っているのだろうなと納得もします。エグいものが嫌いな人にはお奨めできません。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
気持ち悪い話で、「えー! なんで?」と思わせつつも最後まで読ませる力があります。そして後味も悪い話だったりします。共感できなかったのがしんどかったなぁ。
Posted by ブクログ 2020年07月15日
とても、おぞましい物語だ。
読んでいて気分が悪くなるところもあったのだけれど、それだけ文章力があってリアルだということなのだと思う。
山城は芸能というものの本質を直感的に理解しているのだ。芸能というものは、やはり畸型なものなのだ。(p.42)
借りっぱなしのスイート。巨人のボディガード。そういった...続きを読むものは、愛といった抽象では手に入れられない。経済力という現実がなければ、永遠に手に入れられないものだ。(p.198)
沢村は指を喪ってみて、はじめて障害者の直面する本質的な屈辱を知った。善意の人々は、障害を持つ者が人並みになにかするのを笑顔で迎え、あたたかい拍手を送る。しかし、絶対にその行為の実質を評価することはない。彼らの拍手の裏には、わたしは差別などしないという偽善と、五体満足な者を障害者が超えられるわけがないという傲慢な思い込みがある。(p.252)