【感想・ネタバレ】お別れの音のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月21日

なんとも掴みどころのないような別れの短編集。

別れとは言っても、親友、恋人、家族のような存在ではなく、
意識しなければ通り過ぎてしまうような相手。
偶然知り合った人。
劇的なことは起こらずに、出会い、気がつけば別れていく。

『お上手』と『ニカウさんの近況』が特に雰囲気が良くて好きだった。

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Posted by ブクログ 2016年08月10日

「別れ」と聞いて真っ先に思い浮かぶような親しい人との悲しい別れではなく、人柄や名前すらも知らないような人との出会いとも言えないような出会いや別れを通して芽生えた心の引っ掛かりのようなものに光を当てた作品集。よく知らない人だからこそ、その人の性格や思い出などと結びつくことができずになまの感情が宙に浮い...続きを読むたままになり、時として後まで強く残ったりするのだろう。すぐ納得して消化できてしまうことほど印象にも残らないものだ。こういうちょっとした引っ掛かりのある出来事だって立派に人生を豊かにすることに繋がっているんだなと思った。2つ目の『お上手』が特によかった。

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Posted by ブクログ 2015年07月14日

何か不思議な味わいのある短編集だった。
読み終えたあと、「お別れの音」というこの小説全体のタイトルについて考えた。

別れと一口に言っても、関係性も長さも別れ方も理由もそれぞれで、本当に浅いところまで視野を広げてしまうと、知り合って親しくならないうちに別れてしまう(二度と会わなくなってしまう)関係も...続きを読むたくさんある。
何となく静かに別れの匂いが漂ってくることもあれば、自分の意思で別れを決めることもある。
この小説は劇的に愛し合った二人が劇的に別れた、みたいなお話はひとつもなくて、どちらかと言えば意識しなければただ通りすぎて終わってしまうような関係性のその別れがほとんどで、だからこそ味わい深いのだと思う。

はっきりと聞こえる何かの音、誰かの声、そして想像の中の音。様々なところに、「お別れの音」が潜んでいる。

「お上手」と「役立たず」がとくに印象に残った。

少しの情報だとか一方的な好意をもとに「あの人はきっとこういう人だろう」とか「きっとこんなことを思っているだろう」と勝手に思い込んでしまうことって実は日常にたくさんある。勝手に望んでしまうことがある。意識してないだけで。
それが違ったときはただひとつの現実が明るみになっただけの話。想像と違った相手が悪いわけじゃない。
自分の欲求を恨みに変えてはいけない。
そんなことを、改めて思った。
(そういう恐ろしいお話はないけどね!)

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Posted by ブクログ 2024年01月22日

なんなん、このチクチクチクチクした小さい小さい棘みたいな違和感は。
嫌いなような好きなような嫌いなような?

☆新しいビルディング
☆お上手
☆ニカウさんの近況
☆役立たず
☆ファビアンの家の思い出

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Posted by ブクログ 2015年01月26日

短編6つ。
文庫の裏表紙を引用すると、
日常の中ですれ違っていく、忘れられない人たち。そのすれ違いの中で、かすかに揺らぐ感情を掬いあげる…とある。

掬いあげかたがこれまで自分が読んできた本と違ってきたのか、新鮮だった。

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Posted by ブクログ 2014年04月29日

なんてことない日常も、丁寧に書けば物語になる、という印象の短篇集。
働く人たちの些細な出来事を、これでもかと詳細に書く。
言葉の選び方や緻密な文章は一定の評価を受けるんだろうけど、物語としてワクワクするのもを感じないから、たぶんこういうタイプの話は自分は好きではないんだな、と感じる。

最も起伏が無...続きを読むく、一番丁寧にオフィスの風景が描かれている『新しいビルディング』が裏に含むものが濃い気がした。
あまりやる気のないOLを主人公として、ふたりきり個室で働いている先輩が産休に入るまでの日々を描いている。くどいのだが、微妙に揺れ動く心の感覚が伝わってくる。

一文字ずつ物語を読む気力がないときに手を出すとまったく楽しめないんだろうな、と思った。

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Posted by ブクログ 2013年10月18日

 ちゃんと「知り合って」もいない内に、「お別れ」の時が来てしまう事がある。
「お別れ」と言うよりも「出逢う事」を断ち切られた、若しくは断ち切った音がする、そんな話が多かった。
 その人への興味を妄想の中だけに留めておけば、「お別れ」の音は聴こえない。
現実にその誰かに干渉した時に、その音が聴こえてし...続きを読むまうのだ。
そんな瞬間は、誰の人生にもあるだろう。
 その時にフジクラさんみたいに(彼女が本心から言ったのかは分からないけれども)「もっと喋っておけばよかった」と、思ったり思わなかったりしながら、日々は続いていく。
しかし気になった人との、お互いを知らないままの別れは、いつまでも纏わりついて離れない。
どの話もさらりと読めるけれど、印象ほど読後はそんなに軽くはない。

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Posted by ブクログ 2013年10月09日

オフィスの端にある二人きりの小部屋、地下広場の奥にある靴の修理屋、午後二時過ぎの学食、パソコンの中、スイスにある友達の友達の借り家。
それぞれの場所での出会いと別れ、人との関わりを描いた短編集。

なんでもない日常なのに、ちゃんと物語がある。

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Posted by ブクログ 2013年09月28日

透明感のない、どっしりとした感じな文章。文に色をつけるのであれば、グレーがはいった薄い水色といったところ。透明感はないけれど、丁寧に書かれている感じがした。

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Posted by ブクログ 2013年09月18日

「お別れ」と呼ぶには大げさで、でも「お別れ」としか呼べない六つの瞬間を、穏やかな「音」と共に掬い取った短編集。

短編集だけど表題作があるわけではなくて、収録されている六編全体のタイトルとしてこの名が冠されているところがすごく綺麗だと思う。
全ての人の日常の中に、こうした些細な「お別れ」が息を潜めて...続きを読むいて、私たちをそこで待っているのだとして、
それなら今日、僕は、何とお別れしたのだろう?
その代りに、何かに出会ったのだろうか?

「お別れ」と「出会い」は等価ではない。
「お別れ」が次の「出会い」へと、私たちを導いてくれるのではない。

「お別れ」は、ただの「お別れ」。
ただそこにあるだけで、それ以上でもそれ以下でもない。

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