【感想・ネタバレ】夏至南風のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年09月04日

ふと夏至南風に吹かれたくなって。
腐りきった夏がやって来ました。叛骨心よ!
どことなく三島由紀夫『午後の曳航』を思い出す本作は、長野さんも愛する代表作で、頁という頁にわたって、腐爛した、湿り気のあるグロテスクなモチーフが鏤められています。しかし、その悍ましさは果実のように妖潤であり、ひと夏の惨劇であ...続きを読むりながらも永遠にちかしい時間の粼に何度恍惚としたことか! 碧夏との出逢いから、サディスティックな眉姿の潜む鬱々とした地下部屋に検疫公司の廃墟、近親相姦に峻拒の囁き、絶望の怨嗟を彷彿とさせるラストシーン…。「醜悪ながらも美しい」とはこの手の作品を形容する時に使われがちですが、まさしく本作がそれで、文章が内容を凌駕していますね。三島由紀夫しかり、そんな作品は大好物です。ごちそうさまでした。

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Posted by ブクログ 2020年02月11日

面白かったです。
黒長野…長野まゆみさんはこの系統が好きです。淫靡で湿度のある、でも涼やかな少年たち。
じめじめしていて、空気に腐臭が漂ってても、醜く腐敗していてもよいです。すぐ服の前を開けてしまうところも。
碧夏が良いです。完全な少年だ。。
残酷で、でも美しい作品でした。

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Posted by ブクログ 2017年07月31日

再………読。根底は同じなんだろうけど、直接的な連続殺人や刑事などの存在を見ると、事件に目が行き、謎解きがしたくなる…けど、漠然と掴みつつ犯人も動機もはっきりと攫めなかった今回も。著者様のこういう本って珍しかったような気がするのだけど、気のせいかしら?

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Posted by ブクログ 2009年10月21日

汚いものが美しく、美しいものも汚く。長野まゆみの文体でなければ、ひたすら悪臭に満ちた世界となっていたでしょう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

一言で言ってしまうと、気持ち悪くて、いかがわしい。
あまり人に薦め(られ)たくないような、逆に薦めたいような、…万人に好かれるモノでないことは確か。

地面から湧き上がるようなじっとりとした文体で、綺麗なものがたくさん…ではない。
すべてを腐らせてしまう、夏至南風。
どこかの遠い、知らない国の風景に...続きを読むまぎれて、ギラギラと、生に執着するような描写がたまらない。…いや、逆に執着していないのかもしれない。よみたくないのに、よんでしまうのだ。
今まで読んできた長野まゆみの小説とは少し違う気がした。根本では変わらないものがあるのだと思うが。
解説をよんで、ああ、わかったような、わからないような。そういう曖昧さすら心地いいと思えてしまうほど。私は中毒になっているのかもしれない。
そして吐き気を催すほどの言葉の並びに、登場人物の名前がすごく美しく転がっている。
どんな内容であっても、私はこの人のそういう部分でのこだわりがすごく好きだったりする。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

何回も読んでるけど、怖い。
怖くてたまらない。だけど美しい。読んでいるだけでむせ返りそうになるような、濃厚な南の「匂い」がする。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

長野作品で最も印象深い作品。少年愛のひとつの極地であると同時に、繁茂し脈絡を嫌う草花の如き展開、薄暗がりに光る登場人物たちに酔うばかり。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

初めて読んだ長野まゆみ。
それまでライトノベル系しか読んだことがなかったので読書の幅が広がった。
世界観とか腐っていく夏とかとにかく大好き。

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Posted by ブクログ 2016年02月25日

エッ、終わりなの?!と思った。笑
個人個人が好き勝手に行動して秩序のない世界に夏至南風が吹く。
自己というものを模索する少年期には、伯母なのどの大人はたるんでみえる。果実は腐っている。

そして帰ってきた時にその果実のように腐った碧夏の意味は、、長野先生なりの社会への反抗を表した物語なのかもしれない...続きを読む
腐っている世界。 死体が転がる世界。

腐っている=死体に対して、最後の碧夏は腐っているのに生きているから鈷藍は嬉しいのかなあ、と。

どうやっても綺麗な話にはならないことは確かですね。

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Posted by ブクログ 2012年01月19日

濃いなーとにかく濃い。噎せ返る。独特の文体でさらっと人を残酷にあつかうしグロテスクな描写もなんでもないような顔して書かれてるし、これは好き嫌い分かれるんだろうなーとも。
毎度のことだけど何が何だかわからず何も解決しないまま終わる。それがいいって割り切っちゃえばいいけど初めてだとえっえってなりそう。
...続きを読むラストがなんか…新鮮だったなここまでの後味の悪さ…でも素敵。好きだこういう終わり方。
ねっとりと気持ち悪い話でした、いい意味で。

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Posted by ブクログ 2011年11月25日

好き嫌いが分かれる作品だと思います。私は中学生の頃初めて読みましたが、その時はただただショックでした。同性愛、近親相姦、腐った果実。アジアのねっとりとした風を感じます。残酷な世界ですがどこか透明感もあります。歳を重ねるほどに、私のフェイバリットになってゆく作品です。ラストの解釈が深いです。

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Posted by ブクログ 2010年06月27日

濃密に匂い立つ、うだるような暑さと腐臭と退廃の美。夏の残酷な熱風に飲み込まれそう。
他の長野作品とは違う、異色作です。
過激で全編に腐敗が色濃く印象づけられているのに美しい。長野作品がきらきらかわいいだけに終わらないのはこういう世界観も持ってる人が描いてるからかなーと思う。

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Posted by ブクログ 2010年05月06日

夏におすすめの一冊。夏の爛れたっていうか、腐敗のさまをここまで耽美に書けるのってほんとにすごいと思うんだよね。

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Posted by ブクログ 2009年11月05日

ラストに唖然としました。長野作品の中に、こういう匂いのする物語があったのか・・・と、今まで読んでいなかったことを少し悔しく思いました。確かにエログロなのかもしれないけれど、どこかきれいだと思えてしまうことが不思議。鈷藍と碧夏という名前が好きです。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

主人公の住む町、ハイランディのむしむしとした怪しい空気がずっと。
うだるような世界観がとっても好き。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

今まで読んできた長野まゆみ作品の中最も過激で驚きました。腐った臭いがこちらまで漂ってきそうな描写なのに何故か美しさを感じてしまった。
いつもの長野まゆみの作品の艶やかさとか美しさはこの醜さと紙一重なのかなー。俗物的なモノをとことん嫌悪する姿勢に感動。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

南国の、イメージとしてはベトナムか。熱い南風が、果物や野菜ばかりか肉体までも腐敗させていく。完璧な美をもつビーシアの、なんという結末。人を人とも思わずむごい目に合わせて楽しそうに哂っていたビーシア。「君なんか誰も愛さないよ。そして、君も誰をも愛しはしない。」そう言い放ったクーラン。自分を嫌悪し、美し...続きを読むい人をも嫌悪する。しかし、その人が変わり果てて目の前に現れたとき…。
ごみごみとしたスラム、不衛生極まりない港町、そこでレイプされる少年たち。しかし、それは日常茶飯事。ビーシアは、ほぼ間違いなく情性欠如のサイコパスだと思う。ただ、この作品全体を流れる雰囲気…生きるのが容易ではないのに生きることにどこか真摯ではないという気配のなかで、ビーシアはこれ以外の人格ではありえない、と思う。


今まで読んだ長野作品の中では、好きな作品です。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

初期の長野本は好きです。
中学の頃読んでたな。本棚にはかなりの量ある。
特にこれと、「夜啼く鳥は夢を見た」「雨更紗」がすきかな。
途中からやたらと高村薫化して、
BL臭がどぎつくなって駄目になってしまって、読まなくなったけど。
なんでいきなり同人本みたいなのを書いちゃうようになったんだろうね…
ど ...続きを読むん び き 。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

海藍地(ハイランデイ)の街に夏至南風が吹いてくると、果実は腐り、少年たちの死体が運ばれてくる…「海岸ホテル」の兄弟が出会った美しい少年碧夏(ビーシア)は、その夏どこに連れ去られ、彼の身に何が起こったのか?著者の愛する代表作、ついに文庫化。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

あまりの世界に衝撃を受けた本。読むのが辛いのに、続きが知りたくて必死でした。くらくら。腐敗さえも美しいと思えてしまうこの描写に、長野まゆみさんの凄さを感じます。でも多分、ダメな人は1ページで受け付けなくなります。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

グロテスク!少年愛傾向があるので受け付けない人は全く受け付けないかも。
でも私は好きです。気持ち悪いところが。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

夏といったら腐るんですよ。
幻想的な世界観に織り込まれた甘美な体験と蠱惑の少年。といった感じですかね?

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

ご本人が「最高傑作」と仰っていた作品だそうです。でも、これ前の、ハードカバーの時の装丁がすいなんですよね、もう売ってないんだろうけど;;雰囲気は現実離れしているのに、話自体の筋を辿ればぎすぎすしていて決して綺麗でも何でも無いんですが…むしろ凄く汚い。でも、読んでて、首を傾げる事は有っても「汚い」と感...続きを読むじる事は無かった辺り、ああ、多分「傑作」なんだって思いました。長野先生的なっていうのが解る感じ。

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Posted by ブクログ 2017年08月15日

15年程前に読んだことのある作品ですが、再読。
当時は若かったので「いやらしいわ、これ~」という
印象だけが強かったのですが
あらためて読んでみると、長野さんの筆力に脱帽します。

どのページを開いても、
湿り気を帯びた熱風が体にまとわりつくような臨場感と
熟れた果実から溢れ出る腐臭が感じられます。...続きを読む

丹念に語彙を選び抜いているのだなとつくづく考えさせられました。

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好悪分かれる衝撃作

2017年07月10日

ひたすら爛れたグロテスクな世界観で、主人公クーランは虐待される側です。
正直、読んでいて何度も吐き気がしましたが、それでも続きが気になって日付が変わっても最後まで読み切り、熱を出した高校生の冬休みをしみじみと思い出します。
近親相姦・同性愛・虐待・性的虐待・死体・腐乱――これらにネガティブ方向に...続きを読む敏感な方は絶対に読まないで下さい。
私はキツい思いをしながらも、非常に中毒性がありました。
まさか、あの美少年がああなってしまうなんて。でも主人公は理想の具現が現れて幸せそう。
テレパシーじゃないんだけど、手のひらに記号を書いたり(対緑)、体に触れたりするだけ(対碧夏)で特定の相手(実質、弟と級友の二人だけ)とだけ会話が出来るという設定がなんだか好きでした。クーランが碧夏と初めて会話した時のビーシアの驚き様が好きでした。

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Posted by ブクログ 2014年01月19日

なんて言うか、グロくてちょっと官能的な内容でした。長野さんにはよく男性同士の描写がありなんとも言えない不快感がある。やっぱり初期作品が良いですね。

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Posted by ブクログ 2013年12月14日

圧倒的な感性の本
圧倒的に感性の本

少年アリス、三日月少年に続いて三作目

欲求不満、不合理感、異種への蔑視
敵わない

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Posted by ブクログ 2012年11月11日

長野まゆみらしさ、が感じられる小説でした。
文章があいかわらず美しく、静かに流れて行く物語には魅力がありました。世界観も好きです。
長野まゆみさんの書かれる美少年は、単純に美しく清らかで儚いというのではなく、むしろしたたかで艶やかでたくましく、とても魅力がありますね。
むしろそこに刹那的な儚さを感じ...続きを読むるというか

すごくよかったのですが、最後が…というか物語が、けっきょくちんぷんかんぷんでした…
難易度高い…

長野まゆみさんの小説はファンタジー作品よりも、現代物の方がリアリティとみずみずしさがあって好きかもなぁ。

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Posted by ブクログ 2010年12月06日

100%ジュースみたい
濃度が高すぎて喉に苦いみたいな

父親もホテルの客も街の人間も皆最低で低俗
しかしながら美しい描写
性描写ではあるのに
それらしさがないのは主人公があまりの淡白だからだろうな

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

初期長野とはまた異なるので、少年アリスや夏至祭を好んでいる方にはあまりお勧めできない…かもしれない。
官能的で汚濁にまみれている。
真実は美とは限らない、腐臭の底にこそ。

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Posted by ブクログ 2017年02月12日

一番最初に読んだ長野まゆみの本。強烈だったっていうか…うぉぉぉぉって思った。

ストーリーはわけわからない。

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