【感想・ネタバレ】夜啼きの森のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年09月19日

悲しいような、なんとも言えない気持ちになる。
志麻子の文章はなんと自然に私のなかに流れ込んでくるんだろう。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

岩井志麻子の作品が好きだというと「えっ」って顔されますけど、「えっ」って言っちゃう人はメディアに露出してる岩井女史のイメージが先行してそう言ってしまうんだと思います。
『ぼっけえ、きょうてえ』以降、色々読んでみましたが、とても面白いです。
先入観で撥ね退けるのは良くないな。実に良くない。

自分の生...続きを読む地の方言を活かして書いてるという点がまず好き。
音にしても違和感がないほど自然な文体と、岡山(おそらく、備前?)の方言が心地いいです。
舞台にする明治〜大正〜昭和初期という時代も、これは個人的な意味でとても好き。
あとは淫靡な雰囲気をまとう設定や、感情の揺れ動く様などが文体にとても合ってる。

私も小説より先に岩井女史をテレビで見たけれど、「この人本気出したらすごいんだな」と思いました。
エッセイや現代を舞台にした作品は正直あまり好きではないけれど、それでもやっぱり引き込まれる。
特にホラーが好きな人には読んでもらいたい。

『夜啼きの森』はおそらく津山30人殺しをモチーフにした作品で、既存の設定を借りた感があります。
作家が歴史パロディやこういったモチーフありの作品を書いていると、「きっと発想力が失われてしまったのだろう」と思うことがありますが、読んでみたら「そんなことないかもな」と思い直しました。
岩井的ホラーの世界観が広がってました。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

これは私の一番大好きな本です。
っていうのもどうかと思うんですけど、も。
犯罪を犯してしまう者は、育ちとか生き方のうちにそうなってしまうのかなぁと。誰も悪くないし誰もが悪いんだろうと。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

岡山の「津山事件」を基にした小説。これが真実じゃないかと思わせるリアリティがあります。『ぼっけえ、きょうてえ』より面白いと思いました。

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Posted by ブクログ 2021年07月01日

津山三十人殺しモチーフの長編。惨劇そのものより、そこに至る過程が重点的。貧しい村の古い因習、歪んだ人間関係、肉欲、愛憎、果てに鬼となって疾走する様はカタルシスを感じる。実話モチーフなので、下手に内面描いてないのも良い。人間はゆっくりと狂っていく。

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Posted by ブクログ 2015年04月19日

閉鎖的な村ならではの不気味さ、怖さがベースになっている。

何かしでかしそうな辰男を怖れる村人たち。
のけ者にするくせに気になっている女たち。
そういった複雑な心理が上手く描けているため、最後の殺戮シーンがややあっさりな印象。
あえてそうしたのでしょうか。

鬱々した人ばかり。
虔吉だけは好感が持て...続きを読むる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月16日

八墓村好きな方はぜひ。

岩井氏の文章は、重たいです。
なんだかとても時間がかかります。

方言も多く、なんというかねっとりというか、ずっしりというかそういう感じ…

なんとなく、後で何が起こるのか分かっていつつもその瞬間が来るのが怖い、でも期待してしまう、そんな感じのホラーでした。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年02月17日

とにかく読んで不安定になる小説とでも言おうか。
岩井さんのホラーは全てそうなのだけれど、
殺人が行われた村の空間に漂う人々の、
恐怖がそのまま乗り移っているみたいなのだ。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

2007.8.18 岩井さんらしく、ねっとりした作品。題材の激しさにはじめはひるんだけど、とても丁寧に人物など描かれておりよかった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

これは、岩井志麻子さんを知って読んだ3冊目の本です。

津山の三十二人殺し事件がモチーフになっている作品。

この話は5人の主人公からなるオムニバスみたいなもので、主人公…後に殺人鬼となる辰男の話が、とても印象に残っている。

彼がどうして、その事件を起こすに至ったのかは、やっぱり、周りの環境...続きを読むもあっただろうけど、辰男自身が、リセットしたかったんじゃないかなと、私は思う。

 辰男は肺病を患っていて、村の人たちが構ってくれないから…。
寂しかったんだろうなぁ…と思う。
姉ちゃんは嫁に行っちゃうし。

…読んで見てほしい一冊ですね。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

昭和の初め、岡山の寒村で起こった未曾有の事件『津山30人殺し』を題材にして描かれた小説。以前、事件記録を読んだことがあり、興味があったので読んでみました。岡山北部にある寒村の(現代から見れば異様で乱れた)土着的な風習や、犯人都井が事件を起こすまでの精神が歪み壊れていく様子が、村人の視点で語られてゆき...続きを読むます。岩井さんが描く村人たちの心理描写は、鬼並に汚いんだけど、実はいい線いってるんじゃないかな。人の闇の部分をこれでもかというほど見せつけられる作品でした。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

いわゆる"津山三十人殺し"を題材にした話。村の人間達が怖い。小さな山奥の村という閉鎖空間では、しがらみとか愛憎、肉体関係、とにかく人間関係が歪んでいる。ちょっと色々考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2009年11月08日

津山三十人殺し事件をモチーフにした小説は「八墓村」や「丑三つの村」などいろいろ出ているが、村人側の視点から書かれたものは珍しい。
「ぼっけぇきょうてえ」岩井志麻子の因業深い岡山田舎村の雰囲気描写は「怖い」というより「惨い」です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年02月27日

「津山三十三人殺傷事件」——昭和13年、岡山の寒村で惨劇は実際に起こった。子供の頃は村で一番の秀才と言われた筈の男が、長じてからは挫折してしまった。進学も出来ず、徴兵検査にも落ちた自分を馬鹿にした村人達への私怨をはらすため、老若男女の区別なく村人三十三人を一晩で惨殺したのだ。この実際に起きた事件を題...続きを読む材としているのが本書「夜啼きの森」である。

そもそも題材としているものが非常に衝撃的なものなのだ。ただ普通に描くだけでも充分興味深い話となる筈のものである。これを、ストレートに事件をとらえるのではなく事件の側面を描くことにより、ただ猟奇的な事件の物語とはならず、さらに深い人間の心理の物語となっている。

構成が実に良かった。章ごとに一人の村人に焦点をあてその一人の視点から村の人間関係を描き、次の章へとうつればまた別の人物を中心として他の人々が描かれる。複数の人間をピックアップし、それぞれの視点を中心として描くことにより、深い因習に根ざした村から逃れられない人々の悲哀や苦悩が立体的に構築されているのだ。逆に主人公であるはずの辰男については、直接描かれることはない。各章ごとの中心人物との関わりにおいてか、村人たちの口の端に上る噂話でしか描かれない。そこがまた巧みなところだとも思う。辰男自身の直接の心理描写がないため、凶行に至るまでの精神的な経緯ははっきりとはわからない。しかし、中心人物としておかれた村人たちは、皆、辰男の分身でもあるのだ。彼らの抱えているやるせなさ、悲しみはすべて辰男の心の状態でもある。暗い新月から始まって各章ごとに月は満ちていき、そして月とともに辰男の狂気も満ちていく。

人の心には何かどす黒いものが住んでいる。自分の中にもきっとある。認めたくはない何か嫌なものが。社会に関わり生きていくなら、自分の気持ちと周りとの折り合いをつけ、その「何か嫌なもの」を自分の中から無くそうと努力していかねばならない。しかし、精神の均衡が破れたとき、それはいつか大きく育ち、抱え切れなくなってあらぬ方へ吐き出してしまうのではないか。そんな不安をあおられる、重い読後感だった。彼ら村人すべてを、せつなく悲しく思った。

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Posted by ブクログ 2023年05月17日

「三十三人殺傷事件」津山事件をモチーフに描かれた作品

貧しく息苦しく閉鎖的な田舎の集落
結核、徴兵検査、夜這い
現代にはもうあまり馴染みのないワード

都井睦雄の背景もそうだけど
今作の糸井辰夫も切ない部分があって
何とも言えない悲しい心の叫びが聞こえてくる。

ねっとりとした岡山弁がまた湿り気を...続きを読む感じさせ、
これまた「きょうてえ…」と思わせてくる。

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Posted by ブクログ 2020年07月27日

昭和の初め、第二次大戦の少し前。岡山の山奥に閉じ込められた集落。深い森は呪われており、入るとろくでもないことが起きると信じられ、村民は村の中で近親婚を繰り返す。そんな中、両親に先立たれ、自らも肺病に侵された辰男は、村人から病人と疎まれていた…。

夏の角川ホラー祭。もう手持ちが殆どないけど、ワンシー...続きを読むズンはいけるかな。ハインラインも読むよ。

短編集かなと思ったら、章ごとに切れているだけで、村の異常さや村民の異常さを視点を変えてネチネチと描かれる。ホラーではないのだが、それほど最初の章のインパクトは大きい。

その後も同様ではあるものの、この人の一部の作風に感じる、読んでも読んでも霧の中といったような、世界の広がらなさ、透明度の低い文字を追うことでやっとという世界が広がっていく。とにかく、会話や会話が終わった途端に誰やったっけ?という固有名詞が乱発されるため、それなりに把握するまでに、半分くらいを要する。

半分くらいまで来たところで、それなりに霧が晴れ始めるとともに、なぜホラー文庫なのか、例の話かと気がつくわけである(買う前にあらすじ読みませんねん)。

岡山弁は知っているので抵抗はないものの、「だめだ、おえん」など、わざわざ標準語を混ぜるサービス精神が文章の勢いを殺しているように感じる。

ホラー的な部分はほんのちょっとなのか、それとも全体なのか、なかなか判断に苦しむ作品であるが、変にホラー文庫と構えたレーベルではなく、一般のレーベルから出していい作品である。

とにかく、切れが悪いな。言葉を多少改善したリマスター版が出たら☆4はいけると思う。

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Posted by ブクログ 2017年07月02日

津山三十人殺しの都井睦雄については、横溝正史「八つ墓村」に影響を受けて取材した島田荘司「龍臥亭事件」で親しんだ。(wikiで山岸凉子「負の暗示」も思い出した))
猟奇、狂気、因習、といったおどろおどろしさを前者が協調しているのに対し、
後者は、夜這いの風習から阻害された個人の内面に踏み込んで描いてい...続きを読むた。
本書はその折衷。
さらには周囲の人物の群像劇を通じて、彼が犯行に至る殺意の高まりが描かれる。
一歩先に出ているのは、個人の内面というよりは、村のトポス、森の持つ磁場、から集団の殺気が醸成され、それをひとりの男が実現したという構図になっているところ。
特筆すべきは辰男に共感していると言ってもいい人間が複数いる、ということだ。
敷衍すれば全員が辰男になってもおかしくない、そんな場所がある、ということ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年10月05日

本当にあった話はなんでこんなに怖いんでしょう・・。
「八つ墓村」のあの強烈ないでたちを思い出しますが・・。

子供の頃「半日村」と言う本を読んだことがありますが、それにも重なる暗さが・・。

気候に恵まれず、貧困を極める岡山の奥地の村。
戦争の影に、徴兵検査に落ちた”肺病病み”の男、辰男・・...続きを読む
噂話と苛めと夜這いに似非宗教・・
因習にまみれた村に銃声と悲鳴が・・。

やりきれない気分になりますね・・・
全てがどろどろとして・・。

賢くてお姉さんっ子だった辰男が「鬼」に変貌していくまで・・
ドキドキしながら読みました。

終章は少しくどい気もしましたが、読めば読むほど奈落に落とそうな気分です・・。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年05月15日

 集団殺傷事件をモチーフにしたホラー。
 貧しい田舎の歪んだ人間関係や閉塞感が、見事なまでに気持ち悪い。

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Posted by ブクログ 2012年02月15日

八つ墓村のモデルとなった津山事件に興味を持ったので読んでみました。事件そのものについてはざっとしか書かれていませんが、犯人の生い立ちに触れた小説だと思います。事件の舞台となった閉鎖的な村・血の濃い村人達・村の風習など、全体的にジメ〜っと陰湿な様子が良く伝わってきました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年03月24日

 津山三十人殺しを題材としたホラー。

 なんだけども「怖くするぞ」「怖くするぞ!」とずーっと脅す割りに、最後があまり怖くないので、肩透かしを喰らった感じ。
 序盤のおどろおどろしいままで居てくれればよかったのになぁ。
 元の事件が有名すぎるから、なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2013年11月11日

 岩井志麻子が「津山三十人殺し」を題材に物語を書くとこうなる。松本清張『闇に駆ける猟銃』もこれを題材に書かれているらしい。解説には「私の中では最高のホラー作家は松本清張なんですよ」と志麻子様がデビュー直後から公言してはばからない、とのこと。ん?宮部みゆき責任編集傑作短編コレクションでは感動が薄かった...続きを読むがここを読んで、なにやら胸騒ぎがしてきた。

 今回はこの一行に注目「・・土色の男に抱かれて土色の子を産み、土になって土に還るなぞまっぴらだ」そんな人生の流れに竿をさし、逆流に飲まれ深い暗闇へと落ちていくのなら、それもまた幸せ。深海2000だ。

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Posted by ブクログ 2010年04月15日

昭和13年5月、岡山県北部の寒村で起きた「三十三人殺傷事件」。おとなしく“利発でええ子”だったはずの青年糸井辰男はその夜、鬼と化して村を駆け抜けたのだった。彼を前代未聞の凶行に駆り立てたのは狂気か怨念か絶望か……彼を取り巻いた、あるいは関わった村人の視点から物語が綴られていく。

本作があの「津山三...続きを読む十人殺し」を小説化したものであることは言うまでもない。この事件自体、横溝正史の「八つ墓村」や映画「丑三つの村」で有名だろう。だが単なるノンフィクション、あるいは実録小説風にはとどまらず、村に隣接する森と、そこに投影される村人達の不安な心象風景を描き出すことで、閉ざされた村の歪な家族関係、性と業といったものを掘り下げながら、さらには不可視の側面から迫ろうとしているように感じた。
作品全般にわたる閉塞感、倦怠感、絶望感によって何とも暗鬱な読後感にさせられる。

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Posted by ブクログ 2010年02月08日

果たしてカテゴリはホラー小説でよいのかしら?と思うような出来のドキュメンタリーに近い小説です。あの津山三十人殺しの犯人が、岡山の閉鎖的などろどろした村社会の中で犯行に至るまで追い詰められていく心情を、淡々と語る岩井志麻子先生に今回もゾクリ。
やはり一番怖いのは人間ですね。
ホラー文庫に収録されてはい...続きを読むるのですが、ホラーというより人間のドキュメンタリ(それも悪い部分だけ)といった要素が多く、読み終わった後はちょっとイヤな感じが付きまといます。そのイヤな感じが「さすが!」の祝い志麻子先生らしさだとは思いますが。

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Posted by ブクログ 2009年11月12日

 登場人物が多くてちょっと整理がつきにくかったけど、田舎の村の薄ら寒い人間関係。不気味な因習。ネッチリと書いた筆力はさすが。テレビで下ネタを連発するただのエロ小説家と思っていたけど見直した。
 肝心(?)の凶行のシーンはかなり少なくてやや不満。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

昭和13年、岡山県北部で起きた「津山三十三人殺し」これは
「八つ墓村」のエピソードの元になった大量殺人事件です。
貧困、夜這いの風習、血縁者同士の結婚、
小さな集落の人間関係、病など細かく書かれています。
そこから浮かびあがる事件の背景。
ちがう意味で怖いですね。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

『津山33人殺し』をべたべたとした生臭さで書き綴る。島田氏の「龍臥亭事件」「八つ墓村」なんかと比べて読むとおもしろいかも。

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Posted by ブクログ 2011年07月18日

岩井志麻子の夜啼きの森を読みました。昭和初期の岡山で起きた凄惨な事件を題材にしたホラー小説でした。どうしてその犯人が30人もの人を殺すことになったのか。生い立ちから挫折そして犯行に走ることになった経緯が岩井志麻子らしくどろどろと描かれています。最近、異常な殺人事件が世間を騒がせますが、昔はそのような...続きを読む事件が全くなかったか、というとそうでもないんだなあ、と考えてしまいました。

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