【感想・ネタバレ】夜光虫のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2021年08月10日

たまにこういうドロドロ・グチャグチャ・卑怯者や裏切りばかり、ヤクザが好き勝手に暗躍する金と欲に塗れた救いようのない小説を読みたくなる。この小説はその期待を裏切らない途中で本を置けない一冊。一気に読んでしまった。日本球界で華々しい成功を収めた投手が、怪我で野球人生転落。台湾で再起を図るが八百長に手を染...続きを読むめ、黒道(ヤクザ)に誘われるままに売春宿の経営や他の選手の勧誘など、これでもかというくらいにどんどん落ちてゆく。他の登場人物も合わせ、救いようのないストーリーで、ほっとすることはひとつもない。このタイプの小説が好きな方にはおすすめ。馳星周さんの小説は初めてだったが、とても面白かった。

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Posted by ブクログ 2013年01月31日

疾走感のある文体に、吐き気を催すほどの恐怖と、愛情に対する切なる渇望とが、見事に融け合った作品でした。

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Posted by ブクログ 2010年05月25日

正義を押しつけて人の気持ちを踏みにじる俊郎が嫌い。夫が殺されたのにその友人にさっさと乗り換えて被害者づらする麗芬が嫌い。
善人に見えてもどいつもこいつも身勝手。悪人に見えるやつはさらに深い業を抱えていて救われない。
結局だれ一人、主人公の味方はいなかった。
だれもが主人公を騙し、利用しようと思って近...続きを読むづいてくる。

「しらを切れ、ごまかせ、丸め込め」「あいつを殺せ、黙らせろ」
いつの間にか主人公・加倉の声が聞こえてくるようになる。
加倉の激情に任せて書き殴ったようにみえて、緻密に構成された物語。

終盤の疾走感と、誰もいなくなった後の絶望と孤独。それでも逃げなきゃいけない焦燥。
こんなに主人公に生きていてほしいと思ったことはない。
ラストはほんのり切なくて好きだ。

複雑に絡んだ人間関係に縛られて動けないかと思いきや、怒涛の展開。
厚みを感じない一冊。
ちなみに馳星周は初読だった。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

主人公の末路が何とも。。。
馳星周の描く世界は現実の自分が置かれている環境とは180°違う世界。
それゆえに惹かれる(没頭できる)のだろうか?

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

展開の速さ、文体の歯切れの良さ、余分な描写のなさ、そして物語の構成の緻密さ。どれをとっても素晴らしい。

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Posted by ブクログ 2023年05月02日

個人的には不夜城より面白かった。
所謂ノワールであるが殺した親友の妻に手を出すクズが主人公。
最後にその女性に指輪を渡して去るところで物語は終わる。ピアニストを撃てに似た読後感があった。

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Posted by ブクログ 2022年11月19日

これが馳さんの最高傑作っていうコメントをどこかで見たので読んでみた。
確かにこれまで読んだ作品の中では一番面白かったと思うけど、五十歩百歩という気がしなくもないと言ったら悪く言い過ぎかな。

日本プロ野球界でエース級の活躍をしたものの故障が元で引退し、再起をかけて渡った台湾プロ野球で、己の弱さから八...続きを読む百長に手を染めてしまったのが運の尽き、あれよあれよという間に泥沼にはまり込んでいく男の姿を描いている。
主人公の男の理性が徐々に崩壊していく様子がきっちりみっちり描き込まれているのが印象的で、常人には理解できないほどの狂気が何とも言えない不気味な魅力を醸し出していると思う。
また舞台が台湾ということで、日本でやったら絶対嘘くさく思えるようなスピード感あふれるダイナミックな展開になっているのもいい。
かなり長い(文字が小さいのでページ数以上のボリュームがある)けど、勢いで最後まで読めてしまうだけの力がある作品だと思う。

弱いのはヒロインの女性があまりにも純真無垢で言動が嘘くさく思えてしまったのと、いわゆる「普通の人」がほとんど登場しないので、どうしても壁一枚隔てた世界の出来事のように感じてしまい(実際そうなんだけど)、あまり感情移入できなかったところは個人的なマイナス点。

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Posted by ブクログ 2019年07月02日

なんつー、重く哀しく辛い話なんだ....。

人生が狂いどんどん堕ちていくあたりは、もう止めてくれと心は叫ぶが、
手はページを勝手にどんどんめくってしまい、
貪るように読んでしまった。
もー凄まじいインパクトある物語。

救いはラスト、女性と会うシーン。
彼女のとった行動と、主人公の対応がこれまた泣...続きを読むける。
かっこ良すぎだろ。

久々に本読んだって気にされる逸品。(話が長いのもある)

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年10月19日

冒頭から、主人公・加倉の転落の描写の歯切れのよいこと。これで物語にスムーズに入っていくが…。
”主人公”であっても良心の人でも正義の人でもなく、一般的な基準で言えば、どうしようもない悪党。そんな言葉が生易しくなるほどの犯罪者となっていく、その軌跡をつづった物語と言っていい。
しかもバイオレンスも性描...続きを読む写も短いながら、フラッシュのように情景を切り取り、映し出し、嫌悪感すら覚える。

それでいて読み続けるのは、加倉の想いや本能にどこか共感を覚えずにはいられないからだろう。デフォルメされ普通の人だったら抑制される臨界点を軽々と超えて行くところだけが違うのであって、金・欲に対する欲望自体は変わらないのだから。

しかも登場人物は、ほとんどが悪党。最初の臨界点を超える殺人だけがまともな相手だけにあとは加倉を食い物にしようという犯罪者だらけ。もみくちゃにされ血を這いつくばりながらも本能に導かれ屍を乗り越えていく加倉の生きざまはすさまじいばかり。

前半、物語があまり動かないのだが、後半は疾走感もあって一気読み。そして意外なことに余韻の残るラストが今までの殺戮と対照的で見事に物語を締めくくっている。
モラル的には賛否もあろうが、間違いなく傑作。

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Posted by ブクログ 2017年08月31日

加倉昭彦は日本のプロ野球で活躍したが,故障が続き台湾のプロ野球に転ずる.台湾では八百長が横行しており,放水と呼ぶ.通訳の王東谷は戦前の日本統治下で山村輝夫という名を持っていたことなどから,昭彦に良くしてくれた.同僚の台湾人・張俊郎と懇意になるが,真面目な俊郎が放水を警察に密告することから話が展開する...続きを読む.昭彦は王國彦や袁,陳らの取り調べに対して放水はやっていないと供述するが,黒幕が順次登場する.徐栄一からは様々な飴や鞭を受ける.昭彦は経営しているバーの女 リエ(温晶晶)を良い仲だ.徐から高級時計をもらったところを俊郎に見られ,彼を殺してしまう.リエにアリバイ工作を依頼し警察の追及を逃れるが,俊郎の妻麗芬と恋仲になる.その後,同僚のロパスやリエを殺した昭彦は,徐から難題を吹っ掛けられ苦悩する.取り巻きの経歴を調べるうちに意外な事実が次々を判明し,話は急展開する.台湾の裏社会のどす黒い面を克明に描写しており,ある程度のフィクションはあるにしても,このような実態はあるのだろう.不幸な生い立ちが昭彦や周りの登場人物に付きまとう点は,振り払いたいのにどうしようもない感じだ.文庫本で805頁だが一気に読破できた.面白かった.

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Posted by ブクログ 2013年03月23日

有無を言わさぬピカレスクっぷりに圧倒された。台湾を舞台にしたこのハードボイルド小説は、非情さの説得力が半端ない。

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Posted by ブクログ 2011年04月01日

馳星周作品に私が惹かれる理由は、主人公に「いい所」がないところである。
泥棒だけど悪徳商人からしか盗まず、盗んだものは貧しい人に分けるとか、悪党なんだけど最後の最後で子供の身代わりになる、とか、そんな「実はいい人の悪党」が多い中、馳星周の描く主人公は、最後まで自分の為、金の為にしか動かない。

スト...続きを読むーリーは台湾球界で八百長に手を染めるどうしようもない男の生き様だ。自らを慕う台湾人を殺し、その妻を手に染め、殺し屋になる。それでも生き延びる。自分の欲望のために。

馳星周作品を読むのはこれが初めてだった。かなりの長編ではあったが、歯切れのいい文章でほぼ一晩で読破。
長編だけど長編と感じさせない一作。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

台湾プロ野球を舞台にした、
都落ちで人でなしな投手の物語。
希望がかすかに残されたラストシーンは馳作品の中では稀。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

サカヲタ馳星周が頑張って調べて書いた日本人選手から見た台湾プロ野球の世界。
途中まではあーあるあるあるある…ネーヨ!wとなる展開、話が面白くなって来た辺りからはいつもの馳ワールドへ。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

★いつも通りのドロドロ感★汗と誇りにまみれた台湾の暑さがにおってくる。主人公は日本をはみ出し、望まなかったはずの裏道にどんどんはまっていく。著者一流の展開には『不夜城』などと同じように家族の血と近さゆえの憎悪が通底する。一気に読ませる。が、同じにおいなら歌舞伎町が舞台の方が身体にしみてくる。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

馳氏の作品を読むと、私は平凡な人生を歩んでいるんだなぁ〜と安堵感をもってしまう。作品に登場するような人には今のところお目にかかったことがないからだ。自分は札幌の中心で生まれ育ち、ススキノデビューもメチャ早く、なんとなく裏社会を見たような気になってはいたものの、ここまで凄い人々とは関わりがなくラッキー...続きを読むだったのかもしれない。馳氏作品を読むと恐くなる。ここまで人間って恐ろしくなれるものなんだろうかって。救いがまったくない。描写も時にはグロ過ぎて、オエ〜ってなっちゃうけれど、それでも読んでいると悲しくなってくる。もっと人間というものを信じたくなり、反面、私はまだまだ甘ちゃんなのだとも感じる。本書の主人公も、プロ野球選手にまでなり順風満帆な人生を歩んでいくはずだったのに、肩の故障ということでほされ、それでも野球から離れることができなかった。実は私の弟も将来を有望されていた野球選手だった。高校も野球推薦。だけど肩を痛め、部活ができなくなり退学した。読んでいて主人公と弟がダブるところがあり、余計に主人公にのめり込んだ。主人公が落ちていくのにはもっともっとノワールな過去があるんだけどね〜。なんか・・・やめられないんだよね〜馳作品って。今のところ3冊しか読んでいないけれど、嫌になっちゃうなぁ〜と思うのが、最低な男たちってどうして女を見下すんだろうっていうこと。どいつもこいつも女はただのセックスの道具としか考えていない。本当に嫌になっちゃう。

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Posted by ブクログ 2015年02月26日

めちゃくちゃ厚くて重い本。ジャンルは「ハードボイルド」としたが、本当は「ノワール」という、「犯罪者小説」というジャンルだそうな。ハードボイルド小説っていうのは、アイテムの描写にこだわりがあったり、主人公のこだわりが強いことで、キャラクターが立ってくるところが有るのだが、本作にはない。自分の知っている...続きを読む言葉で表すのなら「ヤクザ小説」。

本作は、台湾に渡った日本人野球選手が、ヤクザがらみで八百長をして云々というストーリーであり、検索するとそれなりに物議をかもしたようだ。

そしてこの作品、登場人物が全て嫌なやつ、いや、人間のクズと言っても良いのしか出てこない。前半は特に「もう読むの止めようかな」というくらい嫌になるような話が続く。そしてちょうど半分くらいに来たところで小休止し、そこからは描かれているシーンとは裏腹に、かなりスムーズに読めた。慣れというよりも描写が軽くなったからではないかと思う。

そう、全体を総じて、文章は軽い。メリケンサックで頭を割られたり銃で撃たれたりする割に軽い。そういう意味で、厚さの割に読みやすいと感じる。かと言って、繰り返し表現が鼻についたりすることもないので、語彙力も有るようだ。

ただその分、葛藤なんかの描写が「あれ?」と感じるほど無く、伊坂幸太郎や安部公房のように、同様に嫌なやつが活躍する作品よりも浅く感じてしまう。ましてや、こだわりでキャラクターをつくり上げる大藪春彦には遠く及ばない。

井上三太の「Tokyo Tribe」や、Vシネマ的な映画もそうだけど、理由もなく銃をぶっ放したり、仲間だと思っていた人間が突然裏切って殺されそうになるような、闇討ち的な恐ろしさはあるが、人間としての恐ろしさは全く描かないのが、現代のヤクザ小説なのかもしれない。

読むのは大変ではなかったが、量も内容も結構疲れさせられた。まあ、自分とは関係ない世界の小説という意味で収穫はあったし、悪い小説でもないのだけど、もう1冊買ってみるかと言われると微妙。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

馳星周の小説は人が死ぬだけだと妹が言った
なるほど、不夜城とマンゴーレインと夜光虫を読んだが確かに(苦笑

しかし小説としては修作ですよ、これ
馳作品はあまりにもリアルなんでちょっと怖くなっちゃいます

台湾のプロ野球と台湾のヤクザが絡み合う物語
複雑な人間関係と思いきや、実は…

うちは兄弟仲良く...続きを読むてよかった笑

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

馳氏でしか書けない独特のノワールワールド。
どこまでも果てしない暗闇の世界。
どこまでも没落していく主人公の姿がありありと表現されている。
しかし、あの日本ノワールの最高傑作「不夜城」を超せる作品は
もう出せないのか。。。

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