【感想・ネタバレ】トウカ草紙 1のレビュー

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Posted by ブクログ 2010年05月02日

著者である大野潤子は、“作者買い”するほど大好きな作者さんの一人なのですが。とはいえ、その作品を読むのは、もうかれこれ何年ぶり? ってくらい久しぶり。昔は、既刊を全巻集めたうえ、新刊が出るたびに購入してたものでしたが、いつの間にか遠ざかって、集めた本も手放すことになってしまったし、何だかんだですっか...続きを読むりゴブサタ。今回、たまたま新刊が出るのを知って、つい懐かしくなって購入してみたのですが…ああ変わらないなあ、って、読んだらホロリと泣きそうになってしまいました。この作者の作品は、どれを読んでも、ホントあたたかい。読めば心がほっこり温かくなる、癒される、という、ほのぼの~とした物語を描かせたら天下一品! な作者さんだと、私は思います。
…だから、今作も然り。
まさに紙面からあふれてくるような温かさと優しさに、思わず涙が出そうになりました。これぞ、大野潤子カラー、ってヤツですか。稲荷社の神様なキツネと人間との交流を描いた物語で、キツネ側も人間側も、登場するのは本当に優しい人たちばかりで、読むだに心が洗われるようです。とはいっても、それだけでは済まないのが現実、というもの。いくら舞台が田舎でも、だからといって、そういう気風は都会よりも濃いとはいえど、神様と人間が何事もなく共存できるという環境、というワケでもないのは明らかであり。この1冊を読んだ限りでは、そういった問題にあまり触れられていないのが少々、現実味の薄い“おとぎ話”といった感じを受けなくもありません。ただし、まだ1巻、物語の序盤、ということもあって、まだイイコトだけしか紡がれていないだけかもしれません。とりあえず“1巻”と銘打っている限り、物語はまだ続くのでしょうし、今後の展開に期待したいと思います。最後のエピソードで、相手は蚊とはいえ、一応トランスジェンダーの問題にも触れてましたしね。そういう社会問題を取り入れつつ、物語は展開していくのかな?
…そうそう、そういえば昔読んだ大野潤子作品で、やっぱりこんな風に人間と異種族の交流を描いた短編ものがありました。その作品は、キツネでなくて木の精霊だったのですが。その精霊は、人間の主人公との交流を通して、自分を伐採しようとする人間を赦して笑顔で自らの運命を受け入れて…で物語は幕を閉じるのです。バッドエンドだったとは思わないけれど、すごくやるせない気持ちにさせられたものです。だからなのか、これまで読んだ数ある大野潤子作品の中でも、これはすごく印象強く記憶に残ってます。なんとなく、その作品と今作品がダブって…ちょっと切ない気持ちにもなりました。願わくば、どうかこの作品はハッピーエンドを迎えられますように…★

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