あらすじ
大正七年の秋、与謝野晶子は大阪で宙に浮かんでいた。夫である鉄幹と共に通天閣の足元に広がる遊園地「ルナパーク」を訪れたものの、夫の言葉に血がのぼり彼を置き去りにひとりでロープウェーに乗ったのだ。電飾まぶしい遊園地を見下ろし、夫婦というものの不確かさを嘆く晶子。そのとき突然ロープウェーが止まり、空中で動かなくなって……。(「夫婦たちの新世界」)
遠野には河童や山男など不思議なものがたくさん潜んでいるという。隣村を目指して朝もやの中を歩いていた花子は、「くらすとでるま…」という不思議な声を聞く。辺りを見回すと、そこには真っ赤な顔の老人がいた。かつて聞いたむかしばなしに出て来る天狗そっくりの老人から逃げ出そうとする花子だったが、今度は黒い頭巾に黒い蓑をまとった怪しい男から「面白い話を聞かせてくれないか」と尋ねられ……。(「遠野はまだ朝もやの中」)
ほか全8篇。
感情タグBEST3
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こ ん が ら が るー!
最後の話、「姉さま人形八景」ー!
え?…だから、あれ?
となってしまった私は理解力が乏しい。
でも嫌いじゃないなぁ、こういうの。
いや、むしろ好きです。
どこからどこまでが本当なのか。
知識がないので、色々調べながらの読書でしたが、著名人がポッと出てくるのは、読んでいてとても楽しかったです。
新宿中村屋創業者、相馬黒光さん素敵!
野口英世さんはダメンズですネ〜(ちょっと知ってた)
芥川龍之介さんは、写真から伝わる外見、アンニュイな雰囲気が想像通りでした。
仕立て屋銀次、スリだけど渋い。
面白かった。
作者さん、「乱歩と千畝」の方ですね。
いつか読んでみよう。
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謎が本当面白い。
そして知っている人の裏話みたいですごく楽しく読めた。
最後、人形を介して人々がつながっていくの、ワクワクしたり。
宮沢賢治の話、好きだったな。
ぎんじのはなしも
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大正時代に活躍した、文豪、活動家、学者に、実業者、
と、オールスターが勢ぞろいのステージ(コメディ)を見ているよう。
史実とフィクションと、ミステリーとの融合!
ただただ、楽しかった!!
松下幸之助の若かりし日の、素晴らしい推理。
まさか、ハチ公が掏摸の共犯者に?
山下清の貼り絵の中にこんな秘密が?
中村屋のカレーパンの謎が解けた?
とにかく、堅苦しい偉人伝を読む前に、
興味を持つきっかけになるので、
子供から大人まで、ぜひ読んでほしい!
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史実とフィクションを織り交ぜた短編集
名前や実績しか知らない歴史上の人物の日常や性格ってこんなだったのかも!と想像しながら楽しく読める
ハチ公とスリの大将仕立屋銀次が出てくるお話が好き
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えっ、この人と知り合いだったの!?と驚きがあったり 史実とフィクションを織り交ぜたお話で大変面白かったです
「遠野」と言ったらあの人だろうと思って読んでたら意外な人が出て来て、初めて繋がりを知りました
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いやぁ、おもしろかった!
楽しかった!!
短編集なんだけど引き込まれて
あっという間に読んでしまった。
この人があの人?!
とか、フィクションって分かってるのに
えぇー!と驚く。笑
まったく別のお話かと思いきや
繋がっていたり、ひっそりでてきたり。
前情報なにもなしで
ただ表紙に惹かれて手に取った本だったから
そこまで期待もなかったからか
読後の満足感がめちゃくちゃあった。
与謝野晶子のお話が好き。
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登場人物が豪華。
びっくり箱のように、でもごく自然に豪華著名人が顔を合わせる様は、それだけで読んでいて楽しかったです。文章の至るところに伏線があり、それがしっかり回収されているのも読んでいて楽しかったです。
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大正の著名人同士が交差する
本作は短編集で読みやすく、
最後に伏線が回収されるのが
快感で読み進めてしまった。
不勉強で途中途中調べながら
感情移入していくのも楽しかったです!
やっぱり最近作が読みたい、、、
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綺羅星のごとき超豪華登場人物たちよ!!
のっけから平井太郎登場。ふむふむ、中村屋の社長さんって相馬さんというのねー、と初っぱなからつかみは抜群♪
野口英世がかーなーりどーしよーもない人てのは知ってたけど、星一(星新一さんのパパ)と友だちだったとは、とか、与謝野晶子と寛ご夫婦の痴話喧嘩にあんな有名人をちょいとからめたりとか、とにかく上手い!読んでて楽しい!
明治・大正のインテリゲンツァたちときたら、仲間内でやたら恋愛事件を起こしまくったけど、そこら辺も、青柳碧人さんのさらっとした筆致で、けして重くはなく、しかしけっこうきちんと書き込まれてて、満足でした♪
わたしのイチオシは、「渋谷駅の共犯者」。
上野秀三郎教授ですよ、あのハチのご主人さま。渋谷なのに上野なのね。そこに冨田銀蔵をからめてくるとは! 桃鉄経験者にとって不倶戴天のにっくきヤツが、このお話ではめちゃくちゃカッコいい!悔しいけど!
これほどエピソード満載な多彩な人々を縦横無尽にからませておきながら、全体としてはステキなお話しそのものを主役に仕立てあげている、青柳碧人さんの手腕はさすがだと感心しまくった贅沢な1冊でした~!
「カリーの香る探偵譚」
「野口英世の娘」
「名作の生まれる夜」
「都の西北、別れの歌」
「夫婦たちの新世界」
「渋谷駅の共犯者」
「遠野はまだ朝もやの中」
「姉さま人形八景」
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大正時代を生きた著名人たちの話。
実話なのかフィクションなのか定かではないがとても面白かったです。
登場人物が生き生きしていて楽しかったです。
全体的に登場人物は豪快だなぁ。それがとても良かった。
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大正を生きる文豪・著名人たち。
さまざまな謎を彼らが紐解く短編集。
*
ハチ公や松下幸之助、宮沢賢治など、誰もが知っている著名人を、実際のできごとと結びつけて謎解きにするなんて。
ノンフィクションなのか?と思うくらい、お話としてとてもよくできている。
存じ上げない人が出てきたときは、調べてその人生に思いを馳せた。
そういう意味で二度楽しめたように感じる。
宮沢賢治と南方熊楠のやりとりには、ほっこりした。
やっぱり遠野は不思議なお話がよく似合う。
そして、平塚らいてうがもう一度自分を奮い立たせるお話に私も気持ちを新たにした。
明治時代を懸命に生きた女性たちの息づかいを感じられた。
年末に読めてよかったと心から思った。
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江戸川乱歩、野口英世、芥川龍之介、与謝野晶子、ハチ公、柳田國男、宮沢賢治、高村光太郎と智恵子、なんとも豪華な文豪たちの謎解きが含まれる大正時代の物語。子供の頃に野口英世の生家には何度か行ったことがあるので懐かしいけど、まさかこんなに浪費家だったとは知らなかった。伊藤野枝、平塚らいてう、松井須磨子などあの時代を強く逞しく美しく生きた彼女たちの壮絶な人生に胸を打たれた。謎を解くには話が短めでもったいなく感じたものの、功績しか知らない彼らがもしかしたらこんな人たちだったかも知れないと読んでいて楽しかった。
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装丁や章タイトルのデザインが良い!
史実かフィクションか分からないけど面白い。
思ったよりサクッと読める。
めちゃくちゃ面白かったけど、男女の話しはちょっとモヤモヤした。リベラルフェミニストはめちゃくちゃ好きな話しだと思う。
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全8編からなる大正謎八景。
大正時代に活躍した著名人が次から次へと登場し、実話なのか作話なのかわからないような不思議な短編集。
なかでも8編目の「姉さま人形八景」は平塚らいてうから伊藤野枝まで登場してとてもおもしろい。
江戸川乱歩の「カリーの香る探偵譚」も秀逸。
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青柳先生の本は基本的に読むようにしているが、『浜村渚』シリーズや『むかしむかしあるところに』シリーズなど先生得意の軽快なタッチが特徴的な作品とは異なり、久しぶりにしっかりとミステリーだなと思って読んでいて楽しかった。
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大正時代を舞台に、作家、芸術家、研究家、学者、活動家などの有名人たちが様々な事件と遭遇する8編。
探偵志願の学生・平井太郎(江戸川乱歩)が日本に潜伏中のインド人活動家を探すミッションを受ける…「カリーの香る探偵譚」
一時帰国した野口英世博士の前に現れたのは英世の娘だと名乗る美しい少女…「野口英世の娘」
鈴木三重吉が芥川龍之介に児童向けに雑誌への寄稿を頼むために不思議な話を聞かせると乗り気でなかった彼が目を輝かせて…「名作の生まれる夜」
島田抱月の死後明かされる、芸術倶楽部に造られた使われない階段の謎…「都の西北、別れの歌」
など8編。
かなりの短編なのでそれぞれの話はやや物足りなさもあるが、何といっても有名人たちが次々出てくるのが楽しい。有名人たちの背景をもっと知っていれば、実際のエピソードと物語との絡め方の妙も、もっと楽しめたかも知れない。
個人的に興味深かったのは「渋谷駅の共犯者」。
上野英三郎博士と言えば、忠犬ハチ公の飼い主というくらいの知識しかなかったが、農学博士としての顔も描かれていたのが新鮮で楽しめた。
また最終話「姉さま人形八景」は、タイトル通り「姉さま人形」が次々人の手を渡っていく様を時系列を遡って描かれるので、発端がどこなのかを辿っていくのが面白い構成だった。
発端は物悲しいものだが、最終的に山下清画伯によって美しく昇華されていくのが良かった。
山下清と言えば『裸の大将』というあだ名を思い出すが、それもこの物語で上手く使われていて楽しかった。
それにしてもこの時代は芸術も学問も百花繚乱、国としても時代としても成長期で面白い。
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「カリーの香る探偵譚」「野口英世の娘」「名作の生まれる夜」「都の西北、別れの歌」「夫婦たちの新世界」「渋谷の共犯者」「遠野はまた朝もやの中」「姉さま人形八景」の8話。どれも面白かったのですが、「名作の生まれる夜」が特にお気に入り。作者の青柳さんの創作話だとわかってはいるのですが、本当にこうやってあの話が生まれたのだとしたら…。想像するだけで楽しい!
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大正年間を代表する?与謝野晶子、柳田國男、星一などの著名人のエピソードにちょっとした謎を織り交ぜた短編集。
各編につながりはないが、最終話は何話かを取り持つ形になっている。
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なかなか面白かった。「名作の生まれる夜」が良かった。落語の話のようでいて、伏線回収していて気持ち良かった。「渋谷駅の共犯者」も良かった。当時の駅の雑踏が思い浮かんだ。
全てにおいて、心に残るほどすごい話というわけではないけれど、歴史的な人が少しずつ出てきて知らない一面を見たような面白さがあった。末尾の主要参考文献を見て、まあ確かにこれだけの話を書くなら歴史資料たくさん読んでいないと書けないだろうと納得。著者の長編を読んでみたいと思う。
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この本には理屈ではない面白さがある。謎解きもあれば怪異譚(ホラーではない)もあるし、また現代社会と通ずるようなラブストーリーもある(もちろん中心はミステリだが)。時代によって人々の営みは変化するものだが、人間の性質そのものは大きくは変わっていないのかもしれない。そんな風に思わされた。
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まず、野口英世の娘を読んで、渡辺淳一さんの「遠き落日」を思い出した。そこに出てくる野口英世は偉人とは思えないほど常識外れの人物として描かれており、金に無頓着で人に無心はするは借金は踏み倒すは、それでも援助をする人がいた。この本で書かれている野口英世そのままであった。次に八編の短編が若干の繋がりがあったことと出てくる人達が大正時代を生きた有名人だという驚き。全体にノンフィクションではと思わせるような内容だった。あと宮沢賢治と柳田邦男と南方熊楠の遠野での出会いはロマンを感じた。とにかく面白かった。
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たった15年間しかなかった大正時代に、こんなに素敵なことが連なってたら、歴史として学んだことがドラマになって学び直せたかのような。
史実通りではないんだろうけど、浪漫だ。
すごい豪華な小説だ。
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青柳先生の『むかしむかしあるところに死体が…』シリーズが好きだったので、これも手にとってみました。『むかしむかし…』は昔話をもとにミステリーになっていたけれど、これは昔話のかわりに偉人が出てくるミステリーでした。
組み合わせ的に、いかにもフィクションって感じだったけど娯楽小説として楽しく読めました。
知ってる偉人が出てくると、もしかするとこんな感じのことがあったのかなぁ〜と妄想もできて楽しく読めました。
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宮沢賢治好きというのもありますが、「遠野はまだ朝もやの中」はオチまで好みでした。「渋谷駅の共犯者」はハチ公のその後がわかっているので、痛快なのに切なさも感じて印象的でした。
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耽美世界を感じさせる大正時代、著名な方々が登場し、軽ーい謎を解いていく。あくまでフィクションであるが事実に則した部分もあり、登場人物に興味を持った。
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面白かった。どこかで見たような作者名だなと思ったら、読んでみたいと思っていた本の作者さん。試しにと読んでみたら雰囲気がとても好みで、現実とフィクションの絶妙な混ざり方が違和感なく読めて良かった。連作と言えるほどではないけどこういう別の作品の登場人物が他の作品にも出てくる短編集好き。
Posted by ブクログ
短編集。毎回実在の人物が登場する。どこまでが史実に基づくのかはわからないけれど、名前だけ聞いたことのあった歴史上の、でも歴史小説にはあまり出てこない人物の、人間らしい一面を見た気になれて、ちょっと楽しかったです。
Posted by ブクログ
誰もが知っている文豪たちとその著書、プロフィールなどなどを元にしたほんのりミステリ、ほんのり不思議な短編集。
個人的には少し読みにくい文章だったが、元ネタが有名なので内容的には分かりやすく、オチもすんなり入れた。導入がもう少し入りやすければと思うが、単に好みの問題かもしれない。