【感想・ネタバレ】とりつくしまのレビュー

読み終わった後、大切な人に自分の想いを伝えたくなる…
切なくも、優しい気持ちになれること間違いなし! の10話から成るショートストーリー。

この世に未練を残したまま、生涯を終えた人の前に突然現れる『とりつくしま係』。
主人公たちは『とりつくしま係』との契約により、大切に想う人の近くで
なりたい“モノ”として存在し、もう1度だけこの世を体験することが出来るという。

愛する家族、憧れの先輩、お世話になった人達の元へ“モノ”として戻った主人公たちは、
残された人たちと再び時間を共有していく…

作者の一つ一つの言葉選びが絶妙で、“モノ”目線で見る世界も新鮮で良い。
また一話ごとに語り口が変わり、主人公から放たれる言葉や感情が心にスッと入って来ます。

タイトルだけではストーリーの想像が付きにくいですが、
目の前にある細やかな幸せと人を大事に想うことを再確認させてくれる素敵な一冊です。

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Posted by ブクログ 2024年03月24日

短編小説なので、本を普段読まない私でもすらすら読めました。切なさの中にどこか温かさを感じる本でした。普段小説を読まない方にも是非読んでほしいと思います。

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Posted by ブクログ 2023年10月22日

現世に心残りがあるまま、この世を去った人たちが、何か「物体」になってもう一度現世を体験できるという面白いコンセプト。家族や恋人など、大切な人が使っていた物体に宿って、それぞれの人に「憑りつく」11のエピソードが紹介されている。1話をだいたい10分強で読むことができるのだが、ホロリとさせられる。音読会...続きを読むも行われているようだ。私だったら途中で涙が出てしまい、音読にならないだろう。。

特に印象に残っているのは次の3つである。
・妻のことが気になり、妻の日記にとりついた夫
・母親・妹・友人に会いたくて、公園のジャングルジムにとりついた男の子
・妻と子供に会いたくてマッサージ器にとりついた夫

とりついてみたところで、必ずしもハッピーエンドになるとは限らない。
ネタバレにはしたくないが、人間は「物体」を雑に扱ってしまうもの。例えば、とりついた「物体」が見知らぬ人に渡っていたり、全く使ってもらえなくなったり、途中で捨てられたり、物理的に破壊されたりする。ちょっと残酷だが、現実に起こりうることである。そんな時に「物品(故人)」目線からどのような思いが語れられるのか、必見である。

人からもらった「贈与」の対象物には、その人の魂が宿るらしい。長く存在する記念品であっても、食物のような消耗品であっても同じである。嫌なことがあった日は、この本を思い出して、自分の周囲にある故人の「魂」に想いを馳せて、1日1日を生きていることに感謝したい。間違っても、モノに八つ当たりすることはできない。

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Posted by ブクログ 2023年09月16日

死んだあとに何かモノにとりつけるとしたら、という設定の短編集。

ロージンになって野球少年の息子を見守るお母さん、大好きな公園の"青いの"になって、友達や兄弟をみている男の子、親切にしてくれた司書さんの名札になるおじいさん、それぞれ生きていたときの物語と、その後自分がいなくなった...続きを読むこの世を受け入れていく過程がある。

決して明るい物語ではないのに、全部あったかい光の中の出来事のようだった。私だったら何をとりつくしまにしようかな。

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Posted by ブクログ 2023年07月27日

本当にとりつくしまがあって、なにかにとりついてくれてたらいいな。
私の知らないところで、だれかが、なにかが、見守ってくれていると時の流れに希望をのせることは、傲慢ですか、それとも高潔ですか。

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Posted by ブクログ 2022年10月06日

せつないけど悲しくない。でもグッと込み上げてくる。複雑な気持ちになる。
短編で何度も読めそう。私はとても好き。

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Posted by ブクログ 2022年06月07日

短歌で知っていた作家で、美しい装丁に惹かれて中身を見ずに読みはじめた。
死を身近に感じている自らの状況から、死後の世界というテーマに怯んだ。精神的ダメージを覚悟し、読むのを辞めようかとしばし逡巡したが、怖いものみたさで少しだけページを繰ると、ダメージよりもむしろ癒しとなって心に染みてきた。
死を目の...続きを読む当たりにしたり、覚悟したとしても、こんな世界が広がるならいくらか心が休まるような気がした。

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Posted by ブクログ 2022年03月01日

題名に惹かれて、ふらっと買った本。
親目線にも、娘目線にも…いろいろな目線で読めて、特に親としての気持ちで読むと泣けてしまいました。
感動する本を読むと、心が洗われる!
友人にもプレゼントしまくっている一冊です。

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Posted by ブクログ 2022年01月17日

どれも死んだ人を一人称とした短編。だから、どれも哀しい。でも陰惨な感じはしない。それとなくあったかい。
一番最初の「ロージン」、子どもを育ててる身としては泣ける。好きな作品だった。
同じく「青いの」も母にとっては響く作品。ただ、これは私にとっては、あたたかさは残らなくて、むしろホラーみたいな感覚。た...続きを読むだただ、哀しくて苦しかった。

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Posted by ブクログ 2024年03月17日

この本を読んだら誰もが、私なら何をとりつくしまにしようかと考えるはず。
私は、何にもとりつきたくないと思った。私の大切な人は、私が死んできっと悲しんでいるはずだから。その姿を何も言わずに見守ることしかできないより、相手が前を向いて生きていくことを信じて、何にもとりつかずに成仏したいなあなんて思いまし...続きを読むた。
また、私がもし思いがけず死んだら「何をしていたらよかった」と思うのだろうと想像すると、大切な人に感謝の気持ちを伝えることだと思った。明日死んでも後悔ないように、日々お世話になった人、親切にしてくれた人に感謝の気持ちを伝えることを忘れずにいたい。

この本は、本当に大切な人や、人生で大切にしたいことを考えさせられるきっかけになる本だと思う。

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Posted by ブクログ 2024年02月10日

とても読みやすい短編11話。
読み終わったあと、ほっこりと優しい気持ちになりました。
私のとりつくしまは何にしようかなぁ?
やっぱりいちばん大切な人とずっと一緒にいたいなぁ…。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月04日

大切にしていた物とか思い出の物には、その人の心が宿るって聞いたことがあるけれど本当にそうなのかもしれない。
真実なんて今はわからないけど、そう思おう、思いたいって思えた。素敵な本に出会えたな〜〜

“とりつくしま”を家族の様子が見れるものにしている人が多くて、そこからひとりひとり過去の記憶を思い出し...続きを読むていたのが印象深かった。
自分は大切な人をずっと見守っていたい気持ちもあるけど一瞬で消えてしまうもので少しだけでいいかたまた会いたい派だなと思った

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Posted by ブクログ 2023年12月11日

気がついたら、「とりつくしま係」に話しかけられている。モノになってもういちど、この世を体験できるらしい。
残してきて気になる人のモノになる。その視線から色々な体験ができる。もしもそうなったらいいのにという気持ちを味わえる短編集。
私は、白檀の扇子と日記になった物語が潔くてよかった。

ロージン、トリ...続きを読むケラトプス、青いの、白檀、名前、ささやき、日記、マッサージ、くちびる、レンズ、番外編びわの樹の下の娘

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Posted by ブクログ 2023年11月24日

死後、自分がとりつきたいモノを選ばせてくれる「とりつくしま係」という設定がユニーク。
大切な人に関係するモノにとりついた11人。
彼らの迎えた結末が必ずしも穏やかとはいえないところが良い。
寂しいけど幸せ。
悲しいけど嬉しい。
温かいけど切ない。
いろんな感情が沸き上がる短編集だった。

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Posted by ブクログ 2023年11月05日

さらさらと読める短編集。死がテーマではあるけれど、悲しいというよりは、日常が淡々と進んでいくようなイメージ。取り憑いた“モノ”から見た視点というのが斬新で面白い。特に「ささやき」と「日記」が好きだった。
実際にもこういうこと、あるのかもしれない。話自体は虚構、ファンタジーなのだけど、現実にあると思い...続きを読むたくなるような、柔らかで暖かい光に照らされているような、そんな小説だった。

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Posted by ブクログ 2023年03月27日

なんとなく文字びっしりでなくサラッと読めそうな本ということで積読から手に取る。
千の風になってという歌があったが、そんな意味合いのある短編集。純粋に家族愛みたいなのにウルウルすることもあれば毒親は結局…みたいに思う話もあって自身の生き様死に様と継承みたいなことを考えた。

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Posted by ブクログ 2023年03月11日

読みやすくて好き。
一話20分程度で読める。
切ないのもあれば、やるせないのもある。
どうしようもないのもある。それが人間。

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Posted by ブクログ 2022年08月26日

亡くなった人が、モノになってもう一度この世を体験出来るという短編集。
切なさとユーモアが共存していて、読みやすかった。
余談ですが、「マッサージ」と似た話を何かで読んだ気がするのだけど、思い出せずモヤモヤ…。

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Posted by ブクログ 2022年07月08日

短編集だけど、面白かった。それぞれの話の読後感はなんともいえない切ない感じ。これを読むと、自分の身の周りにあるものにも魂が宿っているんじゃないかと思える。モノを大切にしようと思える。読んで良かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月06日

『一日10分のしあわせ』に抜粋されており、原作も読んでみたいと思い購入。

未練を残して死んでいった人たちが、“モノ”に取り憑いて生まれ変わる。

所謂「九十九神」になった彼女、彼等。
大切な人の傍にいられるといったメリットはあるけれど、いいことばかりじゃない。
受け入れ難い現状を目の当たりにしてし...続きを読むまうこともあるし、取り憑くモノの選択によっては、捨てられてたり壊されてしまう可能性だってある。

現世に戻れることはできるが、何かできるわけではない。
そんな状況に歯痒さを感じた。

『白檀』の章がわたしのお気に入り。
まぁとにかく切ない。その一言に尽きる。
一年に一度しか使わないモノを選んだ桃子さんは大人だな…と感じた。

が、常に使うモノに取り憑いたとしたら先生への想いをずっと感じながら過ごすことになるので、それもそれで辛いよな…。

わたしだったら誰の傍にいたいだろう、何に取り憑くんだろう…。
そんなことを考えながら読んだ一冊だった。

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Posted by ブクログ 2022年06月14日

東直子(1963年~)氏は、広島市生まれ、神戸女学院大学家政学部卒の歌人、小説家。1990年より短歌等の投稿を始め、1996年に「草かんむりの訪問者」で歌壇賞(公募による短歌の新人賞)を受賞。また、2006年に『長崎くんの指』で小説家としてもデビューし、2016年には『いとの森の家』で坪田譲治文学賞...続きを読むを受賞。これまで、NHK短歌、歌壇賞、角川短歌賞、東京新聞歌壇、山陽歌壇(山陽新聞)などの選者・選考委員を務める。
本書は、「Webちくま」への連載をまとめて2007年に出版され、2011年に文庫化された。
私は、読む本の大半がノンフィクションで、普段は小説(特に現代文学)をあまり手にしないのだが、暫く前から短歌を作るようになり、東さんの第三歌集『十階-短歌日記2007』等を読んで、そのソフトで穏やかな作風の歌(同世代の俵万智や穂村弘とは全く異なる)に惹かれ、本書を手に取った。
内容は、死んでしまった人が、モノとなって大切な人の近くにいられる(そのモノを「とりつくしま」と表現している)という設定で、「ロージンバッグ」となってピッチャーの息子を見守る母、いつも遊んでいた「ジャングルジム」となって母を待っている男の子、孫にねだられて買ってあげた「中古カメラ」になりながら他の人に売られてしまった祖母などを、とりつくしま(=死んだ人)の目線で綴った11の物語である。
読みながら、また、読み終えて、頭を巡るのは、自分だったら何になるだろう、そして、どのような物語になるのだろうということである。私は基本的に、人は死んだらそこで終わりで、魂も死後の世界も存在しないと考えているが、本作品のユニークな設定は、自然に、自分の生(や死)への向き合い方、或いは、身近な人(生きている人も、既に死んでしまった人も)との関わり等を、改めて考えさせてくれるものであった。
「文庫版あとがき」によれば、本作品の各編は、ラジオドラマ、ライブハウス、公民館などで頻繁に朗読されているそうなのだが、それもよくわかるような気がする。
(2022年6月了)

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Posted by ブクログ 2024年01月21日


帯に大好きな人に会いたくなる本と書いてあったのでどんなものかと思ったら、想像していたよりビターなお話が多かったです。
印象に残っているのは最初の息子の野球道具に取り憑くお母さんの話。
息子の勇姿を見る寸前で散ってしまったお母さんに、もどかしくも親心に感動しました。

反対に母親の補聴器に取り憑いた...続きを読む娘の話も印象的。
こちらは最終的にお母さんに投げ捨てられてしまった所で終わったのがまさかで辛かった。

大好きな人に会いたくなるかはよくわからなかったけど、色々な愛の話が読めて良かったです。

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Posted by ブクログ 2024年01月14日

一緒に食事をするということは、一緒に充たされてゆく、ということだったのですね。だから、恋などというものにうつつを抜かす人々は、一緒にメシを食う、と。そういうカラクリだったのですな。

たとえほんとうに欠点があったとしても、それは、気づかない人にとっては、欠点にならずに済む。だから、欠点なんて知ろうと...続きを読むしなければよいのだ。

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Posted by ブクログ 2023年12月23日

レビューには「優しさに包まれながら号泣」って書いてあったけど、、、これは若干背筋が凍るスリラー小説?
一緒に食事をすると言う事は、一緒に満たされてゆく、と言う事だったのですね。だから、恋などと言うものにうつつを抜かす人々は、一緒に飯を食う、と。そういうカラクリだったのですが。
お父さん、もっと、使え...続きを読むばよかったのに。もっと、たくさん生きてさ。私が、使いにくいじゃん。
それは、とてもとりとめのないこと…だるいとか眠いとか、超やばいとかうざいとか、そういうもので簡単に包めてしまうもの。つまり、それほど深刻ではないもの。まとわりついていると言う音とした空気を、言葉で吸い取っていくための会話。
こんなに綺麗なんだから、春は浮かれていい季節なんだ。花はこぼれてゆくばかりでも。
吸い込まれそうだ、花の中に。
あとがきより
どこかで、誰かが誰かのために祈っているように、どこかでこの方が、誰か相乗りに触れることがあれば、大変幸いに思います。
解説より
何か人間のことわりを超えたものがあり、さらっとした感触が下に残るが、繰り返し読むうちに、それが浄化され、無に帰することの喜びのようなものがこみ上げてくる。物語全体を包み込む、風呂敷のような忘れ方さがあった。

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Posted by ブクログ 2023年04月01日

とっても簡単に読める。
心温まるエピソードが多い。

でも、あたしには理解できない。
死んでもなおこの世界で見ていたい人などいない。
家族も友達も大切だけど、どぅぞ勝手にやってほしい。
手も足も出さないでこっそり見てるなんてプライバシーの侵害だと思う。

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Posted by ブクログ 2023年01月30日

サラリと読める切ない短編集って感じですかね。

未練を残して死んでしまった人がモノにとりついて、生前愛していた人や親しかった人を眺める。というお話し。

ひとつひとつのエピソードには、人の哀しさ、おかしさ、暖かさ、などかほのかに感じられました。

これは、読む人の感性によって好きな話が分かれそうな感...続きを読むじがしますね。

個人的には、一家のお父さんが亡くなり、マッサージチェアにとりつく「マッサージ」のお話が、ちょっと笑えて暖かい感じもあって好きでしたね。

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Posted by ブクログ 2022年09月12日

とても素敵な本よ/
特に好きだったのは、
・名前(ワシたまらんな)
・日記(好きな人の日記になるのは賢くないか?)
・くちびる(恋だわねキュン)

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Posted by ブクログ 2022年07月24日

死んだ人が、ものに取り付く話。一人称一人語りという制約の短編集。NHK深夜便の朗読で知って読んでみた。ロージンになって消えていく話が、良く取り上げられているのだが、子どもがジャングルジムになる話が、悲しくて印象的でした。

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Posted by ブクログ 2022年02月21日

短編集で寝る前とかに読むにはちょうどよかったです。日記…よかったな〜私はおめでとうって言えるかな…言える人になりたいなーと思いました笑
つい私だったらなににとりつこうかなーと読みながら考えちゃいますね

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Posted by ブクログ 2022年01月30日

"この世"に未練を残して亡くなった人がモノ(とりつくしま)に憑依して死後の様子を見ることができる、という話。いつまでも残るモノにとりついたら、結構シンドいんじゃないかな、と思った。

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Posted by ブクログ 2021年12月26日

着眼点はおもしろいと思ったけど、やはり亡くなってからの物語ということで、亡くなってしまったこと自体がもう悲しく、なんかあんまり入ってこなかった。

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