【感想・ネタバレ】砂嵐に星屑のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年03月17日

常々、こういう小説が好きである。色んな考え、視点の人がいて、少しづつすれ違っていたり、少しだけ分かり合えたりする話。加えてお仕事小説的な側面もあって、そういう面でも前向きになれる作品だった。
引用してしまうと「薄い関わりであろうと縁は縁で、思いがけず誰かの魂にそっと指先な掠める瞬間というのは確かにあ...続きを読むり、自分が望むと望まざるとに関係なく、尊い一瞬だと思う。」
特に〈冬〉の主人公はかなり残念な人物なのだけど、それまでの章にでてきた魅力的な人たちに囲まれながら一歩前進するこの王道が、しみじみ好きな展開だった。

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Posted by ブクログ 2024年02月22日

連作短編集。

大阪のテレビ局が舞台の、4人の登場人物。
テレビ番組の裏側を覗いた気分。
それぞれが個性的で、それぞれの悩みがあって、
心理描写がとてもよかった。

「泥舟のモラトリアム」が特に、心に残った。
思春期の娘とのやり取りや、職場でのハードさ。
汗だくでテレビ局まで歩く姿が、生き様そのもの...続きを読む

「眠れぬ夜のあなた」は、
先のことが不安な若者たちに、勇気を与えたのでは?

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Posted by ブクログ 2024年01月07日

良い映画を観たような読後感。
閉塞感を描きながら最後はホッとして泣きたくなる様な温かい物語が四つ、一穂ミチ氏の本を全部読みたくなった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月01日

周りからは分からない自分の中の負い目。

それを密かに抱える、同じテレビ局で働く、4人それぞれの中編集。

①は劣等感のオンパレードで読み進めるのがしんどかったが、可愛らしい終わり方をしたので、とても満足。

②も読んでる最中はしんどかったけど、終わり方がいい。吐き捨てられた言葉の中に、温かみと爽快...続きを読む感を感じてしまう。

③も終わり方が秀逸で思わずクスッと笑ってしまうし、④もラストでじわりと滲んでしまった。

つまり、4編とも良かった。

著者の頭にはまず、ラストの光景があって、それに向けて物語を作り上げていったのかな、とも想像したが、とても良い読み心地だった。

さてさてさんのレビューで興味が湧いて予約。やっと回ってきました。

ありがとうございました。

【ポイント】
①〈春〉資料室の幽霊(ゴースト)
10年ぶりに大阪に戻ってきたアナウンサーの三木邑子。さて、彼女が東京に転勤させられていた理由は。

②〈夏〉泥舟のモラトリアム
地震の直後、交通麻痺のさなか、17km離れた職場へ徒歩で向かう中島。途中で同期で上司、いやみのない市岡に出会ったのも束の間、市岡の提案で別行動で会社に向かうことになる。そんな中島の胸を去来するのは•••。

③〈秋〉嵐のランデブー
結花は一目惚れした由朗とのルームシェアに成功。でも、由朗がゲイのため自分の気持ちを打ち明けられない。そんな結花には一つだけ•••。

④〈夜〉眠れぬ夜のあなた
振られた直後、堤晴一は、気が進まないまま、VTR制作を引き受けることに。取材対象は並木広道。彼は子供たちの慰問で人形と一緒に病院を回る腹話術師。晴一と違い、今後売れるかもしれないと感じさせる「陽」のオーラを放っていた。

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Posted by ブクログ 2024年04月17日

大阪のテレビ局に勤務する四人に焦点を当てた連作集。

旬も過ぎ社内不倫の前科で腫れもの扱いの40代独身女性アナウンサー
娘とは冷戦状態、同期の早期退職に悩む50代の報道デスク
好きになった人がゲイで望みゼロなのに同居している20代タイムキーパー
向上心ゼロ、非正規の現状にぬるく絶望している30代AD...続きを読む

一話目の不倫の女性アナウンサーの話と、四話目の非正規のADの話が心に沁みた。
みんな軽く絶望している。
人と繋がるのは面倒だけど、誰とも繋がらないのは寂しい。

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Posted by ブクログ 2024年04月09日

4篇の短編集。全部は共感できないけど、ところどころ、あーーーーーーわかる。と話を読み進めながら頷いていた。自分が読む歳によって感じ方が少しずつ変わりそうな気がするので、また数年後読んでみたい作品です。

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Posted by ブクログ 2024年03月07日

自分の人生つまらない、イけてない、自分は取り柄もない会社歯車、ただ給料もらって客と上司に媚びて。
誰もが時として感じることのある空虚な感覚に対して「そりゃそうだけどさ、でもまあそんなに言うほど悪くないんじゃない?!」と思わせてくれる内容だと感じました。
オバさんもオジさんも若者もエリートも貧乏人も、...続きを読む様々な人の目線で丁寧に表現されていると思います。

星4つにしました。

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

一見華やかに見えるテレビ局で働く様々な職業の人が密かに抱える心の葛藤が細やかに描かれている。読む人の立場や状況によって重ね合わせる人が誰か変わると思う。それがこの作品の良さの1つ。
恋愛も家族も誰かと自分の関係性という点では同じで、どちらかが無理し続けることは出来ないから難しい。近くなればなるほど相...続きを読む手に理解して欲しいと思ってしまい、気持ちを押し付けて傷つけてしまう。大人になったからといって急にはうまくならない。不器用に人間関係で格闘中の大人にこそ沁みる作品。

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Posted by ブクログ 2024年01月27日

薄い関わりであろうと縁は縁で、思いがけず誰かの魂にそっと指先が掠める瞬間というのは確かにあり、自分が望むと望まざるとに関係なく、尊い一瞬だと思う。それを疎んじたり軽んじたりしていたら、人の間では生きていけない。

思い描いていた未来と全く違う「今」にいる。こんなはずじゃなかった、過去にいるはずの人を...続きを読む失った、という思いは、行き交う人々の中にもきっとあるだろう。

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Posted by ブクログ 2023年12月31日

私にはなじみがない関西弁でリズムよく進んでいく、短編小説のアンソロジー。

春夏秋冬とあるが、その中で秋の嵐のランデブーと冬の眠れぬ夜のあなた、が特に心に刺さった。

嵐のランデブーはとにかく結話ちゃんが可愛くて可愛くてキュンキュンだった。
繊細で敏感、表現が可愛らしい。
いじらしい女の子の気持ちに...続きを読む私の心も多いに揺さぶられた。
由朗君とうまくいってほしいけど、どうかな?無理なのかしら。

眠れぬ夜のあなたは主人公にイライラされさせられっぱなしだった。
ラスト、彼が少し前進していった様子に感激した。
あまり好きな仕事じゃなかったのかもしれないけど、その仕事の中で誰かの心の中に刺さった棘を優しく見つめることが出来てよかったね。
終わり方がとても良かった。

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Posted by ブクログ 2023年12月31日

最後のADの話はイライラして読んでいたけど、最後ほんの少しのきっかけで変わっていったことに面白さを感じた。それぞれの短編に出てくる人が別の短編で少し出てくる。その時はキラキラしていて、なにも悩みなんかないように生活している。だけど、心の中ではそれぞれが葛藤していて、悩んでいて、それでも表面には出さな...続きを読むくて。実際に自分の周りにもそういう人がたくさんいるんだろうなあと思った。笠原さんの話も読んでみたかったなあ。

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Posted by ブクログ 2023年12月07日

実際に言葉にして出す量と言葉として出さずに頭の中でつぶやく量
つぶやく量の方が多い人たちとまっすぐに思いを言葉にできる人たちが出てくるなあと思ったけど、言葉にできる人たちだって、その何倍もウジウジつぶやいてるんだろうなあ。

そうやって人生生きて行く

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Posted by ブクログ 2023年12月07日

砂嵐…なるほど。昔のテレビは真夜中になると番組終わって砂嵐になってたな。
一穂ミチさん、抜群の安定感。それぞれの人物も興味深かったしTV業界の裏話も知れて面白かった。

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Posted by ブクログ 2023年12月02日

大阪のTV局で色々な事で悩みながらも働く人々達の連作短編集。昔の不倫相手が亡くなったため大阪に戻ってきたアナウンサーの邑子が新人アナの雪乃に巻き込まれて不倫相手の幽霊騒動に関わっていく「資料室の幽霊」でもしや非現実路線か、と思っていたら地震で徒歩通勤する羽目になった過程で娘との関係やこれからの仕事に...続きを読むついて見つめ直したり「泥船のモラトリアム」ルームシェアはしているが絶対振り向いてくれない男の「何か」になりたくて苦しむ「嵐のランデブー」非正規ADという立場にもやもやしている所にステップアップとなる仕事がきたのに相変わらずもやもやしてしまう「眠れぬ夜のあなた」ととても地に足のついた路線でした。誰にでも後悔している取り戻せないものはあるけど、それでも歩いていけばなんとかなるといった感じで締まるのがしみじみした。でも話としては小粒かなー。新人女子アナの雪乃が最初と最後で印象が違って可愛かった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年11月26日

よく知らず手に取った。大阪の方の方だとは知っていたが、こういう浪速お仕事小説を書かれるとは思ってなかった。
 達者だなというのが、一番の感想。

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Posted by ブクログ 2023年10月28日

テレビ局を舞台にしたお仕事小説だけれど、それぞれの短編の中にひとつひとつ物語があり、共感できるところが多かったです。前作スモールワールズとまた違った雰囲気で、良い意味で期待を裏切られました。
仕事をしている以上、人間関係で悩んだり、誰かと恋愛に発展したり、家族に影響があったり。本当に、仕事=生活なん...続きを読むだなぁと改めて思い知らされる。
嫌なことやつらいことがあっても、毎日電車に揺られて職場に行く、そのこと自体に日々救われてるのかもしれないなと思いました。

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Posted by ブクログ 2023年08月25日

あまり期待してなかった4話目で感動しました。
ネガティブだし無神経だし終盤まで主人公にはイライラしたけど、読み終わった時には応援したくなってました。

広道さんすごい良い人だなーーーー
最後にゆうた君と会話してた少しの本音がうるってきました。

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Posted by ブクログ 2023年07月31日

4作目。
語り手が変わる為、
主観、客観的に主人公を見ることができる。

そんなに動きがあるわけでないのだが、
日常を掘り下げている為、
読みやすくスラスラ読破。

後味よし。

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Posted by ブクログ 2024年03月31日

テレビ局で働く人が主人公の短編集。
やりたいことがなく、突出したものもなくここまできてしまった中島さんの話と、自分を守ってばかりのADの話が心に残った。

やりたいことがない人はたくさんいるし、いやいや働いてる人もたくさんいる。不快な環境や苦手な作業がある中で、みんなもがいて生きているんだよなぁ、と...続きを読むほっとした。

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Posted by ブクログ 2024年02月10日

関西のテレビ局で働く人たち、縁もないお仕事だけれど、登場する人たちはみんな、不器用なところや真面目なところ…どこか親しみがあった。

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Posted by ブクログ 2023年11月01日

同じテレビ局に務めるアナウンサー、報道デスク、タイムキーパー、ADを軸とした4つのストーリー。
心の底に隠していた劣等感をほじられているような、予期せず痛いところを突かれてしまった時の居心地の悪さを感じるのだけど、それが一穂さんの小説の好きなところだなと気が付いた。特にADの話が良い。

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Posted by ブクログ 2023年10月29日

短編集。どの編の主人公もそれぞれ人生の行き詰まりを感じてる。
自分がちょっと変わることで、大幅な希望があらわれるとは限らないけど、何かしら変化は生まれる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年10月27日

一穂ミチの短編集。ゲイの友達を好きになった話が何度思い出しても苦しい。
届かないのも苦しい。伝えたらこの関係がなくなってしまうのかもという気持ちとか、もうどうでもいいやも、だし。最後にちょっと行け入れようとしてくれたのもなんか苦しい。結局何があっても苦しいよね届かない恋愛って。

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Posted by ブクログ 2023年10月14日


テレビ局で働く人の短編集。
仕事もプライベートもなんか上手くいかんよねぇ。。。って感じのお話でした!
流し読み多かったけど、最後の一文で救われる感じが良かった。元気出た。
一穂さんの本初めてかなぁ?よく見かける作家さん、ほかも気になる。

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Posted by ブクログ 2023年09月10日

はじめの方はやや展開が遅い感じがして退屈でしたが、頑張って読み続けると味わい深いエピソードがあらわれて心に染みます。それぞれの年代の心情が交錯し、自分にも重なるセリフなど、ドキリとするところがありました。
雪乃と陽介のそれからなど、続編が読みたくなります。

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Posted by ブクログ 2023年08月18日

テレビ局で働く人々の短編連作集。ヒューマンドラマでもあり、ライトなお仕事小説でもあり。ぐっさりと何かが刺さる小説ではなかったけれど、とても読後感のよい本でした。
タイトルは深夜のテレビの砂嵐のことなのかな。そこに見つける星屑。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年07月19日

4章に分かれており、それぞれ、同じテレビ局で働く別の人達が主人公になっています。
主人公は変わりますが、全ての話は繋がっているので、だんだんストーリーに奥行きが出ていくのを感じました。

主人公たちは、どこかに劣等感をもっていて、不器用故に課題に直面します。
最終的には、ハッピーエンドとまではいかな...続きを読むいまでも、それぞれ前を向いて自分自身とや課題と向き合うことができるようになっていきます。
章の結末にモヤっとした感じがしても、読み進めていくと、前の章までの主人公たちのその後の様子も描かれており理解が深まっていきました。
自分や周りの人に向き合って、自分なりの生き方を見出していく主人公たちの姿に勇気づけられます。
今、自分の生き方に悩んでいる人におすすめの作品です。

以下は内容のメモです。

資料室の幽霊 村雲と三木邑子の話は、雪乃のキャラクターが良かった。人付き合いが重要そうなテレビ局で、自分を持って行動している。

泥舟のモラトリアム 地震で電車が動かない中徒歩で通勤をする。その間色々と思考を巡らせる中で、娘と喧嘩をしたこと、その内容が少しずつ明かされる。
この日の行動を知り、娘がアクションを起こし、父娘の冷戦は終わる。親子や夫婦は、こういう些細な喧嘩から険悪になることがよく分かるし、胸が痛かった。
また、職場では要領が良いわけでもなく、出世もしておらず同僚と比べて惨めな気持ちになる描写もあるが、テレビ局にはなかなかいない実直なところが必要な存在だと言われて気を取り直す。こう言うことは言われないと気づかないので、声かけは大事と感じた。

嵐のランデブー 叶わない恋の相手とのルームシェア。佳奈の過去が見えてくるにつれ、もう少し続きが読みたいと思った。消したい過去があるのに、それを知って消費している人がいるかもしれない恐怖。それを利用されてしまう辛さ。
佳奈にとっては実らない恋だとしても、お互いにとってなくてはならないパートナーとして寄り添い続けてくれるといいなと思った。

眠れぬ夜のあなた 急に芸人への密着V制作を任されるようになった非正規雇用の30代AD。やっつけで始めたが、自分なりの努力でより良いものを作ろうと試行錯誤して成長していく。

初版購入者限定特典の、砂嵐に花びらは、短いですが目に浮かぶ景色が綺麗で、ストーリーもとても良かった。本編よりも好きだったかも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年07月07日

一穂ミチは『スモールワールズ』に続いて2作目。
『スモールワールズ』は読むのにしんどさを感じたけど、こちらはそうでもなかった。
やはり家庭より仕事場の物語の方が引いて読める分だけ気楽なのか。
日々の仕事に倦んだ時に読むと、ほんの少し心が軽くなる、かもしれない。そんな感じ。


作品紹介・あらすじ
...続きを読む木賞候補『スモールワールズ』で注目を集めた一穂ミチ。
期待の書き下ろしは、あらゆる世代に刺さるすぎる群像劇!
日々頑張るあなたが、きっとこの本の中にいます。

舞台はテレビ局。旬を過ぎたうえに社内不倫の“前科”で腫れ物扱いの四十代独身女性アナウンサー(「資料室の幽霊」)、娘とは冷戦状態、同期の早期退職に悩む五十代の報道デスク(「泥舟のモラトリアム」)、好きになった人がゲイで望みゼロなのに同居している二十代タイムキーパー(「嵐のランデブー」)、向上心ゼロ、非正規の現状にぬるく絶望している三十代AD(「眠れぬ夜のあなた」)……。それぞれの世代に、それぞれの悩みや壁がある。
つらかったら頑張らなくてもいい。でも、つらくったって頑張ってみてもいい。続いていく人生は、自分のものなのだから。世代も性別もバラバラな4人を驚愕の解像度で描く、連作短編集。

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Posted by ブクログ 2023年06月30日

テレビ局を舞台にした連作短編。
40過ぎの女子アナ、娘と関係が拗れているデスク、同居人な片思いをしているTK、彼女に振られ仕事もうまくいかないAD…。ままならない人生を送っている人々が、それでも頑張って歩いていく姿を描いている。
思い通りにならないことばかりだけど、それでも前進はできると思わせてくれ...続きを読むる作品。

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Posted by ブクログ 2023年06月04日

テレビ局大阪支局。職種も立場も年齢も違う四人の人生の四季。
重めの題材を軽めの文章で描いて、妙。
忘れたい事の方が、こびりついてー。って文章が2話目あたりにあったけど、その楔から解放する何かを求めている感じかな。
どの年代の短編もしっくりくるけど、〈秋〉嵐のランデブーのような、屈折しながら愚直にしか...続きを読む生きられないマイノリティは、なかなか他の方では読めないので積極的に書いていただきたいのです。
〈夏〉泥舟のモラトリアムは、ストーリーとタイトルの絶妙感が良いです。残される組織の泥舟で一時考えてみるも良い。

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