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Posted by ブクログ 2024年03月24日
【あらすじ】
「できること、やりたいこと」何もない――。大阪の一流企業の受付で契約社員として働く柳生美雨は、29歳になると同時に「退職まであと1年」のタイムリミットを迎えた。その記念すべき誕生日、雨の夜に出会ったのは売れないお笑い芸人の矢沢亨。掴みどころのない亨、その相方の弓彦、そして仲間の芸人たち...続きを読むとの交流を通して、退屈だった美雨の人生は、雨上がりの世界のように輝きはじめる。美雨と亨と弓彦の3人は、変てこな恋と友情を育てながら季節は巡り、やがてひとつの嵐が訪れ……。
『どうしてだろう、この人の適当さにひどく安心するのは。安心している場合じゃないのに、気持ちが楽になる。』
『もう、半ば吹っ切れてしまったような笑顔だった。何かが抜け落ちた風通しの良さが悲しい。この人は苦しいけど、悔しいけど、楽になったんだ、と思った。いったん下ろしてしまったその荷を、もう一度はとても背負えないんだろう』
『夢とか目標って、一種の呪いだと思った。失うことも諦めることもつらい、でも解放でもある。』
『結婚したくない、とはっきり言えば「じゃあどうするの」と返す刀を受けなければならない。でも、何が「じゃあ」なんだろう。「ただ生きていく」のはそんなにも難しくて駄目なことなのか。』
『人間の運命はこんなちょっとしたことでいいほうにも悪い方にも転がっていく。その不確かさを、わたしは希望と呼びたかった。』
【個人的な感想】
他の方の感想で『スモールワールズ』の方が面白かった、という声が多かったので読むのを躊躇していたが、個人的にはすごく面白かった!
30手前、もがきながらも強く生きる美雨に勇気をもらえた!
Posted by ブクログ 2024年02月09日
この本自体が、すでに漫才のネタ帳のようだった。
大阪の街や人に、どっぷりとつかって楽しかった。
パラソル、
雨に濡れないようにさしたり、
強い日差しから肌を守ったり、
もし、それが崖っぷちの人生にパラシュートになったら、
思いっきり飛び出せるのに。
鳥人間になれなくても、落ちて傷ついても、
キズパ...続きを読むワーパッドがあれば、すぐに立ち直れる。
関西弁がなんだか暖かく感じた。
怒りを相手にぶつけるとき、
ぶつけられて、やんわりかわしたいとき、
ボケとツッコミ、とってもいい。
Posted by ブクログ 2023年07月09日
主人公・美雨がライブ会場で出会った芸人・亨と知り合い、なりゆきでシェアハウスで過ごし暮らすことになる。少し現実味のない始まりなのに、不自然でない滑り出し。会話のテンポがすごくいい。こんな会話をしていたいなあと思う。ひたすらのしかかる現実を、弱さや強さで傾きながら立て直しながら漂う感じ。
芸人さんの世...続きを読む界を垣間見させてもらうような楽しさもあった。読後感もすごく良く、まだまだこの世界にいたいなと思わせてくれる。きっとまた、読み返したくなると思う。
Posted by ブクログ 2023年06月25日
舞台は大阪、登場人物はお笑い芸人と受付嬢、少し取っ付き難い話かと想っていたのに、読み終わってしみじみとしてしまいました。年に数回は関西を訪れていますが、次に行った時はこんな人たちがいないか梅田の駅周辺や難波の繁華街で探してしまいそうです。
Posted by ブクログ 2024年04月05日
芸人と受付嬢を中心に色々な人達が世の中の「ねばならない」に微力抵抗する物語だと思います。肯定的な意味でモラトリアムの話。
途中少し間延びしたように感じてしまったのですが後半想定しなかった展開で大変楽しく読み終えました。
星4つ。
Posted by ブクログ 2024年02月28日
29歳の崖っぷち受付嬢とお笑いを生業にする人々が出会って、シェアハウスっていうほどおしゃれじゃない事故物件の一軒家で生活する。どのキャラも個性的で、漫才やラジオトーク、日常会話の大阪弁が軽妙で心地良かった。
美雨の素直すぎる天然ちゃんがめちゃめちゃ可愛かった。亨の相方、弓彦の言動がいちいち思春期か?...続きを読む!って笑えた。深いような、笑える一冊。
Posted by ブクログ 2024年01月29日
これめっちゃよかった。物語のかたちが凪良ゆうの「すみれ荘ファミリア」に似てる。ルームシェアというか。
男女3人が恋愛関係にならないのが、いい着地のさせ方だなと思った。
でも3人のセクシュアリティが明らかにされていないように感じたんだよね。
これはたぶん意見がわかれるところなんだろうけど、マイノリティ...続きを読む属性をそこに属していると確実に書いて登場させるのと、書かずに行動や言動でそういう属性であると想像させるようなマジョリティ属性と同じように改めて属性を表さないような書き方もあって、私は後者として書いたんじゃないかなーと思った。
でも、そもそもまだマイノリティ属性を描いたフィクションの絶対数自体が少ないんだからそこを明確にすべき、というのもわかるしマイノリティ属性がわざわざ異性愛者なんて書かないんだからマイノリティ属性でも書く必要がなく描写からそうであることを理解するべきというのもわかる。こういうのってどうすればいいんだろうね。
当事者の人たちのなかでもだいぶ違いがありそうだしな。読んだ人たちと語りたいやつだ
Posted by ブクログ 2024年01月07日
インスタ読書アカさんたちの間でジワジワ話題になってて、読みたいと思っていた一冊。好みにもよるかもしれないけど、私としてはすごく良かった!劇的ドラマチックか否かで言うと断然後者のテイストで、「特に何も起こらない話」と言えなくもないくらい淡々としてるけど、その中で小勃発するあれやこれやが慎ましくて好まし...続きを読むい感じ。あと、芸人たちの会話描写やセリフが面白すぎるwwクスッとできる要素が満載だけど、ちょっと深いセリフも多々あって、心地よい。主人公のOLみたいにのんびりと楽観的に生きてみたいなあと思った。1日で読み切ってしまった!
Posted by ブクログ 2023年12月28日
弓彦と亨と雨ちゃんの3人の関係が、とっても羨ましくて、私もそんな友達がいたらいいなと思う。
面白い人たちとシェアハウスしてから、雨ちゃんが、面白い女性になっていった気がする
Posted by ブクログ 2023年11月29日
あなたは『お笑い』が好きでしょうか?
“笑う門には福来る”ということわざがあるように私たちにとって”笑う”という行為は欠かせません。日常生活の何気ない会話の中で出る”笑い”は欠くことはできません。一方で、”笑い”の起点を能動的に提供してくれる存在、それが『お笑い』タレントのみなさんだと思います。
...続きを読む
私はテレビで『お笑い』番組を見ることはありますが、実際に行われている生の舞台を見たことはありません。音楽のコンサートであれば曲の合間に出演者が喋るということはあります。しかし、『お笑い』のライブはずっと喋りが続いていくことになります。それは、ずっと笑い続ける時間が続くことを意味するのか?考えれば考えるほどに興味も湧いてきます。何事も体験することは大切なのかもしれませんね。
さてここに、ひょんなきっかけから『お笑い』の世界を垣間見ることになった女性が主人公となる物語があります。『お笑い』の舞台裏が描かれていくこの作品。関西弁と大阪の描写に魅せられるこの作品。そしてそれは、『お笑い』の世界に人の泣き笑いの人生を見る物語です。
『わたしは大阪城ホールのアリーナ最前列で人知れず流血していた』というのは主人公の柳井美雨(やない みう)。『まだ馴染んでいない慣らし中のパンプスを履いている日に限ってコンサートのチケットが舞い込』み、コンサートに来たものの『右足の、かかとのちょっと上』が痛む美雨。そんな美雨の前で『セットリストは順調に進行し、テンション高めの曲が続』いていきます。そんな時、『ステージと柵の間のスペース』で『ツアーTシャツを着た男の人』と目が合い、彼の『唇が、小さく動いている』ことに気づいた美雨。『ふ、ん、す、い』とステージの『歌詞とは違う言葉が、音もなく、でも確かにわたしに向けら』れます。『ふんすい、噴水』。『心当たりはひとつしかない。城ホールを出て、石垣を横目に階段を降りたらすぐそこにある』と思う美雨は、『公演が終わると』、『丸い噴水のへりに腰を下ろし』ます。そして、『皮がずるっと剝けてはいた』ものの、『出血はほんのすこし』という自らの足を見ます。一方で、『あの人の名前も知らないのに、本当にわたしに向けて「噴水」と言ったのか』と思う美雨は『一時間以上』その場に留まり続けます。そして、『大きく伸びをし、照明を見上げ』た時、『あの人がゆっくり階段を降りて』来るのに気づきます。美雨の方に歩み寄ってきた男に『お嬢はんはどないしましてん、その足』と訊かれ『新品の靴で来ちゃって、靴ずれがひどくて』と返す美雨。『靴って、どんだけ店頭でええ感じでも、いざ本番で履くと絶対どっか痛いよな』等会話する男は『ほな行きまひょか』、『うちにええ薬がありまんねんわ』と言うと美雨の『反応も確かめずに歩き出』します。やがて、タクシーを捕まえ、美雨も乗り込むと『汐見橋線の木津川のあたりまで』と指示します。走り出した車内で『さっきのスイッチャー、あかんかったな』等さまざまに会話する男に『お名前なんて言うんですか』と訊く美雨に矢沢亨(やざわとおる)と男は名乗ります。二十分ほどでタクシーを降りた二人。亨は『侘しい住宅街の中にある一軒家の敷地に入ってい』きます。『行方不明、監禁、殺人といった物騒な単語が頭の中にちらつ』くも亨の家へと入る美雨。茶の間へと通されると『足、見してみ』と言われ『座布団に座って足をまっすぐに投げ出すと』、『痛そやな』、『今楽にしたろ』と言われた美雨は『マーキュロクロム液や』、『キズパワーパッドは優秀やで』と手当してもらいます。そして、『軽く手を振って「ほな」と言』われ、『これで終わり?』と迷った美雨。そんな時、ちょお待ち』と『うすっぺらい茶封筒を』手渡されます。そして、その場を後にした美雨。場面は変わり、『え、こわ、ありえへん』と同僚の千冬に言われた美雨。昨夜の経緯を話して美雨のことを心配する千冬に『きのう知り合った人に、ライブのチケットもらって。二枚あるから千冬ちゃんもどう?』と昨夜帰りがけにもらった茶封筒の中身を見せます。『バンドじゃなくてお笑いのライブっぽいの』というチケットには『セックス・アンド・ザ・なんばシティ』という記載がありました。仕事を終えた二人は『ミナミ』へと向かい目的の建物へと入ります。そして始まった舞台。そんな舞台に『茶色いセミロングのウィッグをつけてメイク』をした亨が登場しました。『安全ピン』というコンビの片割れとして舞台に立つ亨。そんな亨の舞台を通じて『お笑い』の世界の裏側に立ち入っていく美雨の姿が描かれていきます。
“企業の受付に勤める29歳の美雨は、人生に惑い、未来にも漠然とした不安を抱えていた。そんな中で出会った、売れないお笑い芸人、亨。彼が気になり始める美雨だったが、ままならない恋愛事情は、亨の相方との「奇妙」な三角関係に発展し…”と内容紹介にうたわれるこの作品。大阪出身の一穂ミチさんらしく、大阪のお笑い芸人の世界が、リアルな関西弁の会話に載せて描かれていきます。
一穂ミチさんは放送局を舞台にした「砂嵐に星屑」でも大阪を描いていらっしゃいますが、この作品は『お笑い』の劇場のある『ミナミ』が描かれます。『「ウラなんば」とか言いますけど、わたしにとってはミナミ自体が「ウラ大阪」って感じなんですよね』というそんな街の描写はとてもリアルに大阪の街を描いていきます。『とにかく情報量が多い』という街の描写を見てみましょう。
・『看板やネオンがこれでもかと天井知らずの自己主張で競り合い、目に映るすべてが色鮮やかに輝いているのに、すこしもうっとりしないのがすごい』。
・『美しさなど求めていない、とにかく目立ったもん勝ちのPR合戦は、色彩や電飾に凝るだけでは飽き足らず、3Dの世界に突入していた。かに道楽のかにだけじゃなく、通り全体が立体看板のショールームみたい』。
『これでもかと天井知らずの自己主張』、『目立ったもん勝ち』と、なんだか言いたい放題にも思えてしまいますが現地の光景を見事に言い表していると思います。そして、面白いのが『立体看板のショールーム』としてこんな造形物を例示するところです。
『かに道楽のかにだけじゃなく、通り全体が立体看板のショールームみたい。ツルハドラッグからは鶴が、たこ焼き屋からはまん丸いたこ焼きが、回転ずし店からはすしを握った手が、こっちにおいでとでっかく飛び出している』。
有名な『かに道楽』だけでなく、さまざまなものが我こそは!と競い合うかのように通りを歩く人の前に主張し合う『ミナミ』ならではの光景を絶妙に表現してくださいます。もうこれだけで気分がハイ!になってきますね(笑)。
『ミナミは「雑」が似合う街だと思う。雑踏、雑然、雑多、混雑、あらゆる「雑」が凝縮されている』。
そんな風にまとめる一穂さん。この作品ではそんな『雑』が似合う『ミナミ』の街が舞台となってもいきます。そして、この街の様子がこの作品の雰囲気感を見事に形作っていきます。小説では物語の場所を具体的に明示しない場合、空想の地とする場合、そしてこの作品のように具体的にリアル世界を作品に落とし込んでいく場合がありますが、お笑いを描くこの作品は、この『ミナミ』が描かれるからこそ自然と滲み出てくる味わいがあるように感じました。大阪出身の一穂さんの大阪愛を強く感じるこの作品、これから読まれる方には是非その味を感じていただければと思います。
そして、この作品で一番注目されるべきは『お笑い』の舞台が描かれていくところです。主人公の美雨が偶然に出会った男性、矢沢亨は『安全ピン』というコンビを相方の椿弓彦と組んでいます。物語ではそんな二人が舞台に立つ様子が描かれていきます。そこには、漫才ならではの掛け合いが鮮やかに描かれていきます。雰囲気感を理解いただくために漫才が描かれる幾つかの場面から少し抜き出してみましょう。
ー どーもー!
ー こないだね、一年前に振られた元カノから連絡あったんですよ。
ー へえ、そうなんや。別れた時、自分めちゃめちゃへこんどったもんなあ。
ー そうですね、カラオケで先輩が鳥羽一郎の『兄弟船』歌うの聴いても思い出して泣けてくるぐらいで。
ー 兄弟船でどんな感情移入したんですか?
ー いや、元カノもお兄ちゃんと弟おったなーって
ー うっす!ほいで、どんな用件やったん?
ー んふふ、それがねえ。
ー うわ、笑顔きっしょ。
いかがでしょうか?抜き出しではなかなかその味が伝わらないかと思いますが、物語ではこのような感じで漫才の掛け合いが描かれていきます。そんなお笑いの世界について一穂さんはこんな風にその笑いの根源を記されています。
『漫才やコントは生き物で、活きのいい日もあればぐったりしている日もある。その日の本人たちのコンディション、お天気、客層、ほかの出演者とのかね合い、いろんな目に見える要素と見えない要素が複雑な化学反応を起こして笑いを生成する』。
『お笑い』を冷静に分析する一穂さん。『漫才やコントは生き物』という表現にとても納得させられます。そんな舞台を初めて見た美雨はこんな感想を抱きます。
『今舞台にいる人たちからは「好きなことをのびのびやっている」雰囲気を感じる』。
自らの仕事である『受付嬢』と比較する中での正直な思いではあります。だからこそ、そこに惹かれる美雨の姿があり、物語は成り立ってもいくわけですが、一方でお笑いを提供する側には思った以上に自らを冷静に見る言葉も綴られます。登場人物の会話の中にお笑いの厳しい現実をこんな風に表現します。
『頭で考えて用意した笑いって、結局、人格からにじみ出てくるもんには勝たれへんのよな』
人を笑わせるということを成し得ていくための苦難の数々。それを見る側、見られる側それぞれの思いを物語は語っていきます。この作品は、『お笑い』の”お仕事小説”としての側面を描く物語でもあるのだと思いました。
そんなこの作品は、主人公の美雨が亨という存在をきっかけに垣間見ることになった『お笑い』の世界の舞台裏が描かれていきます。そこには、自らの『受付嬢』としての人生に思い悩む美雨の揺れ動く胸中を映しながらさまざまな人間模様が描かれていきます。活き活きとした関西弁がテンポよくストーリーを引っ張っていく物語は予想外な人物の予想外な行動などを織り交ぜながら展開していきますが、基本的には特別に大きなことが起こるわけでもない日常が描かれていきます。そこに見え隠れする大阪ならではの泣き笑いの人生を描く物語がこの作品の魅力でもあるのだと思います。そんな中に美雨は、こんな思いを抱きます。
『人に見せたいものも、見せていいと思えるものも何もない、そんな人間だからこの人たちに引き寄せられてしまうのだろうか』。
『お笑い』の舞台裏、そこで関わる人たちの人生に入り込んでいけば行くほどに見えてくる思い。『三十というタイムリミットは、多くの男の人にとっての「賞味期限」』、そんな思いに苛まれながら生きてきた『受付嬢』としての人生を思う美雨は舞台というものに魅せられてもいきます。
『舞台は生き物だから。音楽でも演劇でもきっとそう。客席とステージ、この空間の誰ひとり何ひとつ欠けてもきょうの空気は生まれていないという熱。いくらでもどこにでも代わりはいる、取るに足らないわたしたちに、ひとときかけられる魔法』。
この作品では、『お笑い』の世界の外側にいた主人公の美雨が『お笑い』の世界に出会うことで体得していく人としての成長と、そんな美雨と関わりを持ったことで影響も受けていく『お笑い』の側の人間模様、そこにある人の泣き笑いの物語が描かれていたのだと思いました。
『今舞台にいる人たちからは「好きなことをのびのびやっている」雰囲気を感じる』。
『お笑い』の世界を知った主人公の美雨が、『お笑い』に生きていく人たちと触れ合っていく様が描かれるこの作品。そこには、泣き笑いの人生を生きる人たちの物語が描かれていました。大阪の街の描写がとても魅力的なこの作品。『お笑い』の舞台裏に”お仕事小説”を見るこの作品。
まさしく悲喜交々なストーリー展開と、物語中に登場するネタの塩梅に一穂さんの上手さを見た、そんな作品でした。
Posted by ブクログ 2023年08月22日
08月-11。4.0点。
あるコンサートで、バイト係員と目が合った主人公。バイトはお笑い芸人だった。なんのかんので友達になり、シェアハウスに転がり込むことに。
面白い。一気読みした。お笑い芸人の女装役のモデルが、凄く良い。また、ただの恋愛ものにしなかったのが秀逸だと思った。
Posted by ブクログ 2023年07月13日
初めて一穂ミチさんの作品を読んだが、情景描写の表現がとても綺麗で爽やかな気持ちになる。登場人物たちの会話のテンポが良すぎて非常に読みやすかった。
Posted by ブクログ 2023年07月05日
葉月がもし10代だったら亨の手を取ったのかもしれない。30歳の葉月には見える未来が現実的過ぎて、そこに夢を託せなかった。その気持ちは凄くわかる。若いからこそ持てる情熱と無謀さ。そこの温度差が若い亨には分からない。
ぼんやりと流されるだけの主人公の心が強くなって、自分の人生を楽しもうとスタートを切って...続きを読むいるのが微笑ましい。「どんな暗闇に落ちようとも、笑っていてやる」と言った主人公の強さを思う。
人生、パラシュートなんて誰も持っていない。笑った者勝ちなのだ。
Posted by ブクログ 2023年06月16日
ありそうだけど、いや、ないでしょう…という設定だが、面白かった。
そもそも、短編集だと勝手に思っていたが、普通に長編。
内容的には読みやすいけれど、実は読み応え抜群で、読後は人間関係の深さを考えさせられている。
Posted by ブクログ 2023年04月15日
美雨と享と弓彦の奇妙で穏やかな関係。そのゆったりとした空気感がそのまま漂う本でした。
大きな出来事が起こる訳でもないですが(第4章でちょっとあるかな)美雨と安全ピン、さらには郁子さん、マコちゃんとの関係性がすごく心地よかったです。
冒頭の一文が好き。
Posted by ブクログ 2023年05月08日
最初は、何の話だろと思いながらだったけど、だんだん引き込まれて、シェアハウスの人たちと弓彦くんが好きになっていった。古い家も幽霊も怖いし、こんな不規則な生活の人たちと、私は暮らせないけど。でも楽しかった。
亨と美雨の関係はとても気持ちがいいけれど、もしかしてこれから恋愛関係になると、どうなるんだろう...続きを読む。亨の飄々とした感じにのっていければ、同じ感じで発展するのだろうか。
Posted by ブクログ 2023年03月21日
読むのに時間がかかった。最初のうちは
登場人物の誰にもそれほどの愛着を感じなかったから。
3章の『あたらしい夏』から
だんだん登場人物の、背景が出てきて、
どんどん読み進めれるようになった。
本当に狭い世界、
何かが大きく変わるわけでもなく
板の上を生きていく
お笑い芸人てすごいなあ
やっぱ...続きを読むり頭いいのかなあ
人を笑わせながら屈折したものがあるのかなあ
ひさしぶりに劇場でお笑いを見たいと思った。
通う人の熱に羨望の気持ち
千冬さんや浅田さんを見て
そうそうOLも捨てたもんやない
でも美雨の働いてきた、女性の使い捨てみたいな
会社はきっと先は長くないぞと思った。
いや、滅べばいいと思った。
自分も大阪に住んでいるので
路線も出てくる地名も知っていて嬉しい。とはいえ雑多なミナミはコロナ以降ほとんど行っていない。
行きたいな
印象に残ったセリフ
『なんでもなく生きていくのが難しい、成長、目標、何かキラキラしたものをまとっていないと怠け甘えの烙印を押される
上昇し続けられない人間は、地べたを這いするしかないという極端な二択の中で、女性が輝くとか
夢を追うのに、年齢は関係ないとかいうキャッチフレーズを聞くたび、私の頭にはいつも民家のクリスマスイルミネーションが浮かんだ。
窓辺に電飾を吊るし、Merry Xmasと外に向けて掲げるそれって誰のため?』
夏子の元ネタにもびっくり
あと、作中に出てくるネタも作者が考えたのかな
面白かった!
Posted by ブクログ 2023年03月09日
一穂作品初めて読んだ
この作家も私のリストに加えようと思った
読みたい作家がどんどん増えていく
こんな夢見たいな出会いがあるのだろうか
しかも、こんな舞台が
この作家の素晴らしさの原点かもしれない
この続きはあるのだろうか
読んでみたいような
Posted by ブクログ 2023年02月18日
「聴こえない歌」「騒がしい家」「新しい夏」「美しい雨」
4章で構成された長編小説。
舞台は大阪。
日々を持て余す様に生活していた一流企業の受付嬢・29歳の美雨。
『安全ピン』の名で活動する売れないお笑い芸人・矢沢亨と相方の弓彦。
彼らの愛おしくも切ない物語が瑞々しい筆致で描かれる。
冒頭の運命...続きを読む的な出会いから、ドラマティックな展開を予想するも、良い意味で裏切られる。
さり気無く相手を気遣い、笑いに紛れ込ませる様に本心を言う。
友達でも恋人でもなく人と人としての繋がりが心地良い。
波乱万丈ではないからこそ生の実感を感じる一冊。
Posted by ブクログ 2024年04月07日
不思議な雰囲気の小説。
崖っぷちOLとお笑い芸人たちの物語なんだけど
主人公美雨のふわふわした性格のせいか
享のつかみどころのない雰囲気のせいか
良い意味で生々しくないかんじというか。
日本の大阪の話なのに、どこか全体的に遠い世界の話を読んでいるような感覚に陥りました。
登場人物みんな優しくて...続きを読む
距離感の程良さと関係の曖昧さが
心地よかったです。
空飛べるんじゃないかって
傘持って高いところから飛び降りてた
小学校時代を思い出した。
Posted by ブクログ 2023年11月09日
心が温まる本だった。亨の何気ない言葉がすっと入ってきて、亨はそんなつもりはないかもしれないがなぜだか励まされた。コンビの切っても切れない独特な関係性やコントの登場人物への思い入れなど、新しいことを知れたように思う。
Posted by ブクログ 2023年11月05日
感情移入はできなかったけど、大阪弁のテンポのよいしゃべりは読みやすくて良かった。お笑い芸人ならではの独特な発想やたとえ、返しはおもしろかった。
Posted by ブクログ 2023年07月25日
情景説明の言葉が多めな感じがしたけど、だからといって悪いわけではなく、個人的にそう感じただけで。
軽いタッチでいて、なかなか印象に残る話だった。
亨と美雨が、わかりやすい展開で恋愛関係になるのを読みながらずっと期待してしまいました…
Posted by ブクログ 2023年07月08日
企業の受付嬢として勤める29歳女性がお笑い芸人たちとの暮らしを描いた小説。30歳の退職リミットを前に流されながら上手く流れて行く主人公でなぜかさわやかな読み終わりでした。
Posted by ブクログ 2023年06月29日
爽やかな青春ドラマを見た感じでした。大きな出来事があるわけでもなく、淡々と話は進む。変化のない日々を送っていた美雨にとっては不思議な世界と触れて一歩前に踏み出せたとは思うけど、そこに何か共感できるものはない。夏子へのこだわりがわかりにくく、葉月さんもよくわからない。テンポや文章はよかったので、面白く...続きを読むは読めました。
Posted by ブクログ 2023年06月06日
6/5
会社の受付嬢・美雨とお笑い芸人・享との刺激がある日常的な物語でした。
男女だと恋愛系かな?と思ったけど、文章からその感じは良い意味でありませんでした。
そこは読書が好きなように想像できる、隙のある本だったなぁと思いました。
この本読んでから、テレビに出る芸人さんは色々考えてるんだなーと思い...続きを読むながら見てます。
多分、芸人さんはそんなこと考えずにみて欲しいと思いますが笑
Posted by ブクログ 2023年05月27日
お笑い芸人とアラサーの微妙な感情を映す小説。最後の1人の登場人物によって心の中身がガラッとオープンになっていく。その伝わり方が少し面白かった。