阿良々木暦と羽川翼の出会った化物語始まりの記念日ということで、レビュー書かせていただきました。
物語シリーズ第二弾『傷物語』。
化物語の前日譚であり、化物語シリーズ始まりの物語。
映画化決定してから三年越しで映画化され、週末興行3位、興収4日間で3.2億円越えを記録した化物語シリーズ内でも
...続きを読む伝説の作品。
主人公の阿良々木暦が羽川翼と出会い、怪異に初めて出会い、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードに襲われ、忍野メメに出会い、阿良々木君の友達を作ると人間強度が下がるという考え方が氷解した、阿良々木君が吸血鬼化する原点となったお話です。
こだわりがなければ刊行順ではなく、この作品から『猫物語(黒)』→『化物語』と読んでいく方が良いかもしれませんね。
最初の4ページぐらいにわたって書かれるスカートが捲れるシーンの描写は秀逸。化物語シリーズに出てくるいつもの主要人物はあまり登場しないためボケやツッコミの種類が増えずいつもの会話中の漫才が不完全燃焼気味でしたが、その分派手で迫力あるバトルシーンが増えたり、個性の強い吸血鬼の専門家3人が登場したり、羽川翼のお色気シーンも濃密に描かれていました。
これだけこの物語でヒロインしていた羽川翼が、阿良々木暦に選ばれなかったのが悲しいぐらいです……
そして忍野メメの一挙一動がカッコいいです。これはもう惚れる勢いです。
また、この物語のテーマは楽しい会話劇や軽妙な言葉遊びとは一転して深く考えさせられるものでした。正義とは何か、ヒーローとはどういうものなのか、相手を助けるとはどういうことなのか、物語的にはバッドエンドなのですが、それでも最後まで魅せられました。
名言や格言のようなものも化物語シリーズの中で一番多く、胸に突き刺さる言葉や心に残る言葉がスゴいたくさんあったような印象なのですが、それも重いテーマだったからかもしれませんね。
個性豊かなキャラクターの会話劇や軽快な言葉遊び、そして二転三転するストーリーで全体的にテンポ良く、最初から最後までどっぷり物語シリーズの世界観に酔い浸れます。
この物語はのちの『猫物語(黒)』『傾物語』『終物語(中)』『業物語【うつくし姫・あせろらボナペティ・つばさスリーピング】』に深く繋がってくる話なので、これらの物語を読むときは、読み返してみるとより楽しめます。