2021年へ!時代を貫く親子三代の物語。
スミダスポーツで働く泰介は、認知症を患う80歳の母・万津子を自宅で介護しながら、妻と、バレーボール部でエースとして活躍する高校2年生の娘とともに暮らしている。あるとき、万津子がテレビのオリンピック特集を見て「私は・・・・・・東洋の魔女」「泰介には、秘密」と呟いた。泰介は、九州から東京へ出てきた母の過去を何も知らないことに気づく。
51年前――。紡績工場で女工として働いていた万津子は、19歳で三井鉱山の職員と結婚。夫の暴力と子育ての難しさに悩んでいたが、幼い息子が起こしたある事件をきっかけに、家や近隣での居場所を失う。そんな彼女が、故郷を捨て、上京したのはなぜだったのか。
泰介は万津子の部屋で見つけた新聞記事を頼りに、母の「秘密」を探り始める。それは同時に、泰介が日頃感じている「生きづらさ」にもつながっていて――。
1964年と2020年、東京五輪の時代を生きる親子の姿を三代にわたって描いた感動作!前作『あの日の交換日記』が大好評!!いま最も注目を集める若手作家・辻堂ゆめの新境地となる圧巻の大河小説!!
Posted by ブクログ 2023年02月21日
夫婦愛や家族愛が描かれた素敵な作品でした…ではなく、それに加えて愛のない夫婦や家族も描かれていてとにかく重厚な作品でした。
前半から中盤にかけては本当に辛い。
それでも前に進むことを諦めなかった万津子さんの強さと愛が計り知れない。お母さんって本当に強いんだなっておもいました。
読んでいて本当にしんど...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月16日
18こういう二つの時代を行ったり来たりするのは混乱して上手く読めないけど、本作は時代背景と都会と地方の格差、男尊女卑のカタチなどをうまく表現出来ていてとても母子の関係性が理解できた。近年の様々な生きにくい障害も、克服できる未来への姿として描かれていて、悲惨な過去と希望の未来との対比が前向きになれた。...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年12月01日
途中までは先の読めない面白くもない展開で、主人公も魅力なく挫折しそうになったけど、後半からは怒涛の展開で最後まで一気読みしました。主人公を含め人物描写をしつこいぐらい丁寧に書いたことで、後半の展開に深みを与えていたのかと思うと、作者の力量に感服です。母親が立派だし、奥さんもステキ、でもそれ以上に娘が...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月23日
現在の息子視点と若い頃の母視点とが
交互に進んでいく。
前半は、現在の息子の態度と、昔の母の置かれる理不尽さにイライラが止まらなかったが、
後半から付き物が落ちたように、イライラが涙に変わっていった。まさか、この息子に涙するとは!
自分も昔から読書しながら電車に乗ろうとすると
乗り過ごしたり、忘れ...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月21日
この泰介とやら、家庭でも会社でもどうしようもないね。なるほど父親の満は、輪かけてクズ親父なわけか。お前ら、時代を行き来してどこまで万津子を苦しめるんじゃ、アホタレ!まあ昭和のDV亭主はおっちゃるとして、満の方は俺と年が重なるだけに情けなくなる。と、これがもう天使のような娘に導かれて己と向き合い省みる...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月22日
中学卒業後、集団就職で紡績工場で働いた女性(万津子)とその息子(泰介)、孫娘(萌子)の三世代にわたる物語。万津子は工場の寮対抗バレーボールでは、エースとして活躍していた。19歳で妻になり、21歳で母親になる。炭鉱で働く夫は、妻や息子に暴力を奮うようになり、炭鉱事故で亡くなる。万津子は実家の農家で手...続きを読む