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全世界で大ヒットした中国ハードSF!
本作は、文化大革命で物理学者の父が殺害されるところを、娘の葉文潔(イエ・ウェンジエ)が目の当たりにするシーンから始まります。葉文潔は、科学者として最後まで革命に抗った父が惨殺されたことから、人間に失望し、先の見えない日々を送ることに。
そんな彼女は軍事基地の極秘プロジェクトにスカウトされ、基地で働く中で、人類の命運を握る大きな決断を下すことを決意します。
それから数十年後の現代中国。研究者・汪淼(ワン・ミャオ)は、著名な科学者が連続自殺している事件に巻き込まれます。やがて、葉文潔の関わっていた極秘プロジェクトと、連続自殺事件との関係が明らかになり、汪淼の生活は一変してしまうのでした。
SF以外にもさまざまな要素を含んだ骨太なストーリーと、時空や世代を飛び越える壮大な世界観が本作の魅力です。絶望に打ちひしがれる汪淼を、刑事・史強(シー・チアン)が励ますシーンにはヒューマンドラマ要素があり、謎が謎を呼ぶ展開にはサスペンス要素があり……と、まるで超大作の映画を観ているような気分で読み進めてしまいました。
筆者はあまりの情報量の多さに、物語前半部分はついていくのに必死でした(笑)
しかし、葉文潔と汪淼、それぞれの事件がつながり始めてからは、真相が気になって、ページをめくる手が止まりませんでした。
圧倒的スケールで中国SF小説史を塗り替えた、読み応えのある本作。ぜひご一読ください。