Posted by ブクログ
2021年08月31日
まずとりあえず、めちゃ怖かった。
書類を偽造し、なりすまし役を手配し、他人の土地を勝手に売り払う詐欺師集団、地面師。
土地に限らないが、複雑な書類のやり取りを伴う交渉契約実務に携わったことがある人ならわかるだろう。
初の取引先からのビッグチャンスがもし偽造書類による詐欺だったら、、、そしてそれを...続きを読む見抜けなかったら、、、これだけでも十分ホラーのはず。
元々は、戦後のドサクサ期、空襲で役所の登記書類が焼けてしまった頃にでたらめな権利の主張や不法占拠がまかり通った。その結果は都内の様々な場所に爪痕を残す。そこで生まれた地面師詐欺は現代にまで受け継がれている。
ただ先祖から相続した土地を漫然と抱えている独居老人にとって、自分の登記簿がどうなっているか気にかけているわけもなく、また、買い手にとってもその老人の外見などわかるはずもない。
役所にとっても、必要書類が何かはわかっても、それが偽造かどうかを見抜く目まで養われているとは限らない。簡単な話、運転免許証が偽造されていても、チェックポイントを知らなければあっさり本人確認を完了してしまうだろう。
電子化の遅れと高齢化、ある意味現代日本の病巣を昭和の亡霊たちが食い荒らしている、それが地面師詐欺の構図ではないだろうか、、、。