Posted by ブクログ
2016年09月03日
○研究不正を国の立場から暴く、勧善懲悪・公務員ミステリー
文部科学省に実在する「研究における不正行為・研究費の不正使用に関するタスクフォース」を舞台に、主人公の水鏡瑞希と、澤田・南條・牧瀬蒼唯の4人チームが、研究不正に立ち向かっていく。
水鏡・澤田はいわゆる「コッパン」。国家公務員のうち、一般職...続きを読むと呼ばれる存在だ。南條・牧瀬は総合職。その水鏡が、南條・牧瀬も圧倒するほどの推理力。探偵事務所でアルバイトをしていただけに、矛盾をつくのがとてもうまい。
理由のない否定はしない。
研究不正の暴き方はスマート。
最初の事件は、丘の上にある仮設村を抗議の意味で立ち退かない被災者・伊佐治。しかし瑞希は伊佐治の言動の矛盾をつき、罠にはめ、無事に課題を解決した。
瑞希の言動に、大の大人がみなぐうの音もでない。防いだと暴かれたと同時にそそくさと退散する。金ほしさにねつ造を行う、悪徳企業や研究者に立ち向かう姿に、総合職も感化されやがて4人のチームが出来上がっていく過程は読んでいて心地よい。
ちなみに表紙絵を同級生が書いている。