Posted by ブクログ
2018年12月16日
どうしてこの人の文章はこんなに素直に入ってくるのだろう?
特徴的なところがある訳では無い。朴訥と言うか、ごく普通の言葉を選んで淡々と素直に綴られた文章です。
物を買ったり持つことに頓着しない。雨の日に傘を持つのが嫌い。そんな似ているところもあれば、私とは全く違う所も多くあります。でも、この人が語ると...続きを読む心の中で反発は起こらず、そんな生き方、考え方もあるんだと素直に受け入れてしまうのです。
何かを強く批判するという事が無いせいかもしれません。ノンフィクションライターゆえのきらびやかな人々との付き合い、旅人としての現地の人々との触れ合い、そしてごく普通の社会人としての交友関係、いずれにおいても接した人達に感謝を忘れない(少なくともネガティブなことは一切書かない)そんな沢木さんの姿勢のせいかもしれません。
この本の中で沢木さんは”ただひとつ、本を出すに際して変わらずに守りつづけてきたことがあるとすれば、どんなものであれ、決して「手を抜かない」ということだった。”と言ってます。物書きとして当然のことかもしれませんが、それが本当に出来ているところが凄いのでしょうね。