Posted by ブクログ
2019年10月02日
数カ月間、太陽が昇らない暗闇の氷の世界、北極。そんな土地を、GPSや衛星電話、地図、コンパスなど文明の器具を使わずに旅をしたい。結婚し、娘も生まれたばかりで、こんな決断をすることにあきれつつも、著者の冒険心に感動。世界の果てを見たいという若い頃からの思いが著者を動かす。
本書は、極夜への冒険を目前...続きを読むに控えて、様々な準備に四苦八苦する著者の行動の記録。ちなみに本番の極夜記は本書より前に発表されている。
まずは何度も現地を訪れて、準備および旅のシミュレーション。現代の最先端ツールを自ら禁じたため、方角と現在地を知るために六分儀の使い方を学ぶ。荷物を運ぶための橇を木材から自作し、その橇を引っ張る犬を調教。現地で狩猟して、干し肉や毛皮を作ったり、旅の予想コースに物資を先行配置しておく。
冒険前の準備だけで、相当な見せ場だらけで、過酷な現場。カヤックに乗っていてセイウチに追いかけられる。貯蔵していた食料を盗まれる。動物愛護団体が絶句しそうな犬への調教もある。本番前に遭難しそうなエピソードばかり。
そんなこんなで準備完了、あとは極夜の時期を待つだけ。しかし、その直前に意外な展開。ここからどうやって「極夜行」につながるのだろうか。そんな疑問を感じながら、本書は唐突なエンディング。