読み物として面白く、
国際情勢が理解でき、
経済学も学べる。
ドルに焦点を当てることで、
これほどまでに
世界経済が見えてくるとは。
本書の優れた点は、
ドルを主役にして世界を回りながら、
それぞれの国が抱えている経済問題を
浮き彫りにすることです。
と同時に、アダム・スミスの分業論や
デヴィッド・リカードの比較優位論など
経済学の基礎理論が具体的に学べることです。
(監訳者:ジャーナリスト・池上 彰)
グローバル経済を動かし続けているドル。
その紙幣の半分はアメリカ国外で流通し、
世界を巡るドルの大半は中国の手にある。
ドルが世界を渡り歩くとき、
そこでは実際に何が起きているのか?
私たちの生活にどんな影響を与えるのか?
なぜ中国が世界最大の製造国で、
アメリカが世界最大の消費国なのか?
自由貿易は本当にいいことなのか?
なぜ国家は地球の反対側の国との架け橋を築こうとするのか?
テキサスの郊外で買い物に使われた1ドル紙幣は、
中国の中央銀行、ナイジェリアの鉄道、イラクの油田へと渡る。
そうしたドルの動きを追いながら、エコノミストのダーシーニ・
デイヴィッドが日々のニュースの背後に潜む経済的な事実を
明らかにしていく。
グローバル化した世界の仕組みはどうなっているのか。
本当に権力を持つのは誰で、それが人々に何をもたらすのか。
それらがいま解き明かされる。
Posted by ブクログ 2019年11月28日
邦題より原題『The Almighty Dollar(全知全能なドル)』の直訳のほうがしっくりくる。本書はドルの行方を追うことで世界経済のいまを読み解く。現在ドルは世界最強の基軸通貨であることには間違いないが、ドルを視点軸にすると経済のみならず多分に政治や軍事など思惑や覇権争いが蠢く様が見えてくるの...続きを読む