Posted by ブクログ
2019年01月10日
中校一貫の私学で中学から弓道を始めている主人公にシンパシーを感じて読み始めました。
しかし、中高の6年間でやめてしまった自分とは違って、人生を通して弓道と向き合って行こうとする主人公の素朴かつ真摯な姿勢が眩しく、何とも言えない読後感。共感と疎外感の波状攻撃でした。
弓道小説として楽しもと思うと、...続きを読むストーリー上とってつけた感のあるミステリー要素ですが、弓道に触れたことのない読者にとっては程よい緩急ポイントになっていてちょうど良いのかなとも思います。
個人的には第5話の「打起こし」が響きました。
凜目線には中高時代の自分が立っていて、吉村先生の目線には今の自分が立っている。うまく言えないけど、部活の指導者の思いをわかりやすく表現してくれています。同時に、本気で競技に取り組む生徒と、青春の1ピースとして部活に励む生徒の心情対比もシンプルに描いていてじんわりきました。
トータルとして懐かしみつつ楽しんで読めた本でしたが、竹弓のくだりはなんだかもやっとしています。いや、それはないでしょって。