Posted by ブクログ
2018年12月13日
ある日、異世界に転移する。
ある日、異星人と遭遇する。
そういう誰もが夢想するようなことが現実に起きたら。
ペルーで侵略者によって原住民たちがプランテーションに駆り出され、そこから逃げる時に森の中に別れた同胞がいた。逃れた原住民は文明と出会い、近代化し暮らしながらも別れた同胞を思っていた。そ...続きを読むうして100年後に原住民が現れた。同胞を意味するノモレという言葉が通じるかれらは、かつて別れた同胞なのかもしれない。
という、なんだろう、ある日突然異文化交流する場合のわけのわからなさ、そしてノンフィクションゆえのオチのつかなさが見事。
原住民をそのままにしておけない、という現実。もう人の手の入らない森は存在しえないのではないかと思う悲しさ。かつて持っていて失ったもの。あるいは文明化により得たもの。さまざまなことを思うきっかけになる。
ただし、実話怪談を読んでいて「そして誰もいなくなった」的な描写があると、実話なのに誰が語ってるんだよ!って思ってしまう私には、語り手の顔が見えないこの本は苦手である。題材がものすごい好みであるだけに余計そこが気になる。なぜ気になるかというと、小説のような語り口に作為を感じてしまうからだ。
私は「どんなことがあったのか」よりも「ある出来事があり、それに対して著者がどう感じたか」を知りたいタイプの読み手なのだと気づいた。
どこかのレビューにあったけれど、映像では素晴らしかったのだろうな。