Posted by ブクログ
2021年03月20日
長兵衛天眼鏡の第二弾
江戸の巷に起こる様々な揉め事を、
老舗眼鏡屋主人・長兵衛と、小網町の目明かし・新蔵が人情に支えられた知恵と、深い洞察力で解決してゆく。
物語毎に紡がれる
珠玉の言葉達が刺さる
◯蒼い月代
巨額の持参金を目当てに、大店の米問屋から婿を取った小網町の白扇屋・吉野家の当主・四五...続きを読む六とその娘おそめは、お預けにしている床入りを餌に無理難題を吹っかけ、賄い女との不義を画策するが…
人は、話をつなぐ度に、
我知らず話を盛るのが常…
◯よりより
「栴檀は双葉より芳し」
長崎から戻った息子・敬次郎は、すっかり「オランダかぶれ」となっていた。
行く末を案じた長兵衛は、キセルの政三郎の口利きで研ぎ師・研ぎ常兄弟の元へ修行に出す。
合理主義の対極とも言える指導…。
一言の指示もなく、何日もひたすら放っておかれた敬次郎は…
長崎の小料理屋「びーどろ」の女将の餞別といい、研ぎ常の指導といい、現代の若者達ではとても受け入れられる事はないだろう。
その是非はともかく、
崇高な物事の伝達には、受け取る側の資格が問われたという事だろう。
敬次郎もまた栴檀で良かった…
◯秘伝
小網町の鰻屋・初傳の主人・傳助(五十二歳)。
その三軒隣の薬種問屋・柏屋の主人・光右衛門(六十一歳)。
その道一筋、名人の域に達した男二人の生き様と幕の引き方。
「明日は味方」
そのエッセンスとは…
◯上は来ず
上は来ず
中は朝来て昼帰る
下は夜来て朝帰る
下下はそのまま居続ける
十年に渡り、室町の冬場の夜回りを請け負う万年橋の鳶宿・豊島亭の親方・安次郎との出会い。
時を経て…
再びその男の名と遭遇したのは、
長兵衛が長年に渡り贔屓にしてきた芸妓・純弥の為に尽力し、その望みを叶えてやったという満足感の中だった…
お座敷遊びが男の夢などとは爪の先程も思わないが…
「上は来ず」
肝に銘じよう。
◯湯豆腐牡丹雪
新蔵の強い勧めで、武蔵野は飛鳥山の名湯・鷹の湯へと出掛けた長兵衛達は、
極楽の湯と、絶品の湯豆腐、至高の按摩に酔いしれるが、その真夜中…
なんと「騙り」の嫌疑をかけられ村の自身番の元に引き出される。
村田屋の手代頭を騙った与四郎という男の真実は…
その湯豆腐、
食べてみたいなぁ…
◯突き止め
ろくでなしの母親と、その母に我儘放題育てられたバカ息子は、働き者だった亡き父親似の娘・えみにタカリ続ける。
度重なる火の不始末から施設送りとなった母が、えみの夫・新三郎にねだって買った富くじは…
珍しく、
長兵衛・新蔵コンビの出番は殆どなし。