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いまだITスキルに大きな格差があるインド。学校では上位カーストの生徒がマウスとキーボードを占領している。「これこそまさに、イノベーションにうってつけのチャンスだ。1台のパソコンに複数のマウスをつないだらどうだろう? …そしてすぐに〈マルチポイント〉と名付けた試作品と、専用の教育ソフトまで作ってしまった」。しかしその結果は… 「ただでさえ生徒を勉強に集中させるのに苦労していた教師たちにとって、パソコンは支援どころか邪魔物以外のなんでもなかった。…テクノロジーは、すぐれた教師や優秀な学長の不在を補うことは決してできなかったのだ」。こうして、技術オタクを自任する著者の、数々の試みは失敗する。その試行錯誤から見えてきたのは、人間開発の重要性だった。ガーナのリベラルアーツ教育機関「アシェシ大学」、インド農民に動画教育をおこなう「デジタル・グリーン」、低カーストの人々のための全寮制学校「シャンティ・バヴァン」などを紹介しながら、社会を前進させるのは、テクノロジーではなく、人間の知恵であることを語りつくす。
...続きを読むPosted by ブクログ 2021年07月31日
Microsoftで働いて、その後インドのms研究所を立ち上げ多くのプロジェクトを行った著者による開発経済学寄りのエピソードを交えた学書。
翻訳ではないのでスラスラと読めた。
テクノロジーやシステムを与えただけでは問題の根本が解決しない難しさを具体のエピソードを基に記述しているので説得力があって分か...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月21日
元マイクロソフトのエンジニアである著者は、インドでの教育・開発支援にかかわった経験から、ソリューションの援助よりも先に、心(意図)、知性(判断力)、意志(自制心)を備える受け手がまず必要だと説き、テクノロジーを投入さえすれば、自発的に活用されて生活が改善するという考えに批判を加えている。
ここで批...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年08月08日
学生時代に輪読したカステルを思い出した。「情報技術と社会の相互作用」という訳を多用した記憶があるが、その表現だとなんだか抽象的でピンと来ないが、本書を読めば、「あ、そういうことね」と合点がいく。学生時代の自分に読ませてやりたい。本書の主張は、社会問題のみならずビジネスシーンでも思い当たる節がある。...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年06月25日
マイクロソフト・リサーチでキャリアを重ね、今ではミシガン大学の准教授になっている方による、貧困を救うためにはテクノロジー一本槍じゃダメなんだ、という主張。
読み始めた時は、もっとテクノロジーよりの細かい話で、「こういうところを改善すれば…」的な提言でもあるのかしら、と思っていたのですがさにあらず。前...続きを読む
Posted by ブクログ 2017年02月05日
書きたいこと、いっぱいあるな。
まずはやたらICT導入とか言っちゃって、人の予算削ってまで機械にお金注ぎ込む能無し自治体へ、爆弾のように投げてやりたい。
といっても、そんな能無し野郎どもはこれを読むだけの能力もないかも、だけど。
翻訳文で、かなり厚いよ。
とはいえ、4分の1は参考文献と原注と索引だけ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年12月15日
テクノロジーは貧困層の生活を豊かにする万能策なのだろうか?
これがこの本の大きな問いである。そして著者はこの問いに対して「No」と言い、結局のところ、テクノロジーを利用する人そのものをアップグレードすることが必要であると主張している。
この本の大きな意義は、テクノロジーの役割を再定義したことにある...続きを読む
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