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本書は江戸時代の色刷木版書「薄様色目」を復元する形で、和紙を植物で染め、王朝時代の華やかな襲 (かさね) の色彩を現代に甦らせたものです。加えて「源氏物語」を代表する王朝文学や万葉集などに登場する色の記述を取り上げ、当時の風俗、文化をわかりやすく説明し、現代の京都、奈良の風情にもかさねて味わうことができます。
『王朝のかさね色辞典』序文より (吉岡幸雄)
かねてより「かさね色」を集成した書籍を出したいという想いがあったので、『薄様色目』を底本に、『かさねのいろめ』を参考にして、二百四十通りのかさね色をいずれも伝統的な植物染で再現したのである。
たとえば桜なら二十五種類もの説を披露している。これをもとに私なりの解釈も加えて、現代にも通じるかさね色の配色の妙を収載した。
その季節への憧憬の結晶のような「かさね色」は、現代に通じるもので、近代以降、さらにいえば高度経済成長以降、色彩が自由ふんだんに得られる現代において、自然への崇敬や自然との共生の心を見失いがちだった日本人への直言 (メッセージ) ではないかと思うのである。
Posted by ブクログ 2012年12月29日
『日本の色辞典』、『源氏物語の色辞典』に続く色辞典、第3弾。
前2冊同様、著者らが染めた色の辞典である。
この本では、布ではなく、紙を染めている。和紙は布より染まりにくく、繊維も切れやすい。が、元本としたのが『薄様色目』(1812年)という古書であり、薄様は手紙やそれを包む和紙を指すため、和紙で再...続きを読む