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世界はしるしに満ちていて、もろく、美しい――。『春の庭』で第151回(2014年上期)芥川賞を受賞した柴崎友香の傑作!
30歳を目前にした会社員・果絵と、その恋人、友人、同僚、居候らが大阪の街を舞台に織りなすゆったりとしたドラマ。祖父の死、占い、ヒーリング、UFO、宇宙人……。日常の中にごくあたりまえにあるいくつもの見えない「しるし」が、最後に果絵にひとつの啓示をもたらす。繊細で緻密な描写力によって、世界全体を小説に包みこむ方法を模索してきた、純文学の世界で最も注目される作家の集大成的作品です。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
「なんにもないことが悩み、などと言ったら、きりちゃんに笑われるやろうなと、ふと思った。なに言うてんの、って。なに言うてんの。なにもないって、不幸や深刻な問題がほしいわけじゃないねん。わたしは、頭の中できりちゃんの声に向かって説明した。そういうものじゃなくて、もっと、自分が確かだと思えるような、基準み...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年04月18日
神様は信じてるけどサンタさんは最初から信じてなかったし、神様は場合によっちゃとても胡散臭くて、だから、神様を信じてます、神様のようにあなたをお慕いしております、といった時にもっとかっちりくる言葉があると思ってた。
「もしかして神さまに祈ったり願ったりするのは、こういう感じかもしれないと、思った。どこ...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月07日
30歳になる女性・野村果絵の揺れる心。
日常の何気ないことを観察している冷静な視点。
恋人はいるが結婚の予定はない。
職場の先輩の薦めで、ライフカウンセリングの先生の所に行くと、ヒーリングでマイナスエネルギーを調和して貰ったらしく、熟睡して肩こりが軽くなるが、1万5千円するのでそれ以上通う気にはなれ...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年08月01日
30目前のOLとその彼氏と友達たちの何げない毎日。コレと言って何かが起こるわけではなくて。だけど何も起こらないわけでもなくて。このままで自分はいいのだろうか と思ったりするけど、だからって何か変えようと思うほど今に不満があるわけでもない。そんな毎日をとても丁寧に書いている。うん こういうの好きだな。...続きを読む
Posted by ブクログ 2009年10月04日
焦り。
答えのないことへの焦り。問い自体がなんなのかわからない焦り。
得体の知れないものへの期待と不安。
勝手な解釈をさせてもらえば、ことごとく分業化、効率化され、生の実感、生の充実を感じられないことからくる焦燥が見えないものへの期待感を高めるのだと思う。
もっと自然に、もっと土に、もっと原始に近...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年12月28日
・わたしは祖父が死んだ実感がないままだったが、火葬場で職員が枦の扉を閉めた時やっと、わたしのおじいちゃんを燃やさんといてよ、と思った。(25)
・ほんで死んで会われへんようになっても、それまでとなにも変わらへんし、かえって考えるようになったから、おるときはおらへんかったのに、おらんようになったらおる...続きを読む
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