歯車が狂ったのはどこからだったろう。就職して三年目に先輩に失敗を押しつけられた、あの時だ。皆と同じようにやってきたつもりだった。結婚して子供もいるはずだった。なのに今の私は、常識さえ捨てれば、働かなくとも暮らしていけると知っている。純真でもなく、賢くも善良でもない。自分のしたことはいつか自分に返ってくるのかもしれない。でも……。心に問題を抱えた寂しがり屋たちが、懸命に生きるさまを綴った短篇集!
- ジャンル
- :
- 小説 / 国内小説
- 出版社
- :
- KADOKAWA / 角川書店
- 掲載誌・レーベル
- :
- 角川文庫
- 電子版発売日
- :
- 2014年02月28日
- コンテンツ形式
- :
- EPUB
- 対応端末
- :
-
- Lideo
- Win PC
- iOS
- Android
- ブラウザ
ユーザーレビュー
Posted by ブクログ 2016年09月01日
バラの名前だったのか、と何回読んでも思う。装丁もいいし、一編ずつの短さとそれぞれの完成度の高さ。私の理想の文庫本です。
Posted by ブクログ 2014年11月20日
久しぶりに読んだ著者の作品だが、何処か鳥肌が立つようなその構成や展開が印象的。フィクションでありながらリアルな感じがある。
Posted by ブクログ 2012年01月31日
誰もがありそうでありえない、そしてそんな「苦い」物語を集めた本。なんともいえない喪失感のようなものを味わうためか、定期的に読んでしまいます。結末はわかっていても何回も読んでしまう、そんな魅力が山本文緒の本にはあふれている。
Posted by ブクログ 2012年01月13日
人間の弱さ脆さがキリキリと伝わってくる。
自らが犯罪を犯してしまったわけではないのに、痛いくらいに共感してしまった。
わたしはどうしても女性の心情に立ってしまうので、ここに出てくる男性にイライラしてしまった。
言うまでもなく、女性が正しいわけではないのだけれど。
でもなんだか、みんな生きているなぁ。...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年12月31日
短編集。
どの話も身近に溢れる「罪」がテーマ。誰もが小さな嘘や不道徳な部分はあって、それを罪と判断するかどうかは法律だったり、道徳だったり、価値観だったり、、、そういった枠に当てはめ責任を感じてしまう人の弱さや、慣れによって悪いことをしている意識すら薄れてしまう人の欺瞞なんかが、心の奥のほうをつい...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年04月10日
日常の小さな罪をテーマにした短編集。
《1995年出版》
この人達は実在していた気がする。
90年代の東京のどこかで、
こうしてただ繰り返す日々を受け入れていただけの人達が。
今もきっと、人混みに紛れてどこかにいる。
そう思って安心した。
初読みは約10年前。今、30歳で再読。
話にポケベル...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年08月16日
日常の小さな罪をテーマにした短編集。小さな罪と言っても「ニワトリ」のお姉さんみたいに、しょうがないなあで済まされるようなものもあれば、「誘拐犯」のように取り返しのつかない事態に陥るものもある。
「百年の恋」や「ママ・ドント・クライ」は微笑ましさすら感じたがDV夫が出てくる「少女趣味」やストーカー話は...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年08月01日
ブラック・ティーというのは紅茶のことかと思ったら、バラの品種でした。
電車の網棚に置かれた、一抱えもあるバラの花束。
その意味は…。
短編集の最初の話。
“大勢の人間の中で、微妙な駆け引きや恋愛をするのが恐かった。期待して期待して、最後まで一本のバラも貰えないかもしれない人生が恐かった。”
山本...続きを読む
Posted by ブクログ 2014年05月11日
短編集。小さな罪について。弱くて嫌な普通の人達が多数出てくるんだけど、別れた恋人に執着してしまう元彼の話『留守番電話』、が1番キタ、、、アドバイスしてあげたい、気持ちはひじょーにわかるが、今すぐそんなことやめて連絡先を消し次に行け、と。。。とにかく筆者の描く人間像がホントにリアリティ溢れていていつも...続きを読む