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「辺境の人」に置き去られた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女らを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。第60回日本推理作家協会賞受賞作。ようこそ、ビューティフル・ワールドへ。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年03月24日
終戦後から平成の中頃までを、実際の出来事にも触れながら紡がれる女三代記でした。
語り部である三代目、瞳子が私と同じ頃の生まれで、誰か人伝に聞いた話のように読むことができ、社会情勢や価値観、暮らしなど移ろう時代を登場人物に想いを馳せて読んでいました。
特に一代目万葉の時代の話が、実家に伝わる古い話...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月30日
戦後不死鳥のように生き返り、猛烈に成長し、そして行き詰まる現代までの日本の歴史を、ある旧家の3代の女たちを主人公に書き上げた長編。あとがきにも記されてるけど『百年の孤独』などのラテアメ文学の影響がよく見て取れるので、マジックリアリズムがどんなのか軽く知りたいって人にもおすすめ。沢山の登場人物が出てく...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月03日
三世代に渡る一族の物語。なかなかの名作。鳥取の旧家の土着的な雰囲気あり、ミステリアスな雰囲気あり、と思えばコメディタッチな部分もあり、楽しめる部分は多い。三世代それぞれが生きた時代の日本社会の描写がいささか表面的な気はするが、世代によって移り変わっていく時代を書くということが主眼であり、それ以外につ...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年01月08日
桜庭氏の著作を読むのは、『少女七竈と七人の可愛そうな大人』以来で二作目となります。
最初に出会った桜庭さんの物語は、何とはなしに浮世離れした、幻想的な雰囲気をまとった作品という印象でした。そして、少しばかり官能的な要素も含まれていたように思います。
二作目であるこの物語は、あとがきによれば、著者いわ...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年12月09日
少女だったり青春だったりファンタジーだったりミステリだったりする山陰製鉄一族の近代現代記
まとめていうと「全体小説」だが便利すぎるので
時代小説を重ねた一家の歴史小説であるから
昭和の後半と平成の今の山陰地方であることに意味ある時代小説の結構
これを書いた後に『私の男』を書いて
そちらの方を賞として...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年11月27日
高校時代にいわゆるスケバンとして、不良たちの間で伝説的存在となり、その後大人気漫画家となった女性の生涯……って気になりませんか?そんな人物がこの小説には出てきます。彼女の名前は赤朽葉蹴鞠です。
上の話だけ聞くと、たとえフィクションでも「そんなやつおれへんやろ~」となると思います。実際、ライトノ...続きを読む
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