Posted by ブクログ
2015年07月06日
「感性の限界」高橋昌一郎
哲学思考ディベート。無色。
講談社現代新書。
「限界シリーズ」の3冊目では最も哲学的な命題、人間に関わる根源的なことがらについて取り上げられています。即ち、愛(行為)・意志(自由)・死(存在)の限界について。
誰にとっても最も身近な問題で、かつ考えても考えても答えのでない...続きを読む問題というのは、面白いんだけれども、面倒くさい。安直に逃げてしまいがちな命題です。
前二作同様、架空のシンポジウム形式で多くの異なる視座をもった出席者達のディスカッションを通じ、命題を切り開いていきます。
生理学者、神経生理学者、社会心理学者、行動経済学者、動物行動学者、認知科学者、ロマン主義者、行動主義者、実存主義者、進化論者、哲学史家、科学史家、フランス国粋主義者とフランス社会主義者、カント主義者、論理実証主義者、形而上学者(!)、急進的フェミニスト、会社員、運動選手、大学生…、
等々。
いろいろなセオリーや学史のつまみ食いなので、興味を持ったことはさらに自分で深めていくことができる、てつがくの入門書です。
また3冊通して読みかえしたい。
(5)
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以下メモ
行為の限界のパートに出てきた二重過程モデルについて。
システム1=直感的、素早い、無意識。
システム2=分析的、熟考する、顕在的。
計算機科学分野においては、ヒューリスティクス処理システム(システム1)と系統的処理システム(システム2)という用語が使われている。
問題点。人間は、理性的に判断すれば合理的と分かっていても直感的に判断した不合理な事柄に対して、”後付けの理屈”をつけて矛盾を軽減しようとする(認知的不協和)。
つまり、人間の行為には直感という認知バイアスによる限界がある、という論旨。