千年の愉楽

千年の愉楽

660円 (税込)

3pt

熊野の山々のせまる紀州南端の地を舞台に、高貴で不吉な血の宿命を分かつ若者たち――色事師、荒くれ、夜盗、ヤクザら――の生と死を、神話的世界を通して過去・現在・未来に自在にうつし出し、新しい物語文学の誕生と謳われる名作。

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千年の愉楽 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    購入済み

    圧倒的な物語力

    2014年04月14日

    物語の強度に圧倒された。

    「血」の持つ宿命に抗いながら翻弄される男たちと、その生と死を見守る語り部たる産婆。

    作者のいうところの「路地」、すなわちひとつの(被差別)部落の中で展開するストーリーがこれほどまでに広がりと深さと崇高さとエロスを持ち得るとは。

    登場する6人の男たちの魅力も...続きを読む

    1

    Posted by ブクログ 2022年09月03日


    全編通しバキバキに覚醒しており、水分が無くなるまで煮詰めた煮物の様な文体で脂の乗りまくった中上作品。本作以降に現れ始める“神話性”の様なものが、以降作品に強い魅力を加えていると思う。
    他作含め読み手を非常に選ぶのは間違い無い。

    0

    Posted by ブクログ 2018年02月19日

    本作品には鬼が宿る。大江健三郎や三島由紀夫など読んだ瞬間に圧倒的才能を感じさせる天才が稀に居るが中上健次もその一人であろう。彼が「路地」と呼ぶ所謂部落出身者の湧き出る熱情を血で綴るように中本の一統の5つの物語を紡ぐ。説明的な読者への配慮は一切なく濃密で息苦しい程の言葉の茨が読者を捉える。

    極めて優...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2016年12月05日

    ネットがこんなに発達していない時代、こういう本は読者一人一人の心の中の、誰とも共有されない深い深い部分にしまわれていたのじゃないかな。
    他人の感想が聞きたいし語り合いたい気持ちもするけれど、それをしてしまえば何かがすっと手の中から飛んで行ってしまいそう。
    だからどんなに狂おしく興奮した部分があったと...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2015年04月09日

    生と死、エロスとタナトス、あの世とこの世、文字と声、文学と物語…それらの混淆と対峙。10年ぶりに読んだけど、改めて名作。

    0

    Posted by ブクログ 2014年08月05日

    夏芙蓉の甘い薫りが漂うと金色の鳥が甘い蜜を吸いに来る。熊野の山は烏天狗が舞い、天女が羽を休めにくる。龍は天へと昇っていく。鶯の声、梟の声が聞こえ銀色の川が流れる。蓮の池の上につくられた浄土は路地という。四民平等に憤り竹槍で刺されるは落人狩りをした土民たちの再現か。千年もの長きに渡って受け継がれてきた...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2014年08月02日

    日本人ならこいつだ!!と久々に思えた傑作。
    この濃さがたまらなくよい。
    『カラマーゾフ~』一族の濃さも最高lvだが負けてない。
    路地という閉鎖空間ももちろんこの濃度をあげているが。
    人物は粗野なのに文体は精選、
    内容は血なまぐさいのに視点は常に冷徹。
    この対比が、切り詰めた空気を作っている。
    部落地...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2016年08月15日

    ★★★
    山にへばり付くような土地作られた”路地”は、昔は町への出入りも制限され、男たちは革をなめしたり土木仕事をするしかない集落だ。
    オリュウノオバはその路地のただ一人の産婆で住民の親世代は全員取り上げた。夫だった礼如さんは寺の和尚がいなくなってから在宅の坊主になった。坊主と産婆の夫婦である二人は、...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2013年05月13日

    この世の彼岸、生と死がただ循環する路地世界の中で、血脈の時を越えた年代記であり、それを見届ける聖の物語である。その異界いや新世界に一読者として浸るのはまさに愉楽であり皆苦でもある。新たな小宇宙を創り出す著者の力量には感服です。

    0

    Posted by ブクログ 2011年11月24日

    密度の詰まった濃密で圧倒的な文章にノックダウンされます。登場人物も生き生きとしていて鼓動まで伝わるかのようです。美男率高し。中上の書く青年は本当魅力的。映画はどうなるんだろう?!

    0

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