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福島第一原子力発電所の事故は、それまでの「安全神話」を打ち砕いただけでなく、炉心溶融が起こると数万人が死ぬといった「危険神話」をも崩壊させた。放射能の健康被害は、予想よりも小さく、チェルノブイリ事故とは明らかに違った。震災後、マスメディアもネットメディアも放射線の危険を誇大に報じ、多くの人が「リスクゼロ」を求めた。しかし、科学的知見によれば、「100ミリシーベルト以下の健康被害は0.35%以下」であることは確実にいえるという。また、発癌リスクを問題視するなら、喫煙や塩分の取りすぎや飲酒も危険であり、さらに携帯電話や日焼けサロンも危ないとの報告もある。同時に、著者はメディアが煽った「脱原発か否か」の議論も愚問だと斬って捨てる。問題は特定の資源の是非ではなく、市場で多様なエネルギーを柔軟に組み替える必要があると説く。メディアと知識人を名指しで批判した、闘う経済学者の勇気ある言論である。
...続きを読むPosted by ブクログ 2012年05月27日
ほとんど全てに同感する。
原発再稼働に関する議論でいまだに正義の味方っぽい口調で「安全は保証されたのでしょうか?」 などとコメントしている連中には、科学的論理的な反論は全く出来ないだろう。
ちょっと心配なのは、あまりにも筆者の論敵にたいする攻撃が容赦なさすぎるので、打ち負かされた人々は、沈黙を守れ...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年04月30日
ブログなどで過激な発言で有名な池田信夫氏が原発を含むエネルギー政策についての自説をまとめた本。
今回の事故ではこの程度で済んだけど、「安全神話」が崩れた今となっては次の事故が発生する可能性があることは否めず、そのときにはどういう甚大な影響があるか分からない、というのが反原発の主張だろう。著者は、...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月23日
評価:★★★★★(5/5)
著者によれば、今回の福島の事故において、2つの神話が壊れたという。
安全神話:最悪の事態でも炉心溶融は起こらない
危険神話:炉心溶融が起こると数万人が死ぬ
前者についてはなじみ深いだろう。しかしこの本は後者についてもしっかりと触れてある。
盛り上がる反原発運動にたい...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年09月09日
原発に反対するわけでもなく、推進するわけでもなく、色々あるエネルギーの選択肢を、あくまで冷静に分析してみようとする本。
内容の軸にあるのは、冷静に分析した時のコスト比較では原発が有利、なので再稼働すべき、という論調です。
出されているデータが正しいものだと仮定して、書いてあることは非常によく理解で...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年02月22日
啓蒙的な合理主義の限界を指摘したのは、『啓蒙の弁証法』でおなじみのアドルノとホルクハイマー。啓蒙は神話とは異なり、テクノロジーによって自然を改造し、大きな富をもたらしたが、それは啓蒙を真っ向から否定するファシズムを生み出した。反原発運動がファシズムと類似しているのは、科学的なデータにもとづいて放射能...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年07月09日
低線量被曝が体にいいのか悪いのか、諸説ありますが、高線量で人が死ぬのは事実。怖いのは、それが目に見えず匂いもしないからで、かつ、本当に明快な知見もないという点で他のリスクとは随分違うと思っています。そこを差し引いて、他のリスクと同様に論じるべきではないと思います。人がそもそも合理的でないのだから、合...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年06月10日
東大出身で,某私立大学教授の人気ブロガーによる原発事故関連本.人気があるのもうなづける内容だと思ったが,個人的に同意できる部分とできない部分がはっきり別れた内容だったので★は3つとした.
例えば,「チェルノブイリ事故の直接の犠牲者として確認されたのは,事故から25年たった現在でも62人」,「プラント...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年04月01日
福一事故では,原発の「安全神話」が否定されたと言うよりむしろ「危険神話」が否定されたのだという話。著者はツイッター上では不用意な発言が多く,震災から間がないころはほとんどデマ拡散者だったが,さすがに書籍になるとそういうのは刈り込まれてまともになってる。原発の危険を否定するわけではなく,リスクを他と...続きを読む
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