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怒る老人、泣く若者――。本書は、「世界平和」や「夢」を掲げたクルーズ船・ピースボートに乗り込んだ東大院生による、社会学的調査・分析の報告である。なんらかの夢や希望をもって乗り込んだはずの船内で、繰り広げられる驚きの光景。それは、日本社会のある部分を誇張した縮図であった。若者の「貧しさ」と「寂しさ」への処方箋としてもちあげられる「承認の共同体」の可能性と限界を探っていく。解説と反論、本田由紀。【光文社新書】
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Posted by ブクログ 2018年10月14日
この著者の次の本も、きっと読むと思う。 【読書メモ】 ・ ああ、これって世間で言う「自分探し」だ。ブログの更新頻度がすごい評論家の内田樹(2007)は、若年層に流行する「自分探しの旅」を、見知らぬ場所で見知らぬ人に出会うことではなく、自分についてのそれまでの外部評価をリセットすることに目的があ...続きを読むると推測する。 p141 ・ ピースボートは実勢に世界各地の「場所」を巡るはずなのに、若者たちはその土地の歴史や環境という固有性になかなか目を向けることはない。ピースボートに乗る若者たちの当たる「世界」とはあくまでも「世界」であり、各寄港地は「生きる実感」を得るための「背景」として受容されているに過ぎないのである。 p200 ・ 彼らに共通するのは「想い」さえ通じ合えれば「わかってくれる」という期待である。そこに「想い」を共有しない他者の存在は想定されないし、だから他者との合意形成の過程も想定されない。 p202 ・ むしろ彼らは真剣に「世界平和」について悩むし、時には涙も流す。しかしそれは「世界平和」という「目的性」に集った「共同体」というよりも、「共同性」を維持させるために偶有的に「目的性」が召還されていたコミュニティと考える方が自然だろう。本人たちにそのつもりはなくても、「世界一周」や「世界平和」は感動や盛り上がりのための「ネタ」だった、というのは言い過ぎだろうか。 p234 ・ この本の発見を気取って書くと以下のようになる。(1)「共同性」だけを軸にした「目的性」のない共同体が存在すること、(2)その「ポストモダン・コミュニティ」は社会統合の基礎にもなり得ないし、社会運動との接続性を担保するものではないこと、(3)それは承認の正義を担保する共同体ではあるものの、「目的性」の「冷却」によって経済的再配分を求める闘争に転化する訳ではないこと p264 ・ メリトクラシーが壊れた社会で、それなのに「夢を追うことの大切さ」が繰り返し言い立てられる社会で、若者を「あきらめさせる」必要性はますます増しているように思える。その解決策の一つがまさに「コミュニティ」であり「居場所」なのだ。 p270 ・ そもそも「あきらめろ」と言ったところで、やる人はやる。たとえ一人でも。 p274 【目次】 1 壊れた日本、希望は共同体? 2 旅の終焉と新しい団体旅行 3 ピースボートの秘密 4 自分探しの幽霊船に乗る若者たち 5 ルポ・ピースボート 6 あきらめの舟 7 だからあなたはあきらめて
Posted by ブクログ 2015年11月23日
ピースボート、若者達が集う 世界一周の客船旅行。 そこには、生きる目的を求めて 意気揚々と乗り込んだ「希望難民」が どのように変容していったかが、 ありのままに描かれている。そして、 希望難民達の姿は、そのまま 今の社会の縮図になっていると 著者は指摘している。 若者達の社会に対する閉塞感、 それ...続きを読むを打破するべくもがき、そして どのような答えを出していくのか?
Posted by ブクログ 2017年08月30日
世界一周99万円のポスターが巷のあふれるピースボード。横浜停泊中の船内見学会で一度、宿泊場所を見たけれど、狭いし、窓もないし、こんなところに閉じ込められて旅行できるか!と中年のおっさんは思った。 なので、このピースボードに乗る人の大部分は20代から30代の若者。個室もあるので、観光目的の中年や老年...続きを読むもそこそこいるみたいだが、そもそも観光目的で乗る人はそんなにいない。ピースボートって言うくらいだから、世界平和に貢献したいとか、世界に出て自分探しをしたいとか、そんな漠然とした理想を持って乗り込む若者が多い。 船内では、乗船者が自主的にいろいろな企画を出して、討論したり、セミナーを開催したり、運動会をしたり、祭りをしたりと、なんだか学園祭のノリだ。なんだそれ?って思ったのが「9条ダンス」平和憲法の条文をリズムに合わせて踊りながら唱和するらしい。そして世界各国で、そのダンスを披露するようだ。 うん、まあ中年のおっさんには理解できない。若者特有の高揚感なのか? 著者はそんな若者たちにアンケートを取る。そしてある試験もする。憲法9条の穴埋め問題だ。正答率はわずか2%。どうやらこの船に乗ったことにより憲法9条に興味を持った若者がほとんどのようだ。 著者は船内で見られる若者たちの行動は日本社会の縮図だ言う。 すでに日本は希望を持てない社会になっているのに、社会は希望を持てと若者に言う。もちろん希望が持てない社会にしてしまったのは先行する中年、老年世代なので若者に責任はない。希望が持てないのに希望を持てという無慈悲さを嘆いている。そして若者には大きな希望なんて持つなと、自覚を促している。 じゃあ、希望のない社会の中で若者たちは存在意義をどこに見出すのかというと、それがこのピースボードみたいに、志を同じくした(ような気分にさせてくれる)共同体に身を置いて、承認欲求を満たしてくれる居場所に見出す。そこに居れば、仲間もいるし、そこそこ幸せでしょ? と、たぶん著者は主張している。 本当は世界平和とか、自分探しとか、遠くを見てないで、目の前の課題に挑戦することが大事なんだとは思うが、社会構造の変化のせいで目の前に課題すら見いだせない若者が多くなってしまっているのかなと思う。
Posted by ブクログ 2015年08月30日
よく最近目にしていたけど詳しくは知らなかったピースボート、そして旅そのものを、分析的に見ていて面白かった。引用や参考文献もたくさん使われていて構造や主張内容も理解しやすかった。若者が目的性を持って集まったはずなのに、コミュニティとして共同性に浸って目的性がなくなっていく、という主張やキャリアライダー...続きを読むの話に共感。修士論文っていうと堅苦しいものってイメージがあったけど、この本みたい内容やったら読んでみたいですね。
Posted by ブクログ 2014年11月07日
「へー、ピースボートってそうだったんだー」と思うと同時に「自分に不都合な事実は隠ぺいする体質もあるんだなー」と思ったり。 で、この本の大事なキーワードとして、若者の夢や希望からの「あきらめ」としての「居場所」の存在が必要なのかな?と、思わされてしまう本書の展開に騙されたような気分の自分がいるわけで。...続きを読む 古市憲寿の文体が好きならば、十分楽しめる本だと思います。私は楽しませてもらいました。
Posted by ブクログ 2013年05月13日
NEWSWEBやニッポンのジレンマでおなじみ古市憲寿さんのデビュー作。#life954 の影響を随所に感じる(鈴木謙介さんの『カーニヴァル化する社会』とか速水健朗さんの『自分探しが止まらない』とか)。 要旨は ピースボートってよく名前聞くから実際に行ってみたよ ↓ 意識高いことを簡単にやった気にな...続きを読むれる仕組みが整ってるよ ↓ しかも友達作ってお手軽に承認欲求を満たせるよ ↓ 無理に頑張るより、こういう風にまったりできるほうが若者にはいいんじゃない? (しかも、「がんばるリーダーとまったり楽しめる一般メンバー」という風に分ければプロジェクトとか成功しやすいし) といったとこか。 「現実的に社会を動かすことをしたい」と考えている俺にとって、ピースボート的な自己啓発によくある「社会的なこと言うけど実際は仲間内でまったりしてるだけ」という環境を知ることは参考になったと思う。 「こうならないように気をつけなきゃいけない」と思いつつ、262ページのファシリテーターのくだりにあるように、自己啓発とか承認欲求を満たせる仕組みといったものも使いようによっては社会を動かす原動力になりうる、とも感じた。 Charlie的に言うと「希望の話をしてる」し、そーいう希望を持って具体的に何かしていきたい、と思わせる一冊だった。
Posted by ブクログ 2013年01月05日
目的性のための共同体が実はその目的を冷却させ、安住させてしまう、すごくよく分析されてるし、読みやすい。
Posted by ブクログ 2020年05月24日
軽快で娯楽的に読めた。 『解説、というか反論』の中で、「あきらめさせられる、若者」の著者の古市氏と「『夢をあきらめるな』と騒ぎ立てる社会側」の解説者の本田氏の見解の違いが、見事に書かれていて面白かった。
Posted by ブクログ 2019年07月28日
古市さんの本は初読。以前から感じていたピースボートへの違和感の正体を、内側から見事に晒してくれました。 意識と現実のギャップはどうあれ、本人たちが納得している限りそれは「やりがいの搾取」には該当せず、高めあうのではなく認め合うという緩い仲間意識の中で「他との格差」は既に問題ではなくなるのですね。 僅...続きを読むか200万で世界一周、という破格のプランの道中起こるトラブルに対してガチで抗議する高齢者集団もいかがなものかと思うが、それに対して対抗するのではなくあっさり排除するという方法論をとるあたり、いかにも現代的。
Posted by ブクログ 2017年04月18日
軽妙な語り口は好きな文体である。著者がきちんと先人の知見を踏まえて書いており、ただの観察日記ではなくフィールドワークの結果としてちゃんと読めるものになっている。ピースボートを客観的に見つめながらも、著者自身もある程度巻き込まれていることを自覚しており、観察のうまい人だと感じさせる。目的性と共同性とい...続きを読むう二軸で若者の集団を分析しており、確かに、今まで自分が所属していた集団を振り返っても合点がいくような結果を導いている。これを読んでピースボートのスタッフはどう思うのか、平和の船が希望の冷却装置になっている現状をどう感じるのか、反論を教授ではなく船の関連スタッフに書いてもらいたい。
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