Posted by ブクログ
2017年10月14日
蓮丈那智シリーズの2作目です。
今回も短編が5つ収録されていて、
山人伝説、大黒天、三種の神器がひとつ八坂瓊(やさかに)の曲玉、
塞の神、御蔭講と民俗学的考察盛り沢山となってます。
まず民俗学的題材があって、
推測したりフィールドワークに出たり、
その過程で進められる考察にたっぷり頁を割いています...続きを読む。
毎回蓮丈研究室の関係者(時には那智本人)が巻き込まれて、
殺人事件が起こったりしますが、
そちらは推理途中の描写が無く、
いつも最後に那智があっさり謎を解いてしまいます。
それよりも、
明確な答えの無い学問とはいえ、
新たな視点を検討して無理の無い人間の行動を分析し、
遺物や伝承から矛盾の無い説を導き出す様子は、
なんとも壮大な謎解きです。
よく知られているあの「わらしべ長者」のくだりは、
ゾクゾクしました。
それにしても・・・。
何だろう。
狐目の教務部担当者(なぜか名前がでてこない)が、
読み進んでいくにつれだんだん格好良くなってきました。
実は那智の同級生だったとか、
昔は民俗学界で認められた優秀な研究者だったとか。
新事実がどんどん出てきて、
三國を叱咤激励する様なんかもはや準主役のようです。