Posted by ブクログ
2010年03月19日
中学生の頃の私が、今まで読んだ中で一番好きだと言っていた本。
なのに、大人になった今は、まったく内容を覚えていなくて、愕然とした。
再読前の印象は、「洪水のようにあふれてくる本」。
感想もずっと、それしかいえなかった。
・・・ずいぶんと、子供だったことを思い知らされた。
なんだか、読まなきゃ...続きを読むいけない気がしたんだ。
あまり心に心地よくない、本を読んだからかもしれない。
だから、どうしても読みたかった。
でも、読み始めても本当に内容が思い出せなくて、
正直苦笑いをしつつ、再度、新たな気持ちで読み始めた。
信彦さん。
明日香の、好きな人。
明日香は、私自身の投影だったのかもしれない。
すごく恥ずかしくて、思い出したくなかったんじゃないかと
思われるほど、私の想いの影響を受けていることがわかってしまった。
でも、やっぱり・・・うまく感想は書けそうにない。
不満のない文章、感情の動き、どれをとってもどうしても勝手に
心に染み込んでいく、想い、思い、オモイ、おもい。
ああ、やっぱり無理。
・・・なんていいながら、ほんの少しだけ、突っ込みを。
ネタばれというか、内容のことも少し書いてます。
明日香は、植物の人、だよね?
水分以外、受け付けない、植物が強い、植物の人で。
だから、地球の植物に影響を与えないように注意しながら、
日光浴をして、光合成をしないと生きていけない生き物。
んで、自分は植物なので、植物が何の躊躇もなしに食べられる世界
=地球は、明日香たち植物の人にとって、地獄だったはず。
少なくとも、そう感じていた、はず。
だよね?
なのに、何でお茶、飲めるのかな?
カプチーノの、シナモンスティック、大丈夫なのかなぁ。
もう死んじゃってるものは大丈夫なの?
それとも、人間ぽく暮らすためには、「共食い」するわけ?
なんていうか、そこって、話の核心というか、
そういう部分を題材にしてるのだから、そういう「うっかり」
みたいなものがあると、なんだかずいぶんとがっかりしてしまうのです。
もったいないんだよね。
なんていうかなぁ、考え方とか、決着のつけ方、とか、
すごく私にとっては考えられて書かれていて、
ハッピーエンド、ではないけれど、とても嫌な終わり方だけど、
でも、自分が明日香だったら、きっとそうしてしまうに違いない。
って、多分ちょっと前の私だったら、確実に思っただろうし、
後のⅡに繋げるには、こうするしかなかったのだと思う。
けど。
だからこそ。
そういうとこ、突っ込みどころは、極力無くすか、
新井さん、あなたならきっと、多分、気づいていたなら
理由を書いてた、はず。
だから、それだけが残念。
そう、残念なの、あの世界に私は最後まで感情移入して、
明日香の最後を号泣して見届けたかった。
それが、大人の私には出来なかった。
そして、今の私には出来なかった。
私は、明日香のようにはならない。
裏切られることは、とても怖くて、
自分で想像しうる最低の結末を無意識のうちに選んでしまうけど。
でも、現実は、ううん、マイナス思考は決して不幸じゃない。
プラス思考で生きてる時こそ落とし穴は深い。
それに気づけたら、きっと人は強く生きていける。
信彦さんが、人類のために、私を引き渡したっていいの。
私は、信彦さんが好きで、愛してて、うん、その事実が、
たとえ、そんな風に愛してる人に、一番最低な、つらい事実を
突きつけられたとしても、その気持ちが消えてしまうわけではないし、
その理由を考えたら、私一人の命よりも、人類の命を自分勝手に
私のことだけ考える信彦さんよりずっと、きっと、本当に正しいから、
それがとっても痛くったって、私は受け入れなければいけなかったんだ。
逃げることは、簡単なこと。
向き合うことは、とても難しいけれど、
もしかしたら、その苦しい中で感じた、
「どうして?」
の理由を知ることが出来る可能性を秘めてる。
わかることは、わからないよりもずっと、心を強くする。
人は、わかっていることだけを信じられるの。
私は、信彦さんを好きで、好きで。
だから、裏切られても好きでいられる自信を持つべきだったの。
今の私は、こんな風に思うことが出来るようになってました。
なんか、すごく自虐的で、ものすごく厳しいというか、
当たり前なはずなんだけど、たいていの人が出来ていない、
そんな、自分感情を突き詰めて昇華することを、
自分と向き合って、少なくとも、しよう、したい、しなきゃ、って
そんな風に思える自分になっていたことを、
気づかせてくれた、再読、でした。
Ⅱの感想はまた、かなり初読当時と違っているので、
というか、やっぱり初読の頃のことって、おぼえていなくて。
今の私のセキララ感想文を、また、書こうと思っています。