[破滅に見るもの]今やニュースでその名称を見ない日はないと言っても過言ではなくなった「イスラーム国」。残虐性の限りを尽くした戦略と組織の由来、そして懸念すべきその行く末について幅広い角度から考察を加えた作品です。著者は、ロンドンを拠点とする『クドゥス・アラビー』という新聞で編集長を25年にわたり務め
...続きを読むたアブドルバーリ・アトワーン。訳者は、国立ダマスカス大学への留学経験も持つ春日雄宇。英題は、『Islamic State: The Digital Caliphate』。
「イスラーム国」を内側から解析した一冊として非常に意義深いように思います。予断を許さない切迫性をもって執筆されていますので、西欧的文脈を踏まえたアラブ人/ムスリム及びムスリマが那辺に今日的な「イスラーム国」の脅威を感じているかを考える上で非常に有益な作品かと。
見方についてはいろいろあると思いますが、様々な原理主義的潮流と「イスラーム国」の関係を記した箇所、そして残虐性を示す理由について踏み込んだ箇所は出色でした。それにしても、「イスラーム国」という現象はとんでもない課題を突きつけるものだということを再確認。
〜私は、バグダーディーに近いある人物に、イスラーム国の最重要目標は何かと問うたことがある。この人物は即座に「ヒジャーズの地と、そこにある聖地だ」と答えた。〜
とにかく重い読書でした☆5つ