22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」

22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」

891円 (税込)

4pt

これから大切な能力って何?

いまの子どもたちの文章読解能力は
本当に「危機的」?

未来の大学入試とは? 英語教育は必要?

そもそも日本人の大多数が、
ネイティブと同じ発音をする必要がどこにあるの?

・・・

祖父母から孫へ、親から子へ――。

世代を超えて伝えたい、教育の「本質」を探る。

・・・

教育とは、わからない未来を予想して、
あるいは来るべき未来社会を予想して、
「子どもたちに生きるための能力を授ける」という、
いささか無謀な行為である。

それでも20世紀前半くらいまでは、その予想は、
ある程度可能だったかもしれない。

たとえば自分の息子が、自分のあとを継いで漁師になることが
確実にわかっていれば、その子には、船の動かし方、釣り具や網の整備の仕方、
天候の予測のための知識、万が一の時の泳ぎ方といったことを教えておけばよかった。

しかし、いま私たちが直面し知ているのは、おおよそ以下のような問題である。

■まず、その子が、どんな職業に就くかまったく予想できない。

■たとえ親が子どもを漁師にしたいと考えても、そもそも22世紀に漁師という仕事が
あるかどうかがわからない。

■さらに、たとえ漁師という仕事が生き残ったとしても、そこで必要とされる
能力について予想がつかない。

■それは、漁業ロボットを操作する能力かもしれない。漁から販売までを一元化し、
六次産業化していくコーディネート力かもしれない。あるいは、養殖の技術や
遺伝子組み換えについての研究こそが、漁師の本分となるかもしれない。

■私が暮らす兵庫県豊岡市の隣町、カニ漁で有名な香美町では、多くのインドネシア人が
漁業実習生として漁に携わっている。もしかすると、これからの漁師に必要な能力は
インドネシア語の習得や、イスラムの習慣への習熟かもしれない。

・・・

本書の中で、私は「教育」について考えていきたいと思う。

2020年の大学入試改革など、教育の大きな転換期を前に、私のこれまでの考えを、
ひとつにまとめて記しておくのも、本書の狙いの一つである。

・・・

巻末に高校・大学の授業や、新入社員研修などにも活用可能な、付録「22世紀ための問題集」つき!

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22世紀を見る君たちへ これからを生きるための「練習問題」 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年01月28日

    分からない未来に対し、親として子供に何をすべきか。
    驚く未来に対し、考えさせ、感じさせる。
    大切なことはただそれだけ。
    おそらく、それしか無い。

    多くの親に読んでほしい良書。

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    Posted by ブクログ 2023年03月12日

    中高生向けの授業が増えそうなので、参考になりそうな事例を学ぼうと購読。以前からパフォーミングアートで地域活性や人材育成などに取り組んでいる平田さん。今回は子供たち向けに、これから何をどのように学ぶと良いかについての論を展開している。といっても、子供向けというよりは、子供に向き合う大人や、新人を採用す...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2021年12月16日

    21世紀に求められる力・学力観をもとに、入試問題作成の過程やその内容を例に挙げながら出題意図について述べられた本。「21世紀型スキル」である対話力をはかろうとしている考えられた入試方式・内容で、その裏側と思いが分かりやすくまとめられていた。アクティブラーニング化する高等/中等教育機関での授業に応じた...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年01月23日

    演劇家平田氏の教育改革への提言 兵庫県豊岡市で行われている演劇的手法を用いたコミュニケーション教育の実践を紹介しながら、職員採用や大学入試改革などこれからの教育について問題提議をしている。

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    Posted by ブクログ 2020年06月03日

     著者の教育論は他にも読んだことがあるがそれらには一貫したものがある。現状におもねることなく、しかも実現可能であることを重視する考え方であるが
     現代の教育論が個性重視といいながら、結果的に環境要因を無視した不平等な現実を容認するものだという考え方は概ね首肯できるものだ。自己責任論が平等の皮を被った...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年03月31日

    平田オリザさんについては、演劇関係者という認識しかなかったが、大学で教鞭を取られていることもあって、かなり詳しい。
    データに基づいてというよりは、ご自分の信念と経験に基づいて、論を展開されているのだが、とても分かりやすい。
    教育の専門家ではないが、かなり調べたり実践されたりしている中で得られた知見は...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年03月28日

    新井紀子さんの本を読んだ時に感じた違和感のようなものの正体がわかった気がする。いくら論理的な思考や表現力などを身に付けたとしても、相手に伝わらなければ意味がないし、相手の気持ちを理解しようとすることを忘れてしまっていたら意味がない。
    そもそも、人はよく誤読をする生き物なのだというのが大前提。それでも...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年08月15日

    学校教育は今後どうなっていくのだろうか。
    自分は何を目指して授業を進めていけばよいのか。
    このままではあんま良くないような気がしつつも、
    これまでと大差ない授業に終始してしまう。。。

    豊岡市おもしろそうやな。

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    Posted by ブクログ 2022年10月07日

    オンライン化が進むことで、かえって「本物」に触れる体験という文化資本格差が都市と地方で拡大する、という指摘は面白かった。豊岡市で推し進めている演劇による町起こしに関しては賛否両論あるようだが、その理念については共感できるところがあった。「教科書の読めない子どもたち」への反論など、著者なりにこれからの...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2021年05月04日

    大学入試改革に伴う今後の教育のあり方についての連載をまとめたもの。
    ところが刊行前に改革自体が暗礁に乗り上げ、さらに刊行後にCOVID19による混乱。
    それでも本書で述べられていることは未来を向いている。

    0

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