専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義

3,740円 (税込)

18pt

3.9

20世紀初頭まで、政治や知的活動への参加は一部の特権階級に限られていたが、後の社会変化で門戸は大きく開かれた。それは人びとのリテラシーを高め、新たな啓蒙の時代を招来するはずだった。ところが今、これほど多くの人が、これほど大量の知識へのアクセスをもちながら、あまり学ぼうとせず、各分野で専門家が蓄積してきた専門知を尊重しない時代を迎えている。ゆがんだ平等意識。民主主義のはき違え。自分の願望や信念に沿う情報だけを集める「確証バイアス」。都合の悪い事実をフェイクと呼び、ネット検索に基づく主張と専門家の見識を同じ土俵に乗せる。何もかも意見の違いですますことはできない、正しいこともあれば間違ったこともあるという反論には、「非民主的なエリート主義」の烙印を押す。これでは、正しい情報に基づいた議論で合意を形成することは難しく、民主主義による政治も機能しない。原因はインターネット、エンターテイメントと化したニュース報道、お客さま本位の大学教育。無知を恥じない態度は、トランプ大統領やブレグジットに見るように、事実ではなく「感情」に訴えるポピュリズム政治の培養土となっている。または逆に、知識をもつ専門家による支配、テクノクラシーを招く恐れもある。本書が考察しているアメリカの状況は対岸の火事ではない。専門知を上手く活かして、よりよい市民社会をつくるための一冊。

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専門知は、もういらないのか――無知礼賛と民主主義 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ 2022年06月21日

    私が子供の時にはすでに「大学のレジャーランド化」が言われていたが、アメリカもそれほど変わらないようだ。平成に入ってからの日本の停滞は、大学が人材育成機関として機能しなかったことの証左であると思われるが、アメリカもそうなるのだろうか。

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    Posted by ブクログ 2020年09月13日

    主にアメリカ現代社会の実情を題材に、市民の専門知(専門家)への態度や接し方がいかに変わってきたか、そしてどんな問題があるかが書かれた著作。

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    Posted by ブクログ 2020年01月08日

    もちろん、専門知は必要だという立場の本である。
    アメリカの本だが、日本もそう変わらない。最近、当該分野では自明とされていることや少し考えれば分かりそうなことを指摘すると、クライアントが感情的になって拒絶反応を起こすことがあった。それも一回や二回ではない。
    インターネットの影響で色々な情報にアクセスで...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年12月23日

    本書を読むような人は本書の言っている事にとても共感できるのだろうけれど、
    本書を読まないような人に本書の内容を受け入れてもらう方法を考えると途方に暮れてしまう。
    本書はアメリカの話だが、日本にもほとんどそのまま適用できるだろう。

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    Posted by ブクログ 2019年12月07日

    アメリカにおける専門知の現状について。現代のアメリカ人の知的水準の低下の問題について考察する。
    昔は、高度な知識を持ち訓練を受けた専門家が、知りたい人々の要請を受けてサポートしていた。そこには知識、経験の有無に明確な一線があって、専門家の役割が明確だった。しかし、様々な情報メディアの発達により、全く...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2023年05月05日

    Chat GPTが使いこなされるようになると、恐らく専門知に対する社会の中での扱いは、更に変わってくる。ハルシネーションを見抜けず、しかし、自分も議論に参加できる資格を得たようなつもりになり、やることなす事批評したがる層が増えるだろう。中野信子の講演で、こうした自粛警察的な人間の行動は脳科学的に解明...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2020年12月05日

    表紙は最高。考えないことをめちゃくちゃ馬鹿にしてる。
    専門家の立場で書かれた本なのに、感情や推論で書かれていた大半にはなんとも。もともとブログだったものに加筆したらしく、勢いは伝わってきた。それだけ怒ってるってことみたい。
    専門家の定義で強く賛同できたところとして、「自分の専門における最悪のミスとそ...続きを読む

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